2022年3月に廃止されるバス路線をまとめました。コロナ禍の影響による観光路線の撤退もあれば、鉄道廃止から40年近く経過しての代替バス廃止や、メインルートの橋が通れなくなったことによる廃止など、事情は様々です。
2022年3月にも全国で多くの路線バスが廃止されます。この記事では東日本の廃止路線をいくつかピックアップします。なお紹介するバスはいずれも3月31日(木)最終運行、4月1日(金)廃止です。
路線廃止・減便を行う沿岸バスの車両(宮武和多哉撮影)。
●北海道中央バス:万字線 & 岩見沢市営バス:万字線(北海道)
・廃止区間:岩見沢駅~毛陽交流センター(北海道中央バス)、栗沢支所~万字バス待合所(岩見沢市営バス)
室蘭本線の志文駅(岩見沢市)から東へ、万字炭山までを結んでいた国鉄万字線(23.8km)の代替交通として役目を担い続けていた2系統の「万字線」が、どちらも3月で運行を終了します。
廃止の要因としては、やはり極端な人口の減少にあります。昭和30年代には5000人を超えていた万字線沿線も、1985(昭和60年)の鉄道廃止から35年以上を経て、現在では200人弱まで減っています。
岩見沢市営バスの万字線は、2008(平成20)年には鉄道代替区間の末端の毛陽交流センター~万字バス待合所を北海道中央バスから引き継ぐ形で誕生したものでした。しかし以前から、北海道中央バスの残存区間も岩見沢駅~北海道グリーンランド(遊園地)間のみの短距離利用が多く、コロナ禍によるグリーンランドの利用者減少とともに売上が減少、計上していた約2000万円の助成を大幅に超過することから、ワゴン車を活用した新たなデマンドバスへの転換に踏み切りました。
なお北海道中央バスではこの他にも、1972(昭和47)年に廃止となった札沼線の新十津川~碧水間をカバーしていた滝川北竜線、札幌~新十津川を直通する「高速しんとつかわ号」も廃止となり、さらには2021年4月に廃止となった札沼線 新十津川~北海道医療大学前間の一部をカバーしていた滝川浦臼線も今年9月の廃止が取り沙汰されています。
●沿岸バス:近郊線Bコース(北海道)
・廃止区間:大町2丁目・留萌十字街~留萌信金本店前~大町2丁目
北海道北部の日本海側をエリアに持つ沿岸バスは、この他にも今回の改正で札幌直通の「特急はぼろ号」の減便、「特急ましけ号」を通年運行から特定日のみ運行へ変更するなど、大掛かりなダイヤ改正を行います。
●本宮市広域生活バス:本宮・岳線、竹ノ内線(福島県)
・廃止区間:本宮駅前~岳温泉、本宮駅前~糀免
これらバス路線の大部分は本宮市の隣、大玉村を通ります。
●東京都交通局(都営バス):S-1、東20など3系統(東京都)
・廃止区間:錦糸町駅前~浅草雷門~上野松坂屋前(S-1)ほか
2012(平成20)年の東京スカイツリー開業に合わせて運行を開始したS-1系統は、この路線専用の銀色のバスが運用に就き、「東京→夢の下町バス」との愛称で運行されました。しかしスカイツリー構内に入らないことなどから、観光利用は東武バスやJRバスなどの路線に押されていました。とはいえ停車場所を絞っていることから、既存の都08・錦37などの速達便として、地域の人の利用も多く見られたものです。
●荒川区コミュニティバス「さくら」:町屋さくらルート(東京都荒川区)
・廃止区間:新三河島駅~町屋6丁目都営住宅~尾久橋(熊野前)
(3月31日〈木〉最終運行、4月1日〈金〉廃止)
既存のコミュニティバスの好調を受けて2014(平成26)年に運行を開始しましたが、利用者は既存の「さくら」「汐入さくら」ルートより平均乗客が半分を下回る状態が続き、2020年には一部区間を廃止。さらにコロナ禍による利用者の激減が重なる形で、路線運営の委託元である京成バスから撤退の申し出を受け、廃止となります。
