国際サッカー連盟(FIFA)は、商業活動の効率化と加盟協会の基盤強化および途上国への支援拡大を目的としていた「FIFAフォワード・エンタープライズプロジェクト」(FFE)の提案を見送り、正式に撤回することを決めた。FIFAのインファンティノ会長は声明を発表。

「すべての意見を注意深く聞いた結果、このプロジェクトは支持のレベルにかかわらず、そもそも掲げられた目的の利益にかなわない性質の分裂を生み出していることが明らかになりました」と、構想の撤回を表明した。

 当初の提案では、FIFAが自らの商業・運営事業を恒久的な子会社(FFE)へ移管することで事業収益を拡大。評価額200億ドル(約3兆2000億円)のうち、20%を外部投資家に売却することで最大42億ドルの資金を調達する狙いだった。FFEの収益は各国の加盟協会に配分し、途上国を中心としたサッカー界全体の基盤強化を強力に後押しする計画だった。

 しかし、世界各国からは猛反発が起こった。W杯の過度な商業化への懸念、さらには同プロジェクトの進行プロセスに疑念の声が上がった。また、インファンティノ会長がW杯を通じて米国のトランプ大統領へ接近しているとの懸念に加え、同プロジェクトを進める投資会社にトランプ氏の娘婿の親族(弟)が率いる企業が含まれていたことも、政治的・倫理的な反発の一因となった。

 特に欧州サッカー連盟(UEFA)は、子会社へ運営権が委譲された場合、UEFA加盟国代表のW杯参加を取りやめる(ボイコットする)方針を全会一致で決議する事態に発展。日本を含むアジアサッカー連盟や国際プロサッカー選手会(FIFPRO)からも事前協議の欠如などを理由に懸念の声が上がっていた。

 FIFAは声明で、「私たちの目的は常に組織を団結させ、共に改善を図ることにある」と強調。その上で「すべての意見に慎重に耳を傾けた結果、このプロジェクトは当初掲げた目的に反し、好ましくない分断を生み出していることが明白になった。したがって、本提案をこれ以上前進させることはない」と撤回の方針を明確にした。

 今後はプロジェクトの白紙撤回を受け、数日から数週間のうちに再び関係者全員を集めた協議の場を設ける方針だ。分裂の修復を図りつつ、本来の最優先課題である「真に支援を必要とする国々におけるサッカーの持続的な発展」に向け、共通の関心事項のもとで新たな支援策の模索を進めていくという。

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