◆大相撲秋場所10日目(23日、東京・両国国技館)
関脇・若隆景は東前頭4枚目・平戸海に寄り切られ、5敗目を喫した。大関昇進目安の「三役で直近3場所33勝」に届かなくなり、昇進が極めて厳しくなった。
若隆景が土俵を割った瞬間、館内から「あ~」というため息が漏れた。立ち合いで右差しを許し、平戸海に寄りたてられて徐々に上体が上ずった。最後は俵に足を掛けて粘り腰を見せたが、寄り切られた。過去5戦全勝の相手に敗れ、若隆景は土俵上で腰に手を当てて唇をかんだ。支度部屋では一点を見つめ「相手に先に攻められた。反省してまたしっかり集中していきたい」とつぶやくように話した。
小結だった5月の夏場所は12勝、先場所は関脇で10勝を挙げ、今場所は満を持して大関昇進に挑んだ。しかし、ここまで5勝5敗。
八角理事長(元横綱・北勝海)は「今場所は左のおっつけがない。これまでどういう相撲で勝ってきたかを思い出してほしい」と、立ち合いからまわしを取りにいく相撲が増えている点を指摘。終盤に横綱大関戦を残すが、過去には昇進目安に届かず昇進した例があり、今場所は東西にそろう大関が1人という番付の運もある。同理事長は「横綱大関に3連勝したら内容も良くなる。今場所で終わる訳ではない」と、残り5戦全勝を期待した。
23年春場所で負った右膝の大けがから再起を果たし、今場所は東関脇まで番付を戻した。場所前に「けがをする前も関脇には7場所いた。(大関までの)1枚に大きなものがある」と感じていた壁が、大きく立ちはだかった。