売上4000億円超で業界4位へ
ジョイフル本田の2026年6月期の売上予想は1310億円、アークランズは2026年2月期の売上高が3411億円でした。アークランズは「かつや」などの飲食事業や不動産事業も展開しています。しかし、「ビバホーム」などの小売事業の売上が2767億円であり、ジョイフル本田と経営統合するとホームセンター事業だけの売上で4077億円。現在、業界4位につけているコメリの2026年3月期の売上高は3853億円。今期の売上は4008億円を予想しており、僅差ながらもジョイフル本田とアークランズが上回って4位の座を奪取する見込みです。ジョイフル本田の業績はやや停滞気味。2026年6月期は2割程度の営業減益を見込んでいます。客数が減少し、売上が伸び悩んでいるのです。2026年1月から4月までの客数は前年同期間比2.0%減、売上高は0.1%の減少でした。2026年2月に2026年6月期通期見通しを修正し、売上高を20億円、営業利益を12億円それぞれ引き下げています。
2025年6月から2026年3月までの既存店の売上において、家具などのインテリア・リビング商品は前年同期間比で3億円、ペット・レジャー商品は4.5億円減少しました。
ジョイフル本田は特に建設業などのプロ向けの商材に強い店舗展開を行っていますが、中東情勢の緊迫化でナフサ不足の影響が中小の工務店にも出始めています。住宅の納期の遅れや住宅価格が上昇して消費者の目が中古住宅などへと転じられることになると、少なからず影響を受ける可能性もあります。2025年6月から2026年3月までの資材・プロ用品の売上は前年同期間比で2億円減少しました。
ホームセンターに待ち受ける「先細りする未来」
アークランズの2026年2月期における小売事業は、売上高が前期比8.4%増の2767億円だったものの、営業利益は19.1%減の45億円。ビバホームにおいては、主力カテゴリーである建築関連資材・用品及びDIY関連の売上が前期比1.9%、家庭用品が0.9%それぞれ減少しました。ホームセンターはコロナ禍のマスク需要や防災関連グッズの売れ行きが好調で、一時は繁栄を謳歌していました。しかし、インフレの到来で取り巻く環境は激変しています。そもそも、少子高齢化という社会問題や、インターネットショッピングが発達した国内の今の状況において、ホームセンターという業態そのものが中長期的に先細りになるのは明らか。経済産業省の「商業動態統計」によると、ホームセンターの2025年の市場規模は3兆3917億円で、前年比0.2%の減少でした。
経営統合の成功例と失敗例は…
経営統合することで、大量仕入れによる原価の低減、システム統合による店舗運営の効率化、同エリアにおける顧客の食い合いの解消など、事業運営の効率化を図ることができます。大成功した例が東急ハンズで、2025年2月期は32年ぶりに最高益を更新しました。東急ハンズは2022年3月にベイシアグループのカインズに買収されていました。利益改善に貢献したのはオペレーションの効率化で、両社で商品を相互に供給しあう、DXで連携を図ったことが奏功。東急ハンズは、店ごとに特徴を持たせた独自性に強みがありました。しかし、カインズは買収した際、定番の売場を作って定型化することに意欲を見せていました。各店舗の売場やオペレーションが均質化すると、仕入れの統合や人材交流の面でメリットが生じます。利益水準が向上した背景に、メリットを享受した可能性は大いにあります。今後のポイントは、中長期で顧客を吸い寄せる魅力を維持することができるかどうかでしょう。店舗の固定ファンが離れてしまう懸念があるためです。
ニトリは2021年3月に島忠を完全子会社化し、島忠の「ホームズ宮原店」をリニューアル。同年6月に融合店の「ニトリホームズ宮原店」をオープンしました。ところが次が続かず、島忠のニトリ化は当初想定ほどの展開には至っていません。この店舗はナショナルブランドの多くの商品を、ニトリのプライベートブランドに切り替えたことに特徴がありました。融合店の失敗は、ニトリが買収したホームセンターを、自社商品を並べる棚と考えたことに起因するものでしょう。
独自性と効率化の両立という難題が
ジョイフル本田とアークランズの経営統合によって期待できる効果として、商品力の強化と仕入原価の低減を挙げています。プライベートブランド・ナショナルブランドの相互供給によって販売を促進。仕入れを集約、一元化して収益性の向上を図るといいます。ジョイフル本田はプロ向けに強みがあり、ビバホームはDIYや園芸など日曜大工や暮らしに根差した商品展開を得意としています。経営統合によってブランドの同質化が簡単に起こるとは考えられません。一方で、効率化志向が進むと地域密着型の運営形態が少しずつ崩れて店舗ごとの独自性が失われることにもなりかねません。リピート利用が多い郊外のホームセンターの場合、それが客離れを加速させる要因にもなります。
ホームセンターは地域の人々のエンタメ施設としての役割も担っており、買い物の楽しさを提供することも重要な要素の一つになっています。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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