不二製油は5月13日、都内で決算説明会を開催した(決算は一部既報)。中期経営計画の初年度となった25年度(26年3月期)は、事業利益360億円と過去最高益を達成した。
26年度の事業利益については375億円を予想しており、中東情勢や米国の関税動向などのリスクを考慮し、35億円を減益要因に織り込んだ。

なお、中東情勢の影響について大森達司社長は、「フィルム関係やドラム缶に塗装する塗料、製油業界で使う有機溶剤もナフサ由来となり、供給継続を一番に考えて対策を打っている。5月、6月、7月と、サプライヤーからの値上げ依頼については交渉の余地がないと思っている。ただどこまで上がっていくのか見通せず、国内でショートした場合、グループ会社が使っている海外のサプライヤーから日本に引っ張ってくることがレギュレーション的に可能かについて検討を進めている」と説明した。

大森社長は25年度について、「グループが事業持ち株会社制へ移行し、新中期経営計画の方針として、『ガバナンスの進化』、『成長領域の更なる強化』、『新たなる挑戦領域の確立』を挙げ、取り組みを進めてきた」と振り返った。カカオ相場が高騰した事業環境については、CBE(チョコレート代替脂)をはじめとするチョコレート用油脂や、コンパウンドチョコレートは堅調に推移したという。ピュアチョコレートは価格上昇に伴い、主に北米市場で需要が縮小したものの、「グループ全体ではコンパウンドチョコレートへの需要増が補い、チョコレートの販売数量は計画並みを維持した」と説明した。一方、子会社のブラマー社はピュアチョコレートの価格上昇による需要低迷の影響を受け、25年度の黒字化には至らなかった。ただ、「原料相場に左右されない管理体制やコンパウンドチョコレートの強化への準備を計画通り進捗している」と強調した。

植物性油脂事業は、サプライチェーン強化を進め、高品質な原料による差別化が競争力の向上につながっているとしている。

乳化・発酵素材事業は、国内の乳製品価格の上昇や、中国の景気低迷で廉価商品に需要がシフトしており、苦戦しているという。そういった中でも、日本市場では独自の祖小材や技術を活かした豆乳クリームバターが引き続き伸びており、「本熟シリーズ」や今年発売した「DEALIシリーズ」など、付加価値を高めた製品を展開していることを紹介した。


大豆加工素材事業は、飲料市場などで一過性の需要減退があったものの、ホエイを発端としたたん白質需要の増加や製造現場の人手不足などに対応した大豆たん白製品、おからが原料の新素材「ソヤセル」が伸びてきており、「25年が底と見ている」との認識を示した上で、引き続き構造改革を進めていくとしている。

〈チョコレート事業は国内外で生産設備の稼働予定、幅広い事業で連携する強み生かす 〉


26年度も同社グループへの影響が大きい原料として、引き続きカカオの動向を注視していくとする。カカオ相場は昨年から急速な修正局面を迎え、大きく下落し、直近では調整局面を迎えているという。NY相場が$4,000台で推移していることに触れ、「現状の相場レベルではチョコレート用油脂は堅調な需要が継続するものと考えている」と述べた。一方で、チョコレートの価格への浸透が進むことで、下半期以降には従来の需要動向に回復していくと見込む。 コンパウンドチョコレートはカカオ相場の動向に関わらず、機能性や価値が評価されていることから、堅調に推移すると考えているとした。

なお、チョコレート事業では国内外での生産設備の稼働を予定している。日本では、5月に阪南事業所の更新投資が完了する。下半期にはブラマー社のカナダ工場の拡張、豪州や欧州でも拡張し、順次稼働する予定だ。乳化発酵素材事業では、たん白質の需要回復を背景に、顧客の課題に向き合った製品の展開を進めていく。 大森社長は、「食品・素材メーカーとして、油脂、チョコレート、乳化発酵、たん白という幅広い事業で連携する強みを生かして、価値の高い製品をグループ全体で提供していく。中計2年目の今年度は、基本方針に沿って、更なる成長を目指していく」と力を込めた。


〈大豆油糧日報2026年5月15日付〉
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