「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」。今回は、いま新型コロナの感染爆発で問題になっている、「自宅療養」について、経験者の方々に取材しました。
先日、入院できずに自宅療養中に命を落とす方も出ていて、早産で、新生児が死亡したという痛ましいニュースもありましたが、いま、「自宅療養」が問題になっています。もし自分が自宅療養となってしまったらどうなるのか?医療を受けられるのかどうか、心配の声があがっています。そこで今日は、自宅療養を経験した当事者の方、お2人に、話を聞きしまた。まずは、7月末に、20代の娘さんが感染して、自宅で看病にあたっていたという、東京都青梅市の50代の女性のお話です。

保健所から電話が来ない

「1週間位経ってから「パルスオキシメーター」と「自宅療養のしおり」というのが送られてきた。10日過ぎてから、支援食料を送ってくださって、すごく時間がかかった。健康観察もあるのかなと思ったのですが、特になくて、聞き取りの電話がかかってくるまでにも、全然かかってこないなと思って、こちらから「お電話まだですか?」と、忘れちゃったのかなと思ってかけると、「順番にかけるので待ってて下さい」と言われる。子供自身がいつ急変するかとか、誰にも聞けない状態だったので、緊張感がありました。」(東京都青梅市・50代女性)
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自宅療養では、保健所の健康観察や訪問診療などで急変に備えるという話もありましたが、現実的には、手が回っていない状況のようです。保健所からは最初の聞き取りの後、10日間音沙汰がなく、食料もなかなか来ない、重症化をチェックできるパルスオキシメーターが届いたのも1週間後と、ほぼ放置状態。家族全員が濃厚接触となり、娘さんの容態が悪化したら救急車を呼んで良いのかさえ、わからなかったそうです。実は、こうした時どうしたらいいのかが書かれた「自宅療養者向けハンドブック」があるのですが、これも「送ります」と言われて、届くまでに1週間。実は、都のサイトに公開されているので、それだけでも先に教えてもらえたらと話していました。

「軽症」でも辛い

当事者に話を聞くと、7月の下旬から8月にかけて、すでに保健所のフォローが全く追い付いていない状況がわかりますが、もちろん、「軽症」なら大丈夫、というわけではありません。続いての自宅療養者、2人目の方は、イメージをはるかに上回る「軽症」の辛さを教えてくれました。
東京都江東区の、40代の女性です。「感染当初は熱が高くても、元々の体力があるので多少動けてるが、だんだん食事ができなくなってくると、起き上がるのもつらい、トイレ行くのもつらい。動きたくなくてずっと寝ていたい。このだるさとつらさは軽症なんていっても全然つらいですね。いつ治るんだろう、ちゃんと生きられるのかなとか、ひとり暮らしだとメンタルやられる。やっぱり入院したい。つらすぎたので。」(東京都江東区・40代女性)実いまは、基本的に肺炎がなければすべて「軽症」とされます。でもやはり、人によって幅があって、短期間のせきや発熱で終わる人がいる一方、この方のように、つらい「軽症」もあるようです。 この方は接客業をしていて、やはり先月の下旬に、体調を崩して救急車で運ばれたそうですが、当時ホテルがいっぱいだったので、やむを得ず、自宅療養となったそうです。一週間以上激しいだるさが続いて、トイレも這って行くような状況で相当つらく、あまりにもよくならないので最終的には入院できたそうですが、精神的にも参ってしまったと教えてくれました。やはり入院できる体制を整えて欲しいところですが、現実は、病床が足りていないので、「原則・自宅療養」という方針。

経験者に聞いた、自宅療養の必需品

では、私たちが、自宅療養になる前に、備えておくべきものは何か。
先ほど、話を聞いたお2人は、体験した立場からこんなお話をしてくれました。「うちの場合は震災の時の経験があったので、普段食べてるものを多めに買っておく習慣があったので、何とか食べていけた。消毒剤とかマスク、除菌シートもストックしてたので、助かりました。 」(東京都青梅市・50代女性)「やっぱりあの水分も2ℓとか大きなサイズを選ぶかもしれないけど、コップに移すのが重すぎて大変だったので、500ミリとか小さいサイズで、起き上がって飲むのが大変なのでストローは必ず必要だと思った。後は、すぐ食べられるもの、おかゆやゼリーなど、何もしなくても開けたらすぐ食べられるもの。 」(東京都江東区・40代女性)▼自宅療養者に保健所から送られてきた資料。自宅療養中に体調が悪化した場合、速やかに119番して下さい。
経験者に聞いた、自宅療養の必需品
調理の必要ない食べものと、スポーツドリンクなどの水分は小さめのペットボトルで用意。ストロー、消毒剤。家族を看病する場合は、消毒作業ごとに使い捨てできる雨合羽などを、多めにストックしておくと、良いようです。それからなかなか届かないというパルスオキシメーター。こちらは医療機器認証されたものが必要ですが、すでに品薄で、感染してから買うのでは間に合わないので注意が必要です。
また、「自宅療養者向けハンドブック」は都のサイトからあらかじめダウンロードしておくのが良いようです。ちなみに、お話を聞いた方たちは、今は回復されているようですが、感染した娘さんは、現在、味覚障害の後遺症。後半の女性は、立ちくらみなどの後遺症に苦しんでいるそうです。
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