事故でどれだけ保険料は上がるのか?

 自動車の任意保険は、事故による保険金支払いの有無で、ノンフリート等級(以下、等級)が上下し、保険料が決まる仕組みとなっています。仮に、悪くなった等級を「リセットしたい」と思ったら、それは可能なのでしょうか。

【高っ!】これが免許1年目で事故した場合の「保険料」です(画像)

 等級は1~20までの20段階で、事故なしに1年間を過ごせば翌年は等級が1段階アップし、割引率もアップします。逆に、事故で保険金の支払いを受けると、翌年の等級は多くの場合、3等級ダウンします(事故の内容や特約のみの利用では、1等級ダウンもしくはダウンがない場合も)。そして等級のうち、1~5等級は保険料が割り増しになることから「デメリット等級」と呼ばれています。

 はじめてクルマを買い、任意保険に加入したときの等級は6等級です。しかしここで3等級ダウンの事故を起こすと、翌年はデメリット等級の3等級になってしまうのです。

 では3等級になると、保険料はどのくらい割増になるのでしょうか。損害保険料率算出機構が公開している「自動車保険参考純率」では、6等級は「13%割引」ですが、3等級では「38%割増」になります。もし6等級で事故を起こさなければ、翌年の等級は7等級(事故なし)で「27%割引」です。つまり事故の有無により、上下で「65ポイント」の差が付くことになります。

 仮に割引、割増なしの年間保険料が10万円だったとすると、7等級では7万3000円、3等級では13万8000円となります。つまり一度の事故で、保険料は6万5000円も増えてしまうのです。

 では事故を立て続けに起こし、1等級になるとどうでしょうか。

 6等級から2年続けて無事故を続け、8等級(事故なし)になれば「38%割引」の6万2000円です。しかし1等級では「108%」の20万8000円になり、その差は14万6000円です。この数字を見ると、無事故を続けることが、カーライフのコスト削減に大きく貢献することがおわかりいただけるでしょう。

等級リセットの“抜け道”「13か月ルール」とは

 ここで「デメリット等級に落ちてしまったら、同じ保険会社で任意保険を継続せず、あらたに別の会社で契約し、6等級からはじめればいいのでは?」と考える人がいるかもしれません。

「事故っちゃって自動車保険が高すぎます。入り直せばチャラにな...の画像はこちら >>

まぶしい20等級の文字。10年以上無事故でなければたどり着けない(画像:PIXTA)

 もしそうした“抜け道”を許してしまうと、事故率のリスクに応じて保険料を割引、割り増しするというノンフリート等級制度の根幹が揺らぐことになります。そこで任意保険では、一定のルールを定め、制度の維持を図っています。

 それが「13か月ルール」です。任意保険を解約したり、満期となったりしたあとでも、その解約日、満期日の翌日から13か月以内に新規契約する場合は、1~5等級までのデメリット等級、そして同等級でも保険料に差の付く「事故あり係数」が、そのまま引き継がれるというルールです。

 もし前契約があることを隠して契約すると「告知義務違反」となります。等級情報は保険会社のネットワークで共有されているため、告知義務違反が発覚すると、追加保険料の請求や、強制解約となる可能性もあります。また低い等級による保険料の割増を逃れるため、主に運転する人以外を記名被保険者として契約することも、告知義務違反です。

 つまり保険の等級をリセットして6等級からはじめるには、解約もしくは満期からあらたな契約まで、13か月の「空白期間」が必要なのです。

 もちろんここで、「任意保険に入らない」という選択をして、空白期間を作ることも可能です。しかしもしこの空白期間に交通事故を起こせば、クルマの保険は自賠責保険(強制保険)のみとなり、事故の状況によっては被害者への賠償に多額の自己負担が生じます。経済的な理由で十分な賠償金を支払うことが困難であれば、示談が不調になり、最悪の場合、実刑により交通刑務所に服役というシナリオもありえます。

 13か月ルールのリセットを目的とした任意保険未加入でのクルマの運転は、厳に慎むべきでしょう。

デメリット等級は「契約拒否」のリスクも

 なお保険料の割り増しだけがクローズアップされがちなデメリット等級ですが、じつは別の問題も隠されています。それは「任意保険の引き受け拒否」です。

 保険会社は等級のほか、年齢や居住地など、それぞれのドライバーのリスクを織り込んで保険料を設定しています。しかし毎年複数回の事故を起こしているなど、あまりにもリスクが高いと思われるドライバーに対しては、任意保険の契約そのものが拒否される可能性があるのです。

 たとえ等級が一定以上でも、事故を繰り返し、等級が落ち続けているドライバーに対しては、任意保険の引き受けに慎重になる保険会社もあります。

 もちろん、会社ごとにスタンスは異なることから、等級が低いドライバーや事故が続いているドライバーのすべてが任意保険に加入できないわけではありません。ただ最悪の場合、こうしたケースもありうると考え、いったん事故を起こしたら、以降はそれまで以上に安全運転を心がけるべきでしょう。

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