【ダラス(米テキサス州)13日=ペン・岩原正幸、金川誉、後藤亮太、岡島智哉、カメラ・今成良輔、山崎賢人】

 8大会連続8度目のW杯に挑む日本代表は、1次リーグ初戦のオランダ戦(14日・日本時間15日)に向け、決戦の地・ダラスのスタジアムで前日会見に臨んだ。ドイツ、スペインというW杯優勝経験国を破った前回のカタールW杯から4年。

日本代表史上初めて2大会連続で指揮を執る森保一監督は、改めて「いい守備からいい攻撃を」という基本コンセプトを強調し、大一番への決意を語った。

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 感情の高ぶりと、静かな落ち着きと。自身2度目の本大会を前に、指揮官は二つの表情をのぞかせた。会見中、時折起こったマイクのトラブルにも笑みを浮かべ、「アクシデントも想定内、ということでここでも乗り切っていきたいと思います」とユーモアを交えて切り出す。約32分間にわたる会見の言葉一つ一つには、森保ジャパンが歩んできた「8年間の集大成」への覚悟がにじんでいた。

 大金星を挙げたカタールW杯でのボール支配率は、ドイツ戦が24%、スペイン戦が18%。圧倒的に押し込まれながらも、後半のギアチェンジと鋭いカウンターで勝利をもぎ取った。しかし、それからの4年間は、強豪国相手にも「主体的にチームが機能するように」という狙いのもと、主導権を握るサッカーも積み上げてきた。

 だが、初戦の相手はあの時以上の警戒心で向かってくる。独自のサッカー哲学、攻撃スタイルを持ち、DFラインにもワールドクラスのタレントをそろえるオレンジ軍団・オランダだ。「前回のW杯は、先に失点して劣勢の中、相手も多少油断してくれたり隙を見せてくれた。今回は相手も我々を分析し、警戒している。

これから日本が世界で戦う上で、相手が隙を見せてくれることはまったくあり得ない」。手の内を知られ、警戒される中でどう戦うのか。指揮官が導き出した答えは原点回帰だった。

 「これまで通り、いい守備からいい攻撃につなげる。この大会でもチームのコンセプトとしてやってほしい」。親善試合でブラジルやイングランドをも破ってきた今の日本を、もはや侮る国などいない。実力で上回る相手に粘り強く勝ちきるため、発足時から掲げる「凡事徹底」の基本を今一度、チームに叩き込む。

 そのメッセージは、選手たちにも深く浸透している。MF堂安律はオランダ戦のポイントに「隙を見せないこと」を挙げた。「我慢比べじゃないけど、隙を見せないところは日本人が間違いなく世界で勝てるところ。それは森保監督が、8年間徹底的に僕たちに落とし込んできた部分。オランダだけでなく世界を分析してきましたけど、日本人ほどプレスバック(守備への切り替え)をしているチームはない。

それを見れば、僕たちが世界一になってもおかしくないと思っています」

 すべては勝利のため。だからこそ、非情な決断も下した。負傷の回復が遅れた主将のMF遠藤航をメンバーから外す苦渋の決断を下し、前線で泥臭く戦えるFW町野修斗を追加招集した。遠藤については初戦、そして大会を通して遠藤が100パーセントでプレーするのは難しいと判断したという。「申し訳ない思いでいっぱい。皆さんに謝罪したい」と遠藤やその家族の心情を思いやった瞬間、指揮官の目はわずかに潤んだ。

 それでも、世界一という壮大な目標に向け、腹はくくった。「選んだ選手26人が、今の日本のベストメンバー。自信を持って世界に挑める。驚かせる、ということではなくて、我々が積み上げてきたものをぶつけ、一戦一戦、突き進んでいきたい」。奇跡のジャイアントキリングを起こした4年前とは違う。今や日本は、世界の強豪から「警戒される側の国」になった。

追う立場から、並び立ち、追い抜く立場へ。進化した森保ジャパンが、世界の勢力図を完全に塗り替えるための、5年越しの挑戦がいよいよ幕を開ける。(金川 誉)

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