◆JERAセ・リーグ 広島0―2DeNA(19日・マツダスタジアム)

 必死に左手を伸ばした。左翼を守るDeNA・勝又温史外野手(25)のグラブに、白球は収まった。

1点リードで迎えた5回1死二塁のピンチ。左越えの長打かと思われた床田の大飛球を、背走して倒れ込み、好捕した。

 勝負を分けたファインプレー。前日に続く美技連発に「目を打球から切り、後ろにダッシュして、もう1回ボールを探すことは外野手で一番難しい。練習したことが試合でできて、一番うれしい」と笑った。

 チームは今季初のゼロ封勝ちで、初の同一カード3連勝。広島戦は65年ぶり3度目の開幕5連勝となった。昨季からの同戦8連勝は27年ぶり。かつては地獄を見た男が、チームの快挙に貢献した。

 「ありがたいことにスタメンを頂いて、出る機会もたくさんいただけている。自分らしくプレーする機会もたくさんあるので、そこは忘れないようにこれからもやっていきたい」

 最速152キロの直球を武器に、投手として日大鶴ケ丘から18年ドラフト4位で入団も、21年オフに戦力外。同年育成契約を結び、野手に転向した。

 切り返しや、まっすぐボールを追いかける動き、打球の落下地点を予測する力など、外野手の基本をイチから学び直し、毎日1時間を守備練習に費やした。鍛錬の成果もあり、23年に支配下へ復帰。この日は3打数2安打。今季は打率4割3分8厘と好調を維持する。

 「ゼロからスタートしたファームのコーチだったり、1軍の河田コーチだったり。日々の積み重ねによっていい結果が生まれると、身に染みている。コツコツやることが、一番いい結果につながるんだなとすごく実感しています」

 ベンチから守備位置までは、常に全力疾走。「野手に転向してから、野球人生が終わるまで絶対やろうと決めたこと」と力を込める。「明日の出場機会を得るために、今日必死で頑張るしかない。一喜一憂せず、今日が終わったら、もう明日のためにっていう意識がすごく強いです」と勝又。苦労人が、セ界のど真ん中で輝く。(加藤 弘士)

 ◆勝又 温史(かつまた・あつし)2000年5月22日、東京・狛江市生まれ。

25歳。中学時代は狛江ボーイズに所属。日大鶴ケ丘では1年夏からベンチ入りし、3年時に最速152キロをマークも甲子園出場なし。高校通算30本を超え、二刀流としても注目された。18年ドラフト4位でDeNA入団。21年オフに戦力外となり、同年育成契約を結び野手に転向。23年に支配下契約を結んだ。右投左打。

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