自動車の「地方版図柄入りナンバープレート」、街でも見かけるようになりましたが、実際どれほど普及しているのでしょうか。地域によって差があるものの、「軽自動車の白ナンバー」には遠く及ばないようです。

地方版図柄入りナンバー申込件数、「軽の白ナンバー」に遠く及ばず

 国土交通省が2021年10月29日、第7回となる「新たな図柄入りナンバープレートの導入に関する検討会」を開催。導入が予定されている新たな図柄入りナンバープレートの進捗や、今後に向けたナンバープレート制度の在り方などが話し合われました。

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地方版図柄入りナンバープレートの例(乗りものニュース編集部撮影)。

 国は現在、交付が終了した「ラグビーワールドカップ特別仕様ナンバープレート」「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会特別仕様ナンバープレート」に次ぐ、全国で取得可能な図柄入りナンバープレートの導入準備を進めています。これとは別に、2018年から各地域で交付されている「地方版図柄入りナンバープレート」の申込状況についても報告されました。

 2018年から41地域、さらに2020年から新たな「ご当地ナンバー」導入17地域で交付されている地方版図柄入りナンバーの累計申込件数は、約22万3000件(2021年3月末現在)。

9月に申込が終了したオリパラナンバーの約289万件に、遠く及びません。

 もっとも、そのオリパラナンバーの9割を占める約253万件は、「自家用軽自動車の寄付なし」、つまり白地プレートの右上に大会エンブレムのみがあしらわれた、いわゆる「軽の白ナンバー」です。

 オリパラナンバーの場合、申込時に1000円以上の寄付をすると、全面に図柄の入ったプレートが交付されるようになっており、その寄付金によってノンステップバス64台、UD(ユニバーサルデザイン)タクシー106台に対して助成金が交付されたといいます。しかしながら、多くのユーザーが選んだのは「寄付なし」であったわけです。

「軽の白ナンバー」について、関東地方のある軽自動車ディーラーは、「希望ナンバーをお望みの場合などに『白にもできますよ』というと『じゃあ』となりますね」と話しており、ディーラーも顧客へ積極的に提案していることが伺えました。しかし地方版図柄入りナンバーについては、「ディーラー等における情報提供が不足している印象がある」といった意見が寄せられているそうです。

図柄がダメ? PR手法は同じなのに伸び悩む自治体

 オリパラナンバーと比較すると申込が大幅に少ない地方版図柄入りナンバーですが、地域によってもその状況には大きな差があります。

 申込件数では、「くまモン」の図柄が描かれた「熊本」ナンバーが2万3653件で全国1位。交付地域の台数あたりで見た図柄入りナンバーの“普及率”だと、2020年新設の「飛鳥」ナンバーが3.82%で1位だそうです。

 一方、申込件数、普及率ともに58地域中の最低は「世田谷」で、それぞれ448件、0.17%。ちなみに件数は、「杉並」「板橋」「越谷」「高松」など都市部のナンバーが伸び悩んでいます。

 検討会では、自治体によるPR手法も検証されました。

たとえば申込件数6位の「つくば」と、最下位の「世田谷」を比較すると、ほぼ同様の取り組みを行っているにも関わらず、順位に大きな格差が生まれているとのこと。こうした背景もあるためか、既存の図柄の変更についても議論されています。

「軽の白ナンバー」が人気すぎた? 図柄入りナンバー普及に課題 22年には新図柄

いわゆる「軽の白ナンバー」。東京2020大会閉幕後に申込も終了した(乗りものニュース編集部撮影)。

 地方版図柄入りナンバーやご当地ナンバーは、地域のPRになるだけでなく、図柄入りナンバーの寄付金が前出の通り、公共交通や自動車の安全対策、観光促進などに使われています。今回の検討会では、自治体へ行った導入希望などのアンケート結果も公表されましたが、ここから、既存の制度への課題も浮き彫りになりました。

 それぞれ導入意向はあっても、図柄入りナンバーにおいては「広域にまたがる地域で(象徴的な図柄をひとつ)選定することが困難」、ご当地ナンバーにおいては、対象地域内の自動車保有台数が10万台以上(軽自動車はカウントしない)という「導入基準のハードルが高い」といった意見も。後者については、「人口が多い地域が優遇されて導入できる基準であり、地域振興や観光振興が本当に必要な地域が利用できない」といった批判も寄せられています。

 なお、新たな全国版図柄入りナンバーは、2022年4月半ばころからの交付開始が予定されており、現在、視認性の確認試験などが行われています。