JR常磐線の臨時駅である偕楽園駅には上りホームがありません。では仙台方面から来た人や、駅から東京方面へ向かう人はどうすればよいのでしょうか。
日本三名園である茨城県水戸市の偕楽園。梅の見ごろに合わせ毎春、ここの最寄りである偕楽園駅(臨時)が開設されます。これにあわせJR東日本は、臨時の普通列車や特急「水戸偕楽園号」を仕立てて、観光客の輸送に注力します。
ところで偕楽園駅は、下りホームのみで上りホームがないという変則的な駅です。臨時列車も当然、下りホームにしか停車できないため、例えば仙台発の「水戸偕楽園号」(上り「ひたち92号」)は、いったんひと駅先の赤塚駅まで走行した後、折り返して偕楽園駅の下りホームに到着します。
偕楽園を背に走るJR常磐線の特急列車(画像:JR東日本)。
では東京から偕楽園へ向かい、花見を終えいざ帰ろうとする時はどうすればよいのでしょうか。下りホームに上り列車は来ません。この場合はいったん隣の水戸駅へ向かい、そこで上り列車に乗り換える必要があります。「水戸偕楽園号」と同様、折り返し乗車です。
きっぷは偕楽園-目的駅間を購入すればよいのですが、ここでひとつ疑問がわくかもしれません。
特別に認められている区間や、乗り降り自由のフリーパスを所持している場合などを除き、きっぷの券面に書かれた以外の乗車は原則「経路外乗車」となり不正行為です。
例えば横浜高速鉄道みなとみらい線では、東急線内だけの定期券を持つ人が着席するために横浜駅からみなとみらい線へ乗り、終点である元町・中華街駅で折り返し再び東急線へ向かうといった折り返し乗車が問題になりました。横浜-元町・中華街間の往復運賃を払わないため不正乗車にあたり、横浜高速鉄道は駅構内などに注意喚起のポスターを掲示しています。

都営大江戸線の終点、光が丘駅にある、折り返し乗車の乗客に精算を促す掲示(乗りものニュース編集部撮影)。
では偕楽園の場合はどうでしょうか。結論をいうと、2023年春の開設から折り返し乗車が認められるようになりました。注意点は、仙台方面から来た場合は赤塚駅で、東京方面へ帰る場合は水戸駅で、それぞれ改札口を出ずに折り返すことです。
この特例は2023年、偕楽園駅に運賃を計算するうえで用いられる「営業キロ」が設定されたことによります。それ以前は、偕楽園駅の外方(ひとつ隣)の駅まで(から)きっぷを購入する必要がありました。