まずはダブルスでテニス強化を目指す
強烈なフォアハンドに加え、ネットプレーでは天才的なタッチを見せる上杉海斗(江崎グリコ)。松井俊英(ASIA PARTNAERSHIP FUND)とのペアでツアーを周り、今秋には「大正製薬リポビタン 全日本テニス選手権96th」で優勝。
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その彼が現在使うラケットは、プリンス「ファントムグラファイト100ハイドロゲン」である。しなりが特徴のボックス形状ながら、薄くて強い「テキストリーム×トワロンテクノロジー」を採用。パワーもある同モデルに対して、どんな印象を持っているのか。ラケットに関して、今後について、といろいろと質問をぶつけてみた。
Q.以前は薄いフレーム厚が特徴だった「ファントムO3 100」を使用していました。そのあと「ファントムグラファイト100」に変え、次にスペシャルコスメ・バージョン「ファントムグラファイト100ハイドロゲン」を使用されています。どういう理由で“ファントム・グラファイト”に変更したのでしょうか?
「まず『ファントム・グラファイト』を使った時に、自然と上に飛んでくれるというか、軌道が上がりやすいと感じたんです。それと僕は、しっかりスイングした時に、いかにコントロール性があるかというところを見ていて、『ファントム・グラファイト』が一番しっくりくるというか、しっかりスイングしてもパワーが出つつ、コントロールしやすいというのが一番だったんです。フレームが厚い分、力が伝わりやすいかなというのは思いました。打球感だけを言ったら、正直O3(オースリー)タイプのほうが好きは好きなんですけどね(笑)」
Q.ボールの持ち上がりやすさという部分は譲れないところなんですか?
「ボールが持ち上がりやすい分、スピンもかかりやすいということですね。
Q.そのほか、こだわる部分はどこでしょうか?
「フレームはどちらかというと、少ししなるものが好きですね。ストリングはポリの2本張りで、元々54ポンドで張っていて、弾きつつも、ラケットの性能で乗せる感じが好きなんです。ゆるめのストリングで乗せて打つのが好きな人もいると思うんですが、僕は逆で。ただ、ヒジを痛めた時期を経て、今は50ポンドで張っています。ナチュラルガットも試したことはあるのですが、ノリが良すぎて僕はダメだったんですよ」
Q.しなるラケットが好なんですね。
「そうですね。扱いやすいです。ただ、あまりに角張ったフレームだと、自分のスイングスピードに負けて伸びない時もあります。ボレーするとか乗せる時はいいんですけどね。今のグラファイトくらいの厚みが一番好きですね」
Q.グリップサイズはいくつですか?
「グリップ3に一枚巻いている感じですね。レザーの元グリが実はダメで、手が痛くなっちゃうんですよ。しっかり握れるので、できるだけ柔らかいほうが好きで、オーバーグリップも、ウエットタイプが好きです」
Q.2021年は2月から海外の大会に出場。
「今はダブルスメインで出場して、ランキングをまず戻すということを考えています。そして来年以降はチャレンジャー大会をベースにしないとグランドスラムを目指すことが難しくなるので、まずそこに食い込めるようにしていきたいと思っています。今、松井さんとチャレンジャーツアーをメインに回らせてもらっているのですが、ダブルスはカットラインが下がっていることもあるので、ドローに入れたら、泥臭く戦っていきたいですね。シングルスは今、ランキングがない状態なので、仮にITF大会にエントリーしても出られるかはわかりません。実は、システム上、ダブルスでチャレンジャー大会に出場した時に、ダブルスランキングを持っているとシングルスの予選に入れることがあるんですよ。
そのシングルス予選で1勝したら2ポイント取れます。これはITF1万5000ドル大会のベスト8と同じ。ITF大会も大事ですが、ITF大会で予選3回勝って本戦で1回勝って1ポイントというよりも、まずダブルスで、チャレンジャーレベルでのテニスをしっかりやっていくこと。そして、予選に出られるところがあったら頑張っていくことで、単複チャレンジャーレベルで戦っていける可能性があると思っています。そこを目指して戦っていきたいですね」