大相撲史上3人目の英国出身(1997年中国返還前の香港を含む)力士を目指す、湊部屋のニコラス・タラセンコ(16)が夏場所(5月10日初日、東京・両国国技館)の新弟子検査を受検することが14日、分かった。この日、日本相撲協会の面接を受けて合格。

190センチ、120キロと体格基準は超えており、内臓検査をパスして、興行ビザを取得次第、早ければ名古屋場所(7月12日初日、IGアリーナ)で初土俵を踏む。しこ名は栄誠(えいせい)を予定している。

 この日の朝、気合を入れるため丸刈りにしたタラセンコは、国技館で行われた理事との面接を終えると安堵(あんど)の表情を浮かべた。結果は合格。新弟子検査受検のための“関門”を突破し、「緊張した。良かったです」とスーツ姿で背筋を伸ばした。夏場所の体格検査と内臓検査をパスし、興行ビザが取得できれば、最速で名古屋場所で前相撲の土俵に上がる。

 〝二度目の正直”だった。昨年6月に来日し、湊部屋で研修生生活をしていたが、1月の初場所の面接では日本在住期間が短いことを指摘されて不合格。今回は自己紹介、住所、競技経験を堂々と日本語で答えた。電話で合格を伝えると、英国に住む父・ジョージさんは涙して喜んだという。

 デビューすれば英国勢では、1987年に初土俵の元序二段・勢鴻(香港出身)、89年の同・英ノ国以来3人目。

同じイングランド出身の英ノ国は日本の生活になじめず1年足らずで廃業したが、タラセンコは好物に唐揚げを挙げ、ちゃんこ鍋も「大好き」と笑顔。師匠・湊親方(元幕内・湊富士)が「嫌いな食べ物がない。なんでも挑戦するし、すごい」とうなるほどだ。

 来日直後はアプリを使って親方らとコミュニケーションを取ったが、単語カードにローマ字で日本語を書いて1日20語覚えるなど猛勉強。現在はひらがなも読めるようになったという。

 足がすらっと長く、190センチ、120キロという恵まれた体格を持つ。湊親方は突っ張りを磨き、将来的には元横綱・曙のような突き押しが武器の力士にしたいと思い描く。現在は基本をたたき込み、体重増に重点を置いているというが、部屋の稽古で三段目力士に申し合いで勝つなど、早くも大器の片りんを見せている。

 デビュー後、しこ名は栄誠になる予定。祖父の名前をヒントに父が考案して、漢字も決めた。「僕が横綱になって、英国出身の力士が増えればいい」とタラセンコは目を輝かせた。(山田 豊)

 ◇ニコラス・タラセンコ

 ▽生まれ 2009年6月23日、英国・ハル生まれ。

 ▽スポーツ歴 6歳から柔道を始め、得意は内股、体落とし。ラグビー経験もありプロップだった。ボクシングやキックボクシングも経験。相撲はエストニアでの元大関・把瑠都が主催するバルト杯のU―18部門で出場し未経験にも関わらず14歳でV。その後、同国北部のスコットランドの相撲クラブで稽古。

 ▽好きな食べ物 唐揚げ、ギョーザ。「英国の食事はおいしくないが、日本食はおいしい」と何でも食べる。

 ▽好きな力士 大関・安青錦とは約3年前に食事するなど交流がある。

 ▽おっちょこちょい

声が小さく部屋の稽古中に「BIG VOICE(大きな声を出せ)」と注意されたら「BIG BOSS」と尊敬されていると勘違い。

 ▽家族 両親と兄1人、弟3人。約20年前にエストニア、ロシアにルーツを持ち、英国でナイトクラブとカラオケのオーナーの父・ジョージさんと、ラトビアとウクライナがルーツで、障害者支援をする母が出稼ぎにきた英国で出会って結婚したという。

 ▽身長・体重 190センチ、120キロ。

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