塗料不足の影響が軽微な首都高、そのワケは

 中東ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となっている影響が、じわじわ深刻化しています。石油製品の調達、とりわけナフサを原料とする塗料やシンナーの供給不足が顕在化しており、塗装の業界団体である日本塗料工業会は2026年4月14日、「トルエン等を原料とするシンナーを含む溶剤等の安定供給確保に向けた御協力について」国へ要請を行うなどしています。

【うわ、工事費どーなる…?】これが「めっちゃ塗料が必要そうな首都高の橋」です(写真)

 塗料は橋の維持管理など、インフラ整備にも不可欠です。道路建設や維持管理への影響について、首都高速道路の寺山 徹社長は4月15日の会見で状況を説明しました。

 首都高では現在、複雑かつ長大なトラス構造を持つ湾岸線「荒川湾岸橋」の大規模更新事業を進めており、塗装の塗替えを行うため足場を設置しています。今後、多くの塗料が必要になると考えられます。寺山社長は、10日に開催された閣僚会議で高市早苗首相が発言した「供給の偏り」や「流通の目詰まり」がナフサやシンナーなどに生じている点を承知しているとしました。

 ただ、現状で首都高としては「塗料の調達には問題がない」とも。

「実は私どもは、有機溶剤の塗料はほぼ使っていないんです。過去に3号線(渋谷線、2014年)と7号線(小松川線、2015年)で(塗料が原因となった)火災事故を起こしてしまいまして、その時の長期的な再発防止策として、有機溶剤を使わない塗料を技術開発してきました。いま首都高では基本的に塗替え・新規についてはシンナーを使わない水性塗料を塗ることにしています」

 もちろん、一部は有機溶剤を使った塗料を使う場面はあるものの、過去の教訓から水性塗料を基軸にしたことが「たまたまメリットとして出てきた」と話します。

 水性塗料は、調達が問題になっているトルエンやキシレンを全く使っていないのだとか。白鳥 明技術部長によると、価格の高騰についても「現状では、塗料メーカーからは水性塗料に関して影響は受けていないと聞いている」としました。

 ただし、今後は状況を注視しなければならないといいます。

寺山社長は、工事の受注後に費用が急激に変動した場合に負担を分担する「スライド条項」などを適用することで、受注者に負担をかけないよう対応するとしました。

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