ヤクルト・川端慎吾内野手が27日、今季限りでの現役引退を表明した。都内の球団事務所で引退会見を行った。
「ヤクルトで20年間、野球をやらせていただいて本当に感謝しています。本当にいろいろあったなという感じですね。山あり谷ありというか。良いことも悪いこともたくさんありましたし、優勝もさせてもらったし、タイトルを取ることもできましたし、日本一を決めるヒットも打たせもらいましたし。そのなかで、たくさんけがもしましたし、腰の手術も2度して、本当にいろんなことがありましたけど、全て自分の経験といいますか、財産になっていると思うので、本当に20年間、納得しています」と時より目を赤らめながら振り返った。
今季はここまで1軍出場はなく、9月中旬に球団から来季について話し合いの場が持たれ、構想外の立場にいることを知らされた。「体がまだ全然どこも痛くなかったですし、1年間けがせずに、ファームでしたけど、しっかり野球ができたので、その部分が一番大きかったかなと思います。なかなか諦めきることができなかった。まだ体が動くのに」と踏ん切りがつかなかったという。球団は今季中の引退試合も用意。準備に時間を要するため、「引退」か「現役続行」かの回答に期限を設けていたが、期限までに結論はでなかったため、来年3月のオープン戦で引退試合を行うこととなった。
川端は市和歌山商(現・市和歌山)から2005年高校生ドラフト3巡目でヤクルトに入団。
17年8月に椎間板ヘルニアの手術を行い、20年1月にも腰の手術を行った。以降はスタメンでの出場機会は減少していったものの、晩年は代打職人として返り咲いた。21年には代打で日本記録にあと1本に迫る30安打を放ち、日本シリーズ第6戦では決勝打を放ち日本一に導いた。
「2020年に2度目の腰の大きな手術をしたんですけど、その部分で、守ることができないくらいの痛みだったので、なかなかちょっと復活するのは難しいかなと思いながらの2021年のシーズンだったんですけど、高津監督に開幕から使ってもらって、なんとか成績を、びっくりするような活躍することができて、1年間チームの戦力になれたことがうれしかったですね」
セットアッパーとの勝負を見据え、甘い球を一発で仕留めるために理想のフォームを追い求めた。足の上げ幅を小さくし、トップの位置から一直線にバットを出す確実性を求めた。無駄を省いたフォームを武器に、代打では通算401度の起用で359打数94安打の打率2割6分2厘をマーク。代打で94安打は球団最多だ。
「高校の時から高校の監督にずっと教えてもらっていたことが、『常に野球には謙虚に野球をやりなさい』と。それは20年間続けられたかなと思いますね。あとは悔しい気持ちがたくさんあったんですけど、悔しい気持ちを忘れずに、その悔しい気持ちが自分自身を強くしてくれると思っていたので、その気持ちをずっと忘れないようにして練習しました」。
会見には愛媛・松山で自主トレを共にしてきた中村悠、山田、古賀、内山が花束を持って登場。「我慢できなかった」と涙を流した。
引退の報告をした高津監督からは「最後一緒に戦ってくれないか」と連絡をもらい、27日の広島戦(神宮)と28日の巨人戦(神宮)に出場することが決まった。公式戦“ラストゲーム”に向けて「あと1本打ちたいです。あと1本で1100本ですか。あと2試合出るので何とか1本打ちたい」と、有終の美を飾ることを誓った。
◆川端慎吾(かわばた・しんご)1987年10月16日、大阪・貝塚市生まれ。37歳。市和歌山商(現・市和歌山)から2005年高校生ドラフト3巡目でヤクルト入団。15年には首位打者と最多安打のタイトルを獲得。同年のプレミア12日本代表として銅メダル獲得に貢献した。