南アフリカ・ケープタウン近郊の養豚場から保護されて画家として有名になった“ピッグカソ(Pigcasso)”。そのピッグカソによる抽象画が、このほど動物が描く作品の落札価格を更新した。
『IOL』などが伝えている。

2016年に生後4週間で養豚場から保護され、芸術に目覚めた豚の“ピッグカソ”。農場「ファーム・サンクチュアリーSA」のオーナーであるジョアン・レフソンさん(Joanne Lefson)が色を決めてキャンバスに誘導すると、ピッグカソが絵筆を口にくわえて一心不乱にキャンバスに塗っていく様子は芸術家そのものである。ピッグカソのアートワークは現在400点以上もあり、ほとんどが売却済みだ。また2019年にはスウォッチの腕時計のデザインを手がけるなど、活躍ぶりは衰えていない。そんなピッグカソの作品が、このたび高額で落札された。


「Wild and Free」というタイトルのその作品は、1.6メートル×2.6メートルのキャンバスに青をベースにのびのびと描かれている。同作品がソーシャルメディアに投稿されると12月13日、ドイツのアートコレクターであるピーター・エッサーさん(Peter Esser)が40万ランド(約290万円)で落札した。ピーターさんは2018年にピッグカソの作品と出会ってからファンになり、その後は数点を購入しているそうだ。そしてこの落札価格は、2005年にロンドンのボナムズ・オークション・ハウスでチンパンジーの“コンゴ”が描いたテンペラ画3点の落札価格25万7,506ランド(約189万円)を上回るものとなった。

ジョアンさんは「単に視覚的に美しいというだけでなく、ピッグカソにとっても、農場の動物たちにとっても深い意味を持つアートです。この絵を見て、彼らの知性、個性、創造性に大きな価値を見出さずにはいられません」とコメントしている。


ちなみにピッグカソの作品に注目している著名人は多く、霊長類学者であるイギリス人のジェーン・グッドールさん(Jane Goodall)はピッグカソの熱心なコレクターで、米ドラマ『ゴシップガール』に出演したイギリスの俳優エド・ウェストウィックさん(Ed Westwick)はピッグカソに依頼するために農場まで足を運んだことがあるそうだ。また2022年にはオックスフォードとアムステルダムの国際アートフェアに展示される予定であり、ピッグカソの作品が世界に羽ばたいている。



画像は『IOL 2021年12月22日付「Pigcasso brings home the bacon after selling an abstract artwork for a record R400 000」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)