今日は、株価の割安・割高の判断に役立つ指標、PBRについて学べるクイズを出します。最近注目を浴びている「PBR1倍割れ銘柄」の投資価値について考えてみましょう。


今日のクイズ

 株式投資をするとき、投資する銘柄の株価純資産倍率(PBR:ピービーアール)を見ていますか?


「PBR1倍割れだから株価は割安」とか、「PBR5倍だから割高」といった話を聞いたことがあるかもしれません。


 まずはこのクイズに挑戦してみましょう。


<クイズ>以下【1】~【6】のうち、PBR1倍割れ銘柄に多い特徴はどれでしょう。三つ選んでください。


【1】財務内容が悪いと思われている
【2】財務内容が良いと思われている
【3】自己資本利益率(ROE)が高い
【4】ROEが低い
【5】成長性が高いと思われている
【6】成長性が低いと思われている


【参考】PBR、ROEの計算式
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【投資クイズ】日本株に多いPBR1倍割れ銘柄、買うならどの銘柄?
【参考】ROEの計算式

PBR1倍割れの意味

 PBRについての説明に入る前に、企業のバランスシート(資産残高を左側に、負債と資本の残高を右側に記載したシート)について説明します。


バランスシート(貸借対照表)=資産・負債・資本の目録
【投資クイズ】日本株に多いPBR1倍割れ銘柄、買うならどの銘柄?
出所:筆者作成、簡略化のため純資産=自己資本としています

 バランスシートを見ると、事業に使う資産を得るための資金をどう調達したか分かります。上の例では、資産100億円を、負債(借金など)60億円+資本(株主の出資金など)40億円で調達したことが分かります。


 この会社は、自己資本比率(資本÷総資産)が40%です。


 それでは、続けてPBR1倍の意味を説明します。かんたんな例で説明します。40億円出資して企業を設立、60億円借金し、合わせて100億円の資産を持つ企業を考えてください。その企業がいきなり株式市場に上場したとして、株式時価総額はいくらになるでしょう。まだ何もしていない会社ですから、普通に考えれば40億円です。それが、PBR1倍です。


【投資クイズ】日本株に多いPBR1倍割れ銘柄、買うならどの銘柄?
出所:筆者作成、簡略化のため純資産=自己資本としています

 例えば、自己資本(純資産)30億円でも、将来、利益をどんどん稼ぐとの期待が高ければ、株式時価総額は60億円になることもあります。


 この状態が、PBR2倍です。ところが、将来、赤字が続いて資本を食いつぶしていくと考えられれば、自己資本が50億円でも株式時価総額は25億円となることもあり得ます。その状態が、PBR0.5倍です。


【投資クイズ】日本株に多いPBR1倍割れ銘柄、買うならどの銘柄?
出所:筆者作成、簡略化のため純資産=自己資本としています

 このように、PBRには、投資家による、企業の将来性への評価が反映されます。


正解

 PBR1倍割れ銘柄に多く見られる特徴は、【1】【4】【6】です。


【1】財務内容が悪いと思われている
【4】ROEが低い
【6】成長性が低いと思われている


 一方、【2】【3】【5】は、PBRの高い銘柄によく見られる特徴です。


【2】財務内容が良いと思われている
【3】ROEが高い
【5】成長性が高いと思われている


PBR1倍割れ銘柄に投資するならば、どのような銘柄が良い?

 既に自明かもしれませんが、PBR1倍割れで、以下、【2】【3】【5】の特徴を持った銘柄があれば、積極的に投資していきたいところです。


【2】財務内容が良いと思われている
【3】ROEが高い
【5】成長性が高いと思われている


 それら全てを満たす銘柄はなかなかありません。【2】【3】【5】のうちの一部だけ満たす銘柄でも良いとは思います。


<「PBR1倍割れ」参考銘柄の株価指標:2026年4月14日時点>
【投資クイズ】日本株に多いPBR1倍割れ銘柄、買うならどの銘柄?
出所:配当利回りは2026年3月期1株当たり配当金(会社予想)を4月14日株価で割って算出、PERは4月14日株価を2026年3月期1株当たり利益(会社予想)で割って算出。QUICKより楽天証券経済研究所作成

 上記は、いずれもPBR1倍割れで、私が今、投資して良いと判断している銘柄です。 JR東海(東海旅客鉄道:9022) 以外は、配当利回りも高めで魅力的です。以下の通り、財務内容や収益力も問題ないと考えています。


<上記参考銘柄のROE・自己資本比率・最高益更新年:2026年4月14日時点>
【投資クイズ】日本株に多いPBR1倍割れ銘柄、買うならどの銘柄?
出所:ROEは2026年3月期の会社予想利益から計算、QUICKより楽天証券経済研究所作成

 ROEは、 王子ホールディングス(3861) は4.5%とやや低めですが、他は特に問題ありません。

自己資本比率はどれも40%を超えていて、財務は良好と言えます。 トーモク(3946) やJR東海は2025年3月期に続き、2026年3月期も純利益で最高益を更新する見込みです(まだ決算発表されていません)。


  安田倉庫(9324) は、2026年3月期に6年ぶりに純利益で最高益を更新している見込みです。


なぜ今、PBR1倍割れが注目されるか?

 東京証券取引所の上場企業で、「PBR1倍割れ」銘柄が約33%(約3分の1)を占めています。財務内容が悪くて、収益力に問題があってPBR1倍を割れている銘柄ばかりならば、やむを得ませんが、そうではありません。財務内容が良好で、収益力も安定しているのに、PBR1倍を割れている企業が、日本にはたくさんあります。


 自社株買いを増やしてROEを高めるなど、株価を上げる努力が足りないことが原因と考えられます。


 これに対して、東京証券取引所は、PBR1倍割れなど株式市場での評価が低い企業に対して、「株主価値改善策の開示と実施」を要請しました。これを受けて、PBR1倍割れなど割安株で、自社株買いを増やすなどの動きが出ています。


 また近年、PBR1倍割れなど、株価の安い企業に対して、「合意なき買収」を仕掛ける動きが増えてきたことも、企業経営者に株価を引き上げるインセンティブを与えています。


 そういう背景があって、今、日本株市場で、PBR1倍割れ銘柄の上昇が目立つようになり、注目されています。


株式投資のテクニカル・ファンダメンタルズ分析を勉強したい方に

 最後に、テクニカル分析・ファンダメンタルズ分析をしっかり勉強したい方に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「 株トレ 」(黄色の本)と、決算書の見方など学ぶ「 株トレ ファンダメンタルズ編 」(水色の本)が出版されています。

どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ内容です。


【投資クイズ】日本株に多いPBR1倍割れ銘柄、買うならどの銘柄?
「株トレ」 シリーズ2点 書影

(窪田 真之)

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