◆第43回ブリーダーズCスプリント・G1(現地時間10月31日、米国キーンランド競馬場・ダート1200メートル)

 JRA海外馬券発売対象の米G1・ブリーダーズC(BC)5競走が10月31日(日本時間1日)、キーンランド競馬場で行われ、スプリントではテーオーエルビスが米G1・2連勝で、日本調教馬として初となる勝利を飾った。その白星の背景にあったドラマをヤマタケ(山本武志)記者が「見た」で読み解いた。

 その姿に驚いた。今回のブリーダーズCを含めて、これまでのべ7頭で米G1挑戦。今や栗東で米国競馬といえば、高柳大調教師は矢作調教師と同じくらいに名前が挙がる存在だ。そんなトレーナーを米国最大の1歳セリで、日本からも多くの関係者が訪れるキーンランドセプテンバーセールの時期に栗東で見かけた。「みんな、俺行っていると思っているけど、全然行ってないんですよ」

 開業から数年の間は足を運んでいた。ところが、若きトレーナーには手が届かないような高額の馬ばかり。「買えないな…」。自然と足は遠ざかったが、その数年後に知人から持ちかけられたのが米国の牧場巡り。「セリはすごい頭数が出てくるから、その中から見つけた方がいいけど、(それが)できずに、追い込まれたところにきた話でね」。3年前に自らの足を使い、探し、見つけた“1期生”がテーオーエルビス。逆境の中でつかんだダイヤの原石だった。

 米国競馬への関心が芽生えたのは17年秋。

技術調教師時代に1か月間、研修で滞在した時だった。まだ電光掲示板もないような伝統的なチャーチルダウンズ競馬場、そして今回のBCが行われたキーンランド競馬場に滞在。牧歌的な雰囲気を残しつつも、感じられるスケールの大きさに圧倒された。「『やってやろう』より『勝てるんかいな』だった(笑)。でも、(米国で好走を続けた)フォーエバーヤングの存在が考え方を変えてくれたよね」。自らのキーホースになった馬と一緒の遠征で“原点”の地に立ち、刻み込んだ歴史的な勝利。喜びは格別だったはずだ。(山本 武志)

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