ウクライナで実戦投入 日本企業出資の迎撃UAS

 産業用UAS(無人航空機システム)ソリューションや運航管理システムを手がけるテラドローン(東京都渋谷区)は2026年4月28日、同社がオランダ子会社を通じて出資したウクライナのUASメーカー「アメイジングドローン」が開発した迎撃用UAS「Terra A1」が、ロシア軍の攻撃用UASの迎撃に成功したと発表しました。

【完全にロックオン】ロシア製無人機を迎撃する緊迫の瞬間、動画で!

 TerraA1は全長470mm、全幅・全高270mmの小型UASで、電動モーターで駆動する4基のローターで垂直離陸と水平飛行を行うVTOL(垂直離着陸)機です。

電動機のため最大飛行時間は15分間ですが、最大速度は300km/hに達するため、プロペラを使用して飛行するUASであれば十分に対応できます。

 テラドローンの公式YouTube上には、イランがロシアに技術供与した自爆突入型UAS「シャヘド136」と思しきUASをTerra A1が追跡して接近する動画が公開されています。

 動画はこの後、いわゆる「砂嵐」状態になっていますが、Terra A1は目標に突入、または目標付近で自爆して、その破片で目標を無力化するタイプのUASなので、おそらく突入または自爆により、シャヘド136と思しきUASを無力化したものと考えられます。

ち、小さい… これでロシアUASを撃破したのか

 ウクライナ戦争で自爆突入型UASの脅威が顕在化して以降、安価な自爆突入型UASを高額なミサイルで迎撃することは費用対効果に乏しいとの声が上がっていますが、Terra A1の1機あたりの価格は2000~3000ドルとミサイルに比べて圧倒的に安価で、ロケットモーターや高度な誘導装置を備えるものの、量産効果も高いと思われます。

 2026年4月20日から23日まで、マレーシアの首都クアラルンプールで開催された防衛総合イベント「DSA2026」には、防衛装備庁の募集に応じたテラドローンによって、Terra A1の実大模型が展示されていました。

 Terra A1は筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)が想像していたより小さく、発進にカタパルトのような器材を必要としないため、少ない人数で輸送と運用が可能な、将兵にとって使いやすそうなUASという印象を受けました。

「有人飛行機のような」後継UASも

 DSA2026のテラドローンのブースで配布されていたパンフレットには、テラドローンが出資してアメイジングドローンが開発を進めている迎撃用UAS「Terra A2」のイメージイラストも掲載されていました。

 一見して小型ロケットのようなVTOL機であるTerra A1に対し、Terra A2は全長1030mm、全幅1160mmとTerra A1に比べて一回り大きく、主翼と尾翼を備えた有人航空機に近い形状のUASです。

 VTOL機ではないため発進にはカタパルトを使用しますが、最大飛行時間は40分間、最大航続距離もTerra A1の32kmから75kmに延伸されています。またレーダーシステムとの連携能力も備えています。

 Terra A2がいつごろ実戦投入されるのかは不明ですが、航続距離と航続時間が長く、レーダーシステムと連携するTerra A2で広域監視と迎撃を行い、Terra A2で迎撃できなかった敵対勢力のUASをTerra A1で迎撃する、二段構えの運用を想定しているようです。

“コンバットプルーフ”の価値

 テラドローンは4月28日に、やはりオランダ子会社を通じてウクライナの防衛スタートアップ企業で、UASなどを手がける「ウィニー・ラボ」への出資を発表しています。

「こんなに小さかったのか…!」 ロシア無人機を撃破した「日本...の画像はこちら >>

DSA2026の防衛装備庁パビリオンの一角に設けられた「テラドローン」展示ブース。ウクライナで実運用が開始された「Terra A1」の模型が展示された(竹内 修撮影)

 これに先立つ4月21日、日本政府は防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、殺傷能力のある防衛装備品の輸出を可能としています。日本製の防衛装備品には東南アジア諸国などから高い関心が示されています。

 ただ、日本は幸いなことに第二次世界大戦後、戦争を経験せず、防衛装備品の輸出もほとんど行ってこなかったため、日本の防衛装備品には実戦で有用性が証明された、いわゆる「コンバットプルーフ」が無く、その点が商戦において不利になるとの見方もあります。

 アメイジングドローンやウィニー・ラボが開発するUASは、今後ロシアとの戦いでコンバットプルーフを蓄積していくと思われますので、実績の無い日本企業が開発するUASに比べて、市場での競争力は高くなるものと思われます。

 テラドローンの徳重 徹社長はABEMA newsに対して、「戦場で実際に使われてみて結果が出るかというのは極めて防衛業界において大事なこと。今ウクライナで起こっていることをしっかり吸収して、日本に持ち帰り対策を打っておくのは非常に重要なことだと思っている」と述べています。

 2026年3月14日付けの共同通信は複数の政府関係者の話として、自衛隊がウクライナ製UAS(無人航空機システム)の導入を検討していると報じています。コンバットプルーフの価値を理解しているテラドローンのUASは、日本の安全保障力を高めるという観点においても、防衛装備品市場での日本企業の国際競争力を高めるという観点においても、大いにプラスになるのではないかと筆者は思います。

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