優待つなぎ売りで優待品をゲット!

トウシル:後編となる今回は、配当くんに優待銘柄への投資について伺います! 配当くんはいつ頃から優待銘柄への投資をされていたのでしょうか。


配当くん:投資を始めた頃から JT(日本たばこ産業:2914) などの日本株を、長期で保有していて、優待品をもらうことがありました。しかし、当初は優待は単なる「おまけ」で優待投資をしているという意識はなかったと思います。

私がはまったのは、「優待つなぎ売り」です。


トウシル:いつ頃「優待つなぎ売り」を始めたんですか?


配当くん:2020年の頭ごろなので、つなぎ売りを積極的に始めてからは3年半くらいになります。優待銘柄は日本独特の制度で、優待品や配当金をもらえることは、投資初心者時代にはやはりとても魅力的に感じるところがありました。その後、優待つなぎ売りという手法を知り、今はほぼそれしかしていないという感じです。


優待つなぎ売りとは

1年間で届く優待は約100個! 配当くんインタビュー[後編]
*優待つなぎ売りとは、現物取引の買い注文と、信用取引の新規売建注文を行うという、投資手法です。
* 優待つなぎ売りとは>>

トウシル:どれくらいの額を優待つなぎ売りに投入されているんですか?


配当くん:毎年、約200万~300万円を、年間、優待つなぎ売りに使っています。


 夫婦2人合わせて優待投資をしているのですが、毎月、権利付最終日までに優待銘柄をつなぎ売りをしています。こうすると、権利付最終日が終わったら株価が下がってしまうというリスクを取らずに、優待品をもらえるというメリットがあります。


 約200万円を駆使すると、年間100くらいの優待品をいただけるので、生活を補填(ほてん)するのにとても役立ち、節約生活も楽しくなるんですよ。


トウシル:優待つなぎ売りを始めてみたい、という人に対して、なにか注意する点などはありますか? 


配当くん:売り建ての仕方には選択肢があり、手数料が分かりやすいものと分かりづらいものがあります。選ぶときには、手数料が分かりやすい「一般信用」を選択してください。


 あとは、優待つなぎ売りは信用売りをして現物を買うことを同時に行う方法なのですが、それを手じまうところまでしっかりしなければ、売り建てで手数料がずっとかかっていってしまうんですね。ですので、計画的でマメな人、スケジュールを守れる人じゃないとできないかなと思います。


トウシル:やったことがない人にとっては、信用取引自体がちょっとハードル高めだと思うんですが‥。


配当くん:優待つなぎ売りは、売買を前提に銘柄を確保するものなので、銘柄を保有している期間が短くてすむため、値下がりのリスクが少ないのがメリットなんです。


 長期を前提としたものは長期で資金がロックされるようなものなので、どうしても効率が落ちます。ロックされている間にも株価が上がったり下がったりするので、利益になることもあれば損失になることもあります。


トウシル:初心者の方は、「売り時を逃す」というリスクがあるのですが、優待つなぎ売りは逆にそのリスクを減らせるんですね。


配当くん:はい。優待つなぎ売りは現物と信用を同時に出してクローズするので、利益も損失も出ません。

保有しているのは1週間~2カ月の間で、何回でも回転できるのが特徴です。


 リスクの少ない投資=長期保有と思われる方もいるだろうと思うのですが、長期保有をして利益を得るには、長く持っていても大丈夫な銘柄かどうか、判断する知識やスキルが必要です。


 優待つなぎ売りは比較的短期間で手放すので、手元の現金でできますし、つなぎ売りをやめてほかの投資に回したりもできるという自由度の高さもメリットなんです。そういう意味では、初心者にとっては優待つなぎ売りのほうがリスクが少ないといえるのではないかとも思います。


トウシル:実は初心者向けの投資法かもしれないと。


配当くん:はい。

仕組みやサイト上での手続きをしっかり理解しさえすれば、リスクが怖い人、現金が手元に50万円、100万円しかないという人にとっては、むしろメリットしかないんじゃないかなと思います。


配当くんが注目する3月優待の一押し銘柄

――3月の優待で、配当くんが一押しの銘柄は何ですか?


 カタログギフトがもらえる オリックス(8591) や、 トリドール ホールディングス(3397) 、 カッパ・クリエイト(7421) などの外食系、 エディオン(2730) 、 ヤマダホールディングス(9831) などの家電系ですね。エディオンやヤマダHDは株主優待でおもちゃが買えるので、子どもがいる私にとって推し銘柄なんです。


トウシル:損得抜きでお気に入りの優待銘柄はありますか?


