イラン戦争により、改めて日本のエネルギーが湾岸地域に依存していることの問題点が浮き彫りになりました。エネルギー源の過度な中東依存は経済安全保障の面で大きなリスクであり、各国は原産国の分散化を模索していますが、供給余力のある産油国には各国から新たな注文が殺到するため、代替供給源を確保することは至難の技と言えます。
【写真】アルコールでも走れた!? これが「世界初の量産型自動車」驚きの全貌です
私たちの生活に密接に関わる「自動車燃料」は、中東地域の情勢に大きく影響を受ける石油製品の一つです。実はこの自動車燃料、地球温暖化防止の面から石油依存度を減らす取り組みが諸外国では進んでいます。それはガソリンに「エタノール」を混ぜて使う方法です。
実は、内燃機関の燃料においてエタノールは、ガソリンよりも古い歴史があります。世界初の量産型自動車として有名なフォードT型はキャブレターを調整することでアルコールでもガソリンでも走れるようになっていました。黎明期には内燃機関の主要な燃料として使われていたエタノールでしたが、低価格のガソリンが普及すると主役の座を追われていったという歴史があります。
その後、エタノールが自動車燃料として再び脚光を浴びることになったのが1970年代に起きた第一次石油ショックでした。サトウキビから大量にエタノールを生産するブラジルでは、この頃から自動車燃料に30%のエタノールを混ぜた燃料の使用を始めます。
海外では当たり前? なぜ日本で普及しないのかこの動きはその後、環境問題の高まりとともにブラジル以外の国々へ広がって行きます。多くの国ではエタノールを10%混ぜた「E10」という自動車燃料が普及し、アメリカの環境保護局(EPA)もエタノールを15%混ぜた「E15」を承認して規格化しています。
諸外国のガソリンスタンドではエタノール混合比によって4から5種類の自動車燃料が選べるようなポンプも珍しくありません。
このように諸外国では普及が進んでいるエタノール燃料ですが、日本では導入が遅れています。今、直面しているエネルギー危機への対応のためにもエタノール燃料導入は前倒しを検討してもよいのではないかと筆者は考えています。
一方でエタノールにもデメリットは存在します。ガソリンに比べてエネルギー密度が低い分、1リットルあたりの走行距離は少なくなるということです。しかし、シリンダー内の異常燃焼の起きにくさを示す値である「オクタン価」がガソリンよりも高いというエタノールの特徴を生かして、異常燃焼を抑える方向製で最適化すればエネルギー密度の低さを多少は補えるとされています。
エタノールはとうもろこしやサトウキビなどの農作物から作られるため食糧生産と競合するとの意見もありますが、地球温暖化防止と排気ガスに含まれる有害物質が少ないといったメリットの他に、生産地を多様化出来る大きなメリットがあります。経済安全保障の面では圧倒的に有利な燃料といえるでしょう。

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