落語家の3代目桂春蝶が14日、大阪市内で独演会「落語で伝えたい想い第十二作 それゆけ、タイガース!」(6月13、14、20、21日、大阪・扇町ミュージアムキューブ CUBE01)の記者発表に臨んだ。

 作品は、父の2代目桂春蝶が愛した阪神タイガースを通して、タイガースを愛した名もなき父子3代の物語を、1942年から85年までのファミリーヒストリーとして紡ぐものだ。

これまでもライフワークとして「命」をテーマに戦争、病、災害などの落語を創作してきた3代目。

 「私が51歳になりまして。父親の2代目桂春蝶が亡くなったのが51歳なんですよね。今までは父が前を歩いてくれてて『こっちやで、こっちやで』と言ってくれてた気がする。ここからは『後ろで見守ってあげるから、ワシも生きたことのない時代、年齢を生きていってくれ』と言ってもらえるように思います」

 実は中学生当時、父に「中日ファンになりたい」と申し出たという。「青がカッコ良かったから」といういかにも中学生らしい理由だった。

 「すると、何とも言えない寂しそうな表情を浮かべて、金庫からおもむろに100万円の束を取り出し、ぽんと目の前に置いて『これで出ていってください』と…」

 絶縁を告げられた。

 その後は道を踏み外すことなく(?)、真っすぐに虎党として歩んだ3代目。東京で一緒に暮らす息子も中学2年になり、こちらは神宮球場左翼席に足しげく通う“立派な阪神ファン”に成長したという。そんな孝行息子は早くも人生プランに“保険”を掛けているといい、父にこう告げた。

 「人生に本当に何もなくて、人生の底の底に来た時に、落語家にさせてください」

 4代目桂春蝶の誕生も時間の問題か。

 「人生ってほとんど負けなんですよ。

毎日が妥協だし負け。でも自分の人生が0―10で負けたっていう日でも、タイガースは0―11で負けてくれる。負けることで寄り添ってくれる球団なんですよ。オヤジに『何でこんな弱い球団を応援してるのか』と聞いた時、しみじみと僕の目を見ながら言うたんですよ。『アホな息子を応援するのと一緒』と。『お前がなんぼアホでも縁を切れるか。アホならアホなほどかわいいと思てる』と」

 100万円の束のことはすっかり忘れていた様子の2代目。天国から“賢い息子”に成長した今のタイガースを、どのように見守っているのだろうか。

編集部おすすめ