ディスコの2026年3月期4Qは、10.2%増収、13.6%営業増益。生成AI関連出荷額は、2025年3月期約550億円、2026年3月期約750億円と順調に伸びた。
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄: ディスコ(6146、東証プライム)
1.ディスコの2026年3月期4Qは、10.2%増収、13.6%営業増益。
ディスコの2026年3月期4Q(2026年1-3月期、以下前4Q)は、売上高1,330.62億円(前年比10.2%増)、営業利益587.78億円(同13.6%増)となりました。売上高、営業利益は過去最高を更新しました。
業績のトレンドを表す連結出荷額は、前3Q1,136.65億円から前4Q1,216.64億円へ伸びました。会社予想1,169億円に対して約48億円上回りました。ダイサ、グラインダ等の精密加工装置が若干会社予想に対して未達となりましたが、これはOSAT(後工程専門業者)中心に出荷が後ずれしたためです。会社側ではトレンドの変化に繋がるものではないとしています。
装置自体の出荷は前3Q比では増加していますが、これはメモリ向け(AI半導体に不可欠のHBM向けが中心)、OSAT向け、CMOSイメージセンサ向けが増加しました。ただし、パワー半導体向け、ウェハメイキング向け(グラインダ)は若干減少しました。
一方で、消耗品(ブレード、洗浄液等)、その他が上振れました。
年度ベースで見ると、生成AI向け出荷額は2025年3月期約550億円、2026年3月期約750億円となっています。2026年3月期のHBMとロジック(GPU等のAI半導体本体部分)の比率は若干ロジックが高かった模様です。2024年3月期の生成AI向け出荷額は開示されていませんが、生成AI向けが急増したのが2024年3月期4Q(2024年1-3月期)からなので、2025年3月期の増加率はかなり高かったと思われます。2025年3月期は概算でロジック3対HBM7だったので、2026年3月期は生成AI向けでもロジック向けが大幅に伸びてHBM向けは横ばいだった模様です。
地域別売上高を見ると、中国向けの伸びが目立ちます(グラフ4)。OSAT向けとCMOSイメージセンサ向けが伸びました。台湾向けも伸びていますが、OSAT向けと生成AI向け(主にAI半導体本体のロジック向け)が伸びたと思われます。一方で、韓国向けは低水準でした。2026年3月期はHBM向けが横ばいだったためと思われますが、2027年3月期はHBM向けの伸びによって韓国向けの回復が予想されます。
表1 ディスコの業績
表2 ディスコ:連結売上高、出荷額
グラフ1 ディスコ:売上高、受注高、出荷額と営業利益(連結ベース)
グラフ2 ディスコの営業利益率
グラフ3 ディスコの製品別出荷額
グラフ4 ディスコの地域別売上高
2.2027年3月期は2026年3月期よりも増収増益率が高くなると予想される。
会社側は今1Q業績予想を、売上高1,061億円(前年比18.0%増)、営業利益420億円(同21.8%増)としました。前期2026年3月期の各四半期に比べ前年比が高くなる予想になっています。また、会社予想では出荷額は1,320億円と引き続き伸びると予想されます。生成AI向け、OSAT向けが伸びると予想されます。
米国大手IT(アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズ)の2026年1-3月期決算と設備投資実績、今後の見通しは4月29日(日本時間では4月30日早朝)に開示される予定です。ただし、これまでに出たTSMC、ASMLホールディングの2026年1-3月期決算からは、2026年も生成AI向け設備投資は高い伸び率で増加すると予想されます。
これらを総合的に考慮し、楽天証券ではディスコの2027年3月期を売上高5,500億円(前年比25.9%増)、営業利益2,400億円(同29.7%増)、2028年3月期を売上高6,400億円(同16.4%増)、営業利益2,900億円(同20.8%増)と予想します。2027年3月期は前回予想と同じです。2028年3月期は2027年の生成AI向け設備投資動向が不透明なので、保守的に見積もりました。
ただし、2027年もディスコのダイサ、グラインダ需要に大きな影響を与えるAI半導体の新しいパッケージングの進捗、AI半導体に不可欠なHBMの高度化と容量増加は続くと思われます。この見方から、2028年3月期も二桁増収増益は続くと予想します。
3.ディスコの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の8万5,000円から8万8,000円に引き上げる。
ディスコの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の8万5,000円から8万8,000円に引き上げます。
楽天証券の2028年3月期予想1株当たり利益(EPS)1,962.0円に、現在の評価である株価収益率(PER)45倍前後を当てはめました。
一定の投資妙味があると思われますが、PER水準が高いため、株価変動リスクに注意する必要はあります。
なお、2026年4月24日に中国の生成AI「DeepSeek v4」が公開されました。料金は「Claude Opus 4.6」の7分の1、各種ベンチマークテストは良好で、ファーウェイ製AI半導体「Ascend 950PR」で運用されています。「Ascend 950PR」の価格は、5万元(約120万円)以上または7万元(約160万円)以上です。公表上のスペックは、エヌビディアの一世代前のAI半導体「H100」とその拡張版「H200」の間です。
この「DeepSeek v4」が米国の生成AIにどのような影響を与えるか、そして、2026年の生成AI向け設備投資は年初に示された通り大きな伸びが続くのか、4月30日早朝に開催されるアマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズの決算説明会で何らかの指摘がある可能性があります。その内容次第では、今回のディスコの投資判断を(上にも下にも)変更する可能性があります。
表3 「DeepSeek v4」と他の生成AIとの価格比較
本レポートに掲載した銘柄: ディスコ(6146、東証プライム)
(今中 能夫)

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