◇柔道 全日本女子選手権(19日・横浜武道館)

 体重無差別で争われ、初出場で体重63キロで臨んだ渡辺聖子(警視庁)が、決勝で米川明穂(コマツ)に3―0で判定勝ち。初優勝を果たし「大会に出ることを小さい頃から憧れにしていた。

今まで支えて下さった皆様に感謝の気持ちを込めて、結果を出して無差別の中で日本一になる気持ちで臨んだ」と、笑顔を弾けさせた。

 初戦(2回戦)は昨年度準優勝で、アジア大会代表の白金未桜(筑波大)に3―0の判定勝ち。勝ち進むと、決勝は自身より37キロ上の米川に勝った。豊富な運動量に、奥襟を取って頭を下げさせるパワーを終始発揮。「相手にいいところをもたれたら、負けてしまうので。力には自信がある。奥襟を持ったら自分の柔道ができると思っているので、持つために頑張った」と、充実の表情を浮かべた。

 自身より重い相手を、驚異的な力で制した。「体重は関係ない」と頼もしい26歳は、スクワットで165キロを担ぎ、懸垂は25キロのプレートを引いて3回こなす。ベンチプレスは「一番苦手」と言いながら、85キロを挙げるという。週2回、上半身と下半身に分けて筋力トレーニングは欠かさず行い「力には、自信があります」。普段、周囲からは「聖子ちゃん」と呼ばれ「母が、松田聖子さんのことが好きです。

私も好きです」と渡辺。試合中、待てがかかると口角を上げて気持ちを切り替えるが「『キツイ時こそ笑え』というのが、高校の先生の考えだった」と、独自のルーチンでこの日も5戦を乗り切った。

 目標は28年ロス五輪出場。主戦場とする女子63キロ級では、世界選手権(10月)代表で前年同級女王の嘉重春樺(ブイ・テクノロジー)が、大きなライバルとなる。昨年は講道館杯で3回戦敗退し、強化選手から外れた。ただ「まだロサンゼルスは諦めていない。今年の講道館杯が大事。しっかり優勝して、グランドスラム東京で嘉重さんと直接対決で勝つことが一番アピールになるし、近道だと思うので。講道館杯で優勝して、グランドスラムで嘉重さんを倒したい」と、雪辱とその先を見据える。「63キロで1番にならないと五輪には出られないので」と表情を引き締める渡辺が“下克上”に挑む。(大谷 翔太)

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