配当くん: 日本マクドナルドホールディングス(2702) ですね。これも自分も家族も食べられるというのが気に入っている理由です。


トウシル:それにしても疑問なのですが…1億円も資産がある人が、外食の割引券や、ジュース、洗剤が送られてきても、やっぱりうれしいものなんでしょうか(笑)。


配当くん:めちゃくちゃうれしいですよ! 家族で外食に行くとき、ショッピングモールのフードコートを利用することが多いのですが、そこに入っているチェーン店の多くが「株主優待銘柄」なので、優待券を使って支払いができるんですよ。


 食費が浮いた分お金は投資に回します。私がつなぎ売りでゲットしている優待品は、飲食店で割引券がもらえるもの、洗剤や掃除用品など必ず使う日用品系のもの、コンビニなどで使えるQUOカードものなどがほとんどです。つまり、支出を下げるために役立つものばかりなんです。


トウシル:前編で「生活レベルを上げたくない」とおっしゃってましたが、優待品も節約テクニックの一つなんですね(笑)。ふだんは買わないぜいたく品などをもらいたいといった気持ちはないのでしょうか。


配当くん:ないですね(笑)。

優待も、食費や日用品代を浮かせられる銘柄が好きです。


トウシル:お金持ちになってぜいたくをしたい、ということが目標ではない、という配当くんの、投資のモチベーションって、何になりますか? 


配当くん:モチベーション…というより、単純に投資がおもしろい、というのが投資をしている理由ですね。資産額を競ったり、高価なものを買って自慢したいといった欲もありません。


 私が幸せを感じるのは、ものを得ることではなく家族といる時間なんです。高級レストランでの食事より、子どもと一緒に行けるお店で一緒に食べられることのほうに幸せを感じます。「足るを知る」という価値観が根底にあるんですよね。


 上を見ればきりがないですし、高級品を買ったところで、すぐに飽きてしまうだろうとも思います。その価値観を妻と共有できているのも大きいのかもしれません。


1日でも早く投資家になろう!

トウシル:配当くんの今後の展望を教えてください。


配当くん:子ども2人がどんな将来を選んでも大丈夫なように、これまで通り社会人をしながら、長期で資産運用を続け、入金を継続したいです。この先、昇給したとしても、生活レベルは上げずに、昇給分も入金に回していこうと思っています。


 定年を迎える60歳まで(私の頃は65歳定年になっているかもしれませんが)、働き続けることになるのか、その手前で資産5億円を達成してFIREすることになるのか、どちらが先になるのかを、楽しみにしながら生活していきたいなというのが展望といえるものかなと思います。


トウシル:最後に、投資初心者に向けてアドバイス、メッセージをお願いします!


配当くん:投資だけで何かをしようとするのは、その分リスクも高くなります。そのため、副業などで少しでも収入を上げ、支出を下げる努力をしましょう。その差額が入金できる金額になります。また、私が意識しているように、生活レベルをむやみに上げないことも大切です。


 収入を上げること。支出を下げること。適切な運用をすること。


 この三つをしっかりやれば、何もしないよりは断然、資産形成が力強くなっていくと私は考えています。


 銀行預金やタンス預金では、何年たっても資産は増えないのが現状です。しかし、世界経済はしっかりと成長していて、S&P500種指数(S&P)は、過去30年の間で、18倍ぐらいに成長しているんです。2016年からコツコツ、毎月定額で買い続けている楽天・全米株式インデックス・ファンド(VTI)も、この6年間で倍になっています。


 20年30年という長期で続けるとすると、過去の歴史を振り返って考えてみても「投資家にならない理由はない」と思います。


 2024年には新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)が始まりました。制度も金額も大きく拡充されて、投資家にとってはとても良い環境が出来上がりつつあります。


 私は生涯の非課税保有限度枠の1,800万円(成長投資枠はうち1,200万円まで)を、持っている特定口座分を崩して、新NISAに移行するなどして、最短5年で枠を埋めたいと思っています。ぜひ皆さんにも、「1日でも早く投資家になろう!」と伝えたいです!


トウシル:本日はありがとうございました!


>> 「優待と米国株で資産1億円を突破!配当くんインタビュー」[前編] を読む!


(トウシル編集チーム)