大相撲夏場所4日目(13日、両国国技館)

 大関・琴桜が東前頭2枚目・義ノ富士を押し出し、2連勝とした。朝稽古では千葉・松戸市の佐渡ケ嶽部屋近くの用水路で脱輪していた自動車を救出。

人助けを行ってから向かった土俵で会心の白星を挙げ、星を五分に戻した。東前頭13枚目・琴栄峰は西前頭11枚目・金峰山を下手投げで破り、平幕では唯一の無傷4連勝。勝ちっ放しは大関復帰の霧島、小結・若隆景、琴栄峰の3人となった。

 琴桜の厳しい攻めに、国技館内がどよめいた。突き起こそうとする義ノ富士に、立ち合いで力強く踏み込んで当たり負けせず。右のハズ押しで相手の上体を起こして、最後は左のど輪で押し出した。一方的な内容に「良かったのではないかと思う。集中していけた」と冷静に振り返った。

 2つの責任を果たした。朝稽古が行われていた午前8時過ぎ頃、千葉・松戸市の部屋近くの用水路に自動車が脱輪しているところを琴桜が偶然目撃。「自分の目の前で起きていたので、周りは相撲取りばかりで、人(若い衆)を呼んだ方が早いと思った」。すぐに部屋の若い衆を稽古場から呼び出し、救出を始めた。

 最初は計6人で持ち上げようとするも、車は上がらず。2人が加勢し、計8人で車を引き上げることに成功した。幸い運転者にもけがはなかったという。琴桜は「別に自分一人でやったことではないので。普通のことなので」と多くを語らなかったが、気は優しくて力持ちの「お相撲さん」を体現した。

 今場所は2日目を終えた時点で、2横綱1大関が休場。看板力士としての活躍が期待されたが、連敗発進となった。「そんな相撲では先代(元横綱・琴桜)が悲しむぞ」と声をかけたという父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は「やはり前に出ることで琴桜の重さが生きる」と復調のカギを示し、その通りに出る力強い相撲を見せた。

 先場所は初優勝した24年九州場所以来の2ケタ白星となる10勝を挙げて存在感を示した。「しっかりここから一日一日集中してやっていく」。上昇気流に乗り始めた大関が、横綱不在の土俵を引き締める。(大西 健太)

 ◆力士の主な人助け

 ▽1999年 当時の式秀部屋の力士5人が北九州市にある4階建て雑居ビルの火災に遭遇。

消防車が到着するまでの間、2階の女性を助け出そうと燃えさかる現場に、はしごを掛けるなど支援。同時に女性が飛び降りても下で受け止められるように待機した。

 ▽2005年 名古屋場所中に火災現場に遭遇した三段目・薩喜海(さつきうみ)=境川=が2階にいた女性をはしごで救出。

 ▽20年 境川部屋の力士約20人が、都内の部屋近くの川に飛び降りた30代女性を救助。女性を川から約2メートル上の道路まで引き上げた。

 ▽24年 当時幕下だった木竜皇(きりゅうこう)=立浪=が銭湯の湯船で心肺停止状態の87歳男性を発見。湯船から引き上げると心肺蘇生法などで救命処置。一命を取り留め、救急隊に引き渡した。

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