窓の通り道に「タイヤ」がある!? 物理的に下げられない構造のナゾ

 後部座席に座って窓を開けた際、ガラスが途中で止まってしまい「なぜ全部下がりきらないのか」と不思議に思ったことはないでしょうか。

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 窓ガラスが下がる仕組みは、ドアパネルの内部にある空きスペースにガラスが吸い込まれるように収納されるというものです。

そのため、ガラスを完全に下げるには、ドアのなかにガラスを収められるだけの十分な収納スペースが必要になります。

 ところが、多くのクルマの後席ドアは、リヤタイヤを避けるために下部が丸く切り欠かれた形状をしています。このタイヤハウスの出っ張り(逃げ)がドア内部の空間を圧迫しており、ガラスが下りてくる進路を塞いでしまっているのです。

 つまり、物理的にガラスが収まる奥行きが足りないため、下がりきらずに残ってしまうというのが最大の理由です。

 一方で、窓を完全に下げたい車種では、窓を補助ピラーで分割する「クオーターガラス」などの工夫がなされています。上下するガラスの面積をあらかじめ小さくしておくことで、タイヤハウスを避けてドア内にスッキリ収納できるよう設計されているのです。

子どもの安全を守る「見えない柵」の役割

 窓が下がりきらない理由は、単なる構造上の問題だけではありません。そこには、意図的な「安全策」としての側面もあるようです。

故障じゃない!? クルマの後席ドア窓が「ちょっと出っ張る」理...の画像はこちら >>

後席の窓は子ども安全を最優先に?(画像:写真AC)

 一部のメーカーでは、後席に座っていた子どもが窓を開けた状態でシートの上に立ち上がった際の落下リスクを抑えるため、後席窓が全開にならないように規定しているケースがあります。

 特にミニバンでは、子どもが身を乗り出したり転落したりするリスクを軽減する目的で、後席窓の開口幅をあえて制限している設計も存在します。

 また、スライドドア車特有の理由もあります。窓を大きく開けたままスライドドアを開閉すると、車体との間に手や顔が巻き込まれて挟まれる重大な事故につながるおそれがあります。

そのため、あらかじめ窓の開口幅を半分程度に制限する(全開にさせない)ことで、危険を未然に防いでいるのです。

 一見すると不便に思える「下がりきらない窓」ですが、そこにはクルマのデザイン上の制約と、大切な家族を守るためのメーカーの思いが込められているようです。

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