全体としては乗車人員の低迷が続いたものの、平成初期に竣工した都営住宅が並ぶ町屋6丁目から、京成・地下鉄・都電が集まる町屋駅への利用は多かったといいます。しかしそれ以外の区間で利用者がなかなか伸びないうえ、徒歩圏内に都営バスが並行して運行されているため、この路線を取り巻く環境は厳しいものがありました。
●西東京バス:福24・ひ05など6系統
・廃止区間:福生駅西口~純真女子学園(福24)、純真女子学園~創価大正門・東京富士美術館~京王八王子駅(ひ05)ほか
今回5系統が廃止される西東京バスですが、一方で西八王子エリアでは、地域バス「モリアオガエル号」廃止に伴って、2009(平成21)年以来の八王子市小津町への路線バス延伸を行います。

創価大正門・東京富士美術館バス停。
●朝日自動車:南町・伊原循環線(埼玉県草加市・越谷市)
・廃止区間:新田駅東口~南町3丁目
2009(平成21)年に開設されたこの路線は、その当時バス路線がなかった越谷市井原地区へのアクセス路線として、開業当時から1日60往復が設定されていました。しかし昨年11月に1日30往復から突然平日3往復に減便、そして翌年3月の廃止が告知されていました。
道路の異変が運命の別れ目に~東海編●岐阜バス;岐阜川島線(岐阜県)
・廃止区間:川島松倉~名鉄岐阜駅
(3月31日〈木〉最終運行、4月1日〈金〉廃止)
この路線の始終点である川島松倉は、木曽川の中洲に位置する各務原市川島(旧・川島町)にあり、名鉄バスとの乗り継ぎで愛知県一宮市に抜けられることから、前述のテレビ番組に登場したこともあります。
しかし2021年、災害により岐阜市側と川島を結ぶ「川島大橋」に傾きなどの変異が見つかり、撤去のうえ新設することに。川島線は一部ルートを変更し、大幅減便のうえで運行を続けていましたが、この改正で名鉄本線 笠松駅への路線新設と入れ替わる形で廃止となります。

名鉄バス・岐阜バスが乗り入れる川島(川島松倉)停留所。今回のダイヤ改正で岐阜バスの岐阜行きが姿を消す(宮武和多哉撮影)。
●裾野市自主運行バス「すそのーる」青葉台線・岩波駅線(静岡県)
・廃止区間:裾野駅~青葉台団地、岩波駅~下和田上
通勤・通学への足として、市内の住宅街からJR御殿場線の裾野駅、岩波駅を結ぶ路線でしたが、コロナ禍後の営業成績の落ち込みが激しく、今回の廃止に至りました。
●焼津市自主運行バス:大井川西部循環線線(静岡県)
・廃止区間:大井川庁舎~焼津市民病院前~大井川庁舎
廃止となる自主運行バスにかわって、しずてつジャストライン・焼津大島線が大井川庁舎まで延伸されます。
バス乗り継ぎ番組の今後に黄信号?~甲信越編●新潟観光交通バス:新飯田新町~燕町線(新潟県)
・廃止区間:燕駅前~燕労災病院~新飯田新町
(3月31日〈木〉最終運行、4月1日〈金〉廃止)
JR燕駅から新潟市南区新飯田(にいだ)の区間は、1993(平成5)年まで鉄道(新潟交通電車線)によって結ばれていました。
●塩尻市地域振興バス「すてっぷくん」中心市街地循環線(長野県)
・廃止区間:塩尻駅前~桟敷交差点~市営球場~塩尻駅前
社会実験として運行されていたデマンドバス「のるーと塩尻」が好調を保っているため、今後は他の6路線も、定時運行バスから順次変更される予定です。ただ塩尻市は松本方面と諏訪方面を結ぶ要衝にあり、この「すてっぷくん」のバスはテレビ東京系「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」にも何度も登場していました。4本の国道が交差する塩尻市から定時運行の路線バスがなくなると、同番組における甲信越地域でのルート作成が難しくなるかもしれません
●頸北観光バス:上直海線(新潟県)
・廃止区間:柿崎バスターミナル~上直海(かみのうみ)ほか
信越本線 柿崎駅前のバスターミナルに発着する4路線のうち、山側に向かう3路線(黒岩線・水野線・上直海線)の廃止が検討されていました。今回はそのうち上直海線のみ廃止となり、残る2路線はいったん存続となります。
※誤字を修正しました(3月30日11時42分)。