手早く回収して脱出できる可能性の研究

 アメリカ海軍の第21航空試験評価飛行隊は、米本土東海岸のメリーランド州にあるパタクセント・リバー海軍航空基地にて、CH-53K「キングスタリオン」輸送ヘリコプターを使った実証試験を行いました。

【映像を見る】キングスタリオンがキングスタリオンを吊り下げる様子です!

 試験の内容は、CH-53Kで“別のCH-53K”を吊り上げるという規格外のもの。

実施されたのは2026年4月で、公式Xにて5月8日に公開された映像では、メインローターなどが取り外れたヘリコプターの本体部分を、同型のヘリコプターがワイヤーを使って上空へと持ち上げ、スリング飛行する様子が見て取れます。

 今回吊り上げられている方の機体は、「キングスタリオン」の開発計画の初期試験で使用されたエンジニアリングモデル(EDM)とのことです。各種パーツが取り外された同機体の重量は約12.7t、これは吊り上げる側の「キングスタリオン」の最大懸吊重量である約16.3tの範囲内に十分収まります。荷重にまだ余裕が見られる状態のため、場合によっては、乗員や装備を収容したままでスリング搬送することも視野に入るかもしれません。

 今回のテストの目的は「墜落または損傷したCH-53Kヘリコプターを安全に回収するために必要な特殊な索具と手順を検証すること」とされています。なお、同機を丸ごと吊り上げて回収するこの行動自体、軍で定められている回収手順の書類(サルベージ・マニュアル)では、まだ規定されていない手法です。

 改めてCH-53K「キングスタリオン」の圧倒的な運搬能力の高さが示されたといえるでしょう。

 また今回のテスト結果を受けて、もし不測の事態で機体が墜落し、身動きが取れなくなったとