歴史的な猛暑の夏が過ぎ、熱い駅伝シーズンが到来する。学生3大駅伝は10月13日の出雲駅伝で開幕し、第2戦の全日本大学駅伝は11月2日に実施。

そして、最終戦の箱根駅伝は2026年1月2、3日に開かれる。昨季の箱根駅伝4位・早大は15年ぶりの箱根路制覇へ、経験豊かな上級生に強力な新入生が加わり選手層が充実。前回箱根Vの青学大、同2位の駒大、同3位の国学院大、同5位の中大と今季は優勝を狙える戦力を持つチームが乱立し、目が離せない。

 今季前半戦で鮮烈なインパクトを残した早大は、夏も勢いを落とさず強化に励んだ。8月は新潟・妙高高原で選抜メンバーの強化合宿を張った。主将の山口智規(4年)は「ストロングポイントとなる選手もいる。箱根もいけるんじゃないか、という雰囲気になっています」と自信をにじませた。

 標高約600メートルの競技場を使ったメイン練習では、前回5区2位で“山の名探偵”の異名を持つ工藤慎作(3年)らを筆頭に力強く走破。「箱根に照準を合わせて練習をしていく」と話す鈴木琉胤(るい、1年)、佐々木哲(1年)ら下級生も食らいついて足づくり。花田勝彦監督(54)も「1年生は非常に勢いがあるので、チーム全体も頑張らないとっていう雰囲気になっている。(鈴木、佐々木は)出雲、全日本の2つの駅伝に出ながら箱根にどうやって合わせていくか」と手応え。

 今春のトラックシーズンで躍進を遂げた。

山口が6月の日本学生対校選手権(岡山)で1500メートル、5000メートルで2冠を果たすと、工藤は7月に学生世界一を決めるワールドユニバーシティゲームズ(ドイツ)ハーフマラソンで金メダル。7月の日本選手権(東京)は鈴木が5000メートルで学生トップの10位、佐々木が3000メートル障害で3位に入った。

 今年の箱根駅伝往路を走った5人全員が残り、期待の新人らの底上げも進む。総合4位だった今年の箱根駅伝後の1月3日。花田監督は「来年、優勝するぞ」と選手たちに力強い言葉をかけた。翌日のミーティングで「どうやって優勝したら良いんだろう」と山口主将が部員に問いかけるなど、箱根路制覇を現実目標として取り組む。早大は学生駅伝3冠を獲得した2010年度以来、タイトルはないが「全員が今のチームに対して全く満足することもない。まだまだできることはあるんじゃないかって考えながら取り組んでくれています」と主将。えんじ色のタスキが輝きを取り戻す季節が迫ってきた。(手島 莉子)

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