50代前半の記者は子供の頃「例の肉」にワクワクした。繰り返し再放送されていたアニメ「はじめ人間ギャートルズ」。

ゴンや父ちゃんがウマそうに食っていたアレだ。肉塊の両端に骨がついており、そこを両手で握って肉本体にかぶりつくと、なぜかすごく伸びる。母にスーパーで「買って買って」とねだったが「アホか!」と一蹴(いっしゅう)された気がする。

 その「マンモスの肉」。大人になって存在すら忘れていたが、十数年前に「マンガ肉」という名称で商品として出している肉バルに出合った。かなりのお値段だったので、ためらいつつ注文してみたが、運ばれたものは見た目が全然「思てたんと違う」かった(味はそこそこ良かったけど)。

 ある日、20代の同僚が「トッキュウジュブツノスクナノユビ、カムクラで食べられるらしいです」と報告してきた。何のこっちゃ分からなかったが「カムクラ」だけは、ラーメンレストラン「どうとんぼり神座(かむくら)」であると理解した。同僚いわく、人気アニメ「呪術廻戦」で危険度が高い呪物を「特級呪物」と呼ぶとのこと。中でも日本書紀にも記される異形の鬼神「両面宿儺(りょうめんすくな)」は、作中では主人公・虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)に憑依(ひょうい)する存在。その指が「宿儺の指」だ。「ざっくり言うと、普通の人が食べたら死ぬんですが、選ばれた『宿儺の器』が丸呑(の)みすると大丈夫なんです」。

なるほど。分からん。

 ともかく、その「宿儺の指」を模した「神座」のコラボ商品、「宿儺の指チャーシュー」(1000円)が5月20日まで、各日50本限定で食べられるという。しかも、大阪、東京を中心に、関西、関東に加えてハワイにも進出し、国内外120余りの店舗を展開する同チェーンにおいて、大阪・ミナミの御堂筋店と東京・アトレ恵比寿店の2店舗に限った企画だというのだ。

 同僚とともに「御堂筋店」を訪れた。提供された「宿儺の指」を見た同僚は「リアル~!」と目をキラキラさせた。おそらく「―ギャートルズ」を見ていた私も同じような目をしていたんだろうな。ほぼ丸呑み(さすがに2回に分けて、しっかり噛(か)み砕いてましたが)で平らげた若手記者は「何層にも巻かれているお肉がジュバーッと(口内にあふれて)おいしさが広がる!」と味にも太鼓判を押していた。

 同チェーンを運営する「理想実業」マーケティング本部・ブランドPR担当者の西嶋悟史さんも「担当者が『商品開発人生の集大成』と自負する商品です。見た目も味も完璧だと自負しております」と胸を張る。令和の「マンガ肉」を求めて、取材当日も、外国人を含む若者が開店前から行列を作っていた。(社会担当・田中昌宏)

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