品川~名古屋間で建設が始まっているリニア中央新幹線。2016年12月、岐阜県でも本格工事が始まりました。

ただ地元には、ある心配事が存在。JR東海社長は慎重に、しっかりやると話します。

4番目の起工式、本格工事開始

 JR東海が2016年12月13日(火)、岐阜県瑞浪市内で中央新幹線・日吉トンネル(南垣外工区)について安全祈願と起工式を実施。岐阜県内でも、その本格的な工事が始まりました。

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日吉トンネルの起工式に出席した、左から清水建設の岡本副社長、JR東海の柘植社長、岐阜県の古田知事、瑞浪市の水野市長(2016年12月13日、恵 知仁撮影)。

 超電導リニアモーターカーを採用し、まず東京(品川)~名古屋間での開業を目指して建設が進められている中央新幹線。

起工式が行われ本格工事が始まった都道府県は、2015年12月の山梨県、2016年1月の東京都、11月の長野県に続き、岐阜県が4番目になります。この12月には、名古屋駅の工事も本格的に着工される予定です(愛知県内で起工式は行われていないが、すでに一部で着工済み)。

「待ちに待った中央新幹線の起工式、いよいよ岐阜県の番で嬉しく思います」(古田 肇岐阜県知事)

 岐阜県内における中央新幹線の路線長は約55kmで、うちおよそ49kmがトンネル。このたび着工された日吉トンネルは14.5kmの長さがあります。

「一番の心配事」は近くに存在する「ある鉱床」

 日吉トンネルで工事が始まるにあたり、地元・瑞浪市の水野光二市長は「地域の人々の一番の心配事」として、ウラン鉱床が近くに存在することを挙げました。

 これについてJR東海の柘植康英社長は、鉱床をルートから外すなど当初から慎重に進めてきたこと、そして可能性としてはいろいろなことがあり得るものの、モニタリングして専門家と管理し、必要なことをしっかりやると話します。

 JR東海の柘植社長は日吉トンネルの工事にあたり、安全第一、地域の生活環境に心しながら、地元と意見交換、連携をしてこれまで進めてきたとのこと。この工区では発生する残土をダンプカーではなくベルトコンベヤーで運び、道路に歩道を設けるといった対策を行います。瑞浪市の水野市長によると、そうしたJRの判断が地域の理解を深めるのに大きく役立っているといい、同市長、そして岐阜県の古田知事から、引き続き地元と協力しながら進めてほしいという声が聞かれました。

リニア中央新幹線、岐阜県も本格着工 ウラン対策は慎重に

左側にあるピンク色の線で囲まれた部分に、日吉トンネルの非常口になる斜坑が掘削される(2016年12月13日、恵 知仁撮影)。

「『夢の新幹線』が開業し、『首都圏』になる岐阜、そんなことを夢見ています」(古田 肇岐阜県知事)

 リニア中央新幹線は2027年に品川~名古屋間の開業が予定され、途中、神奈川と山梨、長野、岐阜の各県に1か所ずつ駅が設けられます。500km/hで走る「夢の新幹線」の誕生により、品川~名古屋間は最速およそ40分で結ばれる予定です。

【地図】中央新幹線の走行場所と工事進捗状況

リニア中央新幹線、岐阜県も本格着工 ウラン対策は慎重に

2016年9月30日現在における、中央新幹線工事の進捗状況(画像出典:JR東海)。