馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はソダシが勝った2021年の札幌記念を取り上げる。

真っ白な3歳牝馬がラヴズオンリーユーを始め、豪華古馬陣を打ち破った。

 厚い信頼を手綱に乗せた。向こう正面。2番手を進む吉田隼とソダシの外からブラストワンピースがまくり気味に位置を上げる。押し出されるように先頭に立ったが、人馬のリズムは全く乱れない。直線でブラストを突き放した後は、ラヴズオンリーユーとペルシアンナイトの強襲。しかし、右ステッキを入れた鞍上が全身で手綱を押すと、白い馬体はさらに力強い走りへと変わった。

 G1馬たちの強襲を次々と振り払い、ゴール板を先頭で駆け抜けた直後。吉田隼は左手を握りしめた。初の敗戦となったオークス(8着)以来の実戦。「一番にホッとしました。折り合いもついていましたし、いつでも動けるぞというのが手綱からも伝わっていました」と率直に感触を伝えた。

 昨夏に新馬、札幌2歳Sと連勝した北の大地に戻ってきたアイドルホースの華麗な復活劇。スタンドは大きな拍手に包まれた。須貝調教師も「競馬を知らない人でもソダシが白い馬だと知っている。重圧ですけど、皆さんに感謝しています」と口にする。

 大きな意味のある勝利だった。レース前に須貝師はこう口にしていた。「もう一度、2000メートルという距離での走りを見てみたいんだ」。クロフネ産駒はJRA平地重賞40勝すべてが1800メートル以下。白毛の女王には「距離の壁」という話題がつきまとった。その不安を振り払うような初の古馬相手での圧勝。「ソダシがやってくれました。新たな伝説として、その辺は喜んでいます」とトレーナーはうなずく。

 これで同じ距離で行われる秋華賞の視界が一気に開けたことは確かだ。「復帰戦でソダシらしい競馬をしてくれました。秋に向けて、いい競馬だったと思います」と満足そうな表情の吉田隼。再び頂点の座、そして2冠女王へ―。原点の地で大きな一歩を踏み出した。

 続く秋華賞は単勝1・9倍に推されながらも10着。ゲート内で暴れた時に歯が折れているアクシデントもあった。しかし、古馬になってからも2022年のヴィクトリアマイルを勝利。同年のフェブラリーSでは3着に入るなど、ダートとの“二刀流”でも話題を呼び、競馬ファンは“つよかわ”ホースの一挙手一投足に目を奪われた。

 2023年の安田記念7着後に脚部不安を発症。希代のアイドルホースは現役生活に別れを告げ、現在は2年連続でイクイノックスとの子供を出産。第1子となる牝馬は早ければ来夏にもターフに姿を見せる。

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