静岡市の小学校で4月17日、給食の主食として提供予定だったソフト麺が届かず、児童と教職員計823人が食べられない事案が発生した。配送員の体調不良によるもので、児童らは副菜や牛乳など主食以外のメニューのみを食べたという。
ソフト麺を提供している事業者は、市内5校に提供する予定だった。そのうち4校には遅延を伴いながらも配送した。しかし残り一校は、代わりの配送員を手配しようとしたが連絡が取れず、届けられなかった。市では、今後の対応策について委託業者と協議し、再発防止に努めるとしている。
ネットでは、「誰でも体調不良はある。仕方がない」と配送員を擁護する声があがるものの、「こういう事態が起こりうることは想定できるからこそ事前の準備とバックアップ体制が業者側に不足していた」と指摘する声もみられた。
一方、「配送に限らず、どんな職種の仕事でも、ギリギリの人数で回すのが常態化しており、何かあったとき、対応することは不可能になりつつある」と現実の厳しさを伝えるコメントもみられた。
いま、物流業界の人手不足の影響で、学校給食の当日納品が困難になる地域が全国的に増えている。パン、麺、牛乳、さらにはおかずやデザートまで、当日の配送が間に合わない、対応できないという声が続出している。学校給食を支えるため、朝3時に食材を揃え、5時に納品を開始する卸業者も少なくない。
昨年10月に東京ビッグサイトで行われたシンポジウムで、学校給食の流通に関わる納品業者や製パン業者、栄養教諭、調理員らが登壇し、現場の危機感と制度上の誤解、今後の対応策について語った。
登壇した納品業者代表は、「これまでは何とか納品してきたが、それができなくなる時期がすぐそこまで来ている」と警鐘を鳴らす。
■“当日納品が必須”は誤解
シンポジウムでファシリテーターを務めた、淑徳大学看護栄養学部客員教授の田中延子氏は、次のように語った。
「当日納品じゃないとダメだと思っている教育委員会や学校が多いが、実はそれ、法律には明記されていない」。
根拠となる「学校給食衛生管理基準」では、次のように記されている。
『食肉類、魚介類等生鮮食品は、原則として当日搬入すること。当日搬入できない場合には、冷蔵庫等で適切に温度管理するなど衛生管理に留意すること』
つまり、冷蔵冷凍庫で適切な温度管理ができれば、前日納品でも差し支えないというのが本来の制度の考え方だ。
田中氏は、「納品業者の前日納品を可能にすることで、調理員の労働環境も改善できる。早朝納品では栄養教諭らによる検品が困難で、アレルギー事故のリスクも高まる」と指摘。冷蔵冷凍庫や食品庫を一定容量整備することの重要性を訴えた。また、「これまでは“買う側”が強い時代だったかもしれないが、これからは“買わせていただく”時代になる。物が届かない未来を避けるためにも、教育委員会や学校側も受け入れ態勢を見直す必要がある」と呼びかけた。
■問われる「仕組みの柔軟性」
いま学校給食の現場で起きていることは、単なる物流の話ではない。
それは、長年“常識”として運用されてきたルールの見直しが求められているということでもある。
配送員が突然、体調不良を起こしても無事届けられるよう、マニュアル整備やバックアップ体制をしく必要もあるが、その前に、学校給食のあり方を考え、時代や環境変化に適したものにアップグレードすべきではないだろうか。
「当日納品が当たり前」という思い込みこそが、いま現場を苦しめている。
給食を支えるすべての人のために、“常識”の方を見直す時が来ている。









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