「お茶の伊藤園」が、香水事業を本格化する。伊藤園は、社内ベンチャー制度から生まれたジャスミン特化のフレグランスブランド「Crazy Jasmine(クレイジージャスミン)」を展開する新会社として、5月1日付で株式会社Crazy Jasmine Tokyoを設立した。
同社は5月28日から31日まで、東京・代官山の「代官山アドレス」で、同ブランド初の路面型ポップアップストアを開催する。店内では香水やルームフレグランス関連商品などを紹介し、来場者にブランドの世界観を伝える。
代表取締役社長を務めるのは、伊藤園で「 Relax JASMINE」のパッケージデザインを17年間担当してきた向田陽子氏。ボトルに描く花を知りたいと、自宅でジャスミンを育て始めたことが原点だった。現在は14種類のジャスミンを栽培しているという。
向田氏は、自宅で育てたジャスミンの咲きたての香りに可能性を感じた。「本当にいい香りで、ずっと嗅いでいられると思った」と振り返り、生の花の香りを知ってもらうことが、ジャスミン茶への関心にもつながると考えたという。
商品は、咲きたてのジャスミンの香りの再現を目指した。向田氏が育てたジャスミンの鉢を香料会社に送り、花の香気成分をガスクロマトグラフィーで分析。その結果をもとに香りを設計した。香水のほか、アロマオイル、ハンド&ネイルクリーム、ルームディフューザーなども販売する。
向田氏はデザイナーとして、ブランドロゴやパッケージ、販促物なども自ら手がける。香りだけでなく、世界観を一貫して設計できる点もブランドの強みだ。
事業化までには、約3年間にわたり検証を重ねた。2年間で21カ所のテスト販売を行い、百貨店や商業施設でのポップアップを続ける中で、ジャスミン好きの顧客が徐々に増えた。2026年1月に渋谷スクランブルスクエアで実施したポップアップでは、商品が売り切れた後も香りを試しに訪れる人がいたという。
顧客からは「ジャスミンだけの香水を探していた」「混ざっていない香水を探していた」といった声が寄せられた。新たな香りやハンドクリーム、アロマ関連のワークショップも、顧客の声をきっかけに生まれた。
飲料メーカーである伊藤園がフレグランス事業に取り組む背景には、お茶づくりで重視してきた「香り」への知見がある。向田氏は「お茶は香りがすごく重要」と話し、ジャスミン茶の開発や原料に関する社内の知見を「Crazy Jasmine」の商品づくりに生かしたという。17年間ジャスミン茶に関わってきた向田氏自身の経験も、ブランドの独自性につながっている。
今後は、ヘアオイル、入浴剤、ハンドソープなどの商品化も検討する。
さらに、将来像として「フランスで認められるようなブランドになりたい」と語り、「小さくても、強くて、美しくて、たくましい会社を目指したい」と話した。









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