◆米大リーグ マリナーズ1―6ドジャース(28日、米ワシントン州シアトル=Tモバイルパーク)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が28日(日本時間29日)、レギュラーシーズン最終戦の敵地・マリナーズ戦に「1番・DH」でフル出場し、自己最多を更新する55号を放った。フィリーズのK・シュワバー外野手(32)にあと1本届かず3年連続の本塁打王を逃したものの、5打数3安打1打点でチームも5連勝締めでポストシーズン(PS)に突入。

30日(同10月1日)に3試合制のワイルドカードシリーズ(WCS)、本拠地・レッズ戦からワールドシリーズ連覇への道がスタートする。

 高々と舞い上がったアーチに、敵地がざわついた。4点をリードした7回2死走者なしの4打席目。大谷は左腕・スパイアーに2球で追い込まれたが、高め95・1マイル(約153・0キロ)直球を中堅左に運んだ。本塁打王にあと1本と迫り、昨季の自己最多を更新する55号ソロ。敵地ながら「MVP!」のコールも巻き起こり、球団新記録となる55本塁打を「それだけ打てればチームが勝つ確率が高くなると思いますし、今日は今日として自分のベストを更新できたのはいいこと」と胸を張った。

 前日の27日は30日に開幕するPSを見据えて欠場。本塁打争いよりも休養を優先させた。この日は、9回の5打席目に立つ直前にフィリーズの試合が終了。シュワバーが不発で終わったことで、2打席連続弾を放てば本塁打王、三塁打が出れば19年6月13日以来2度目のサイクル安打だったが、空振り三振に倒れた。「何も考えずに、今日はポストシーズンのためのいい感覚を持って終わりたいと思っていた」。8人目の3年連続本塁打王はあと1本及ばなかったが、出場13戦ぶりの3安打に「いい感覚でポストシーズンに向かえるのかなと思います」。

シーズン146得点は、球団では1890年のコリンズの148得点に次ぐ2位となった。

 キングこそ逃したが、自己最多で球団新の55発。毎年のようにマークは厳しくなるが、22年から右肩上がりに本塁打の数は増えている。今季は昨季よりも2・5センチほど長いバットを使い、スタンス幅も広げるなど新たな挑戦で成長を求めた。メジャー移籍直後までは本塁打バッターではないと自認していた大谷だが「ある程度の打球、いい角度で上がれば、ある程度フェンスを越えるだろうなという想定で、逆算して打席を組み立てていく」と考え方も変わり、真のホームランアーティストへ生まれ変わった。

 頭の中はすでにPSへ向いている。今季は二刀流での挑戦。WCSでは1勝1敗でもつれた場合の第3戦の先発が有力視される。ロバーツ監督も大谷の状態を「素晴らしいシーズンを過ごしているし、これからまだ道は続いていく」と絶賛。チームは昨季と同じ5連勝でレギュラーシーズンを締めくくり、大谷も「最後の最後までチーム一丸になって戦いたいですし、シアトルでの3戦も素晴らしい内容で終わっていると思うので、この勢いをポストシーズンにぶつけたい」と決意を新たにした。

 球団史上初となる2年連続のワールドシリーズ制覇へは、WCSからの出場のため、昨季よりも2勝多い13勝が必要。対戦相手はレッズに決まった。

個人タイトルより欲しいものをつかみに行く挑戦が、いよいよ始まる。(安藤 宏太)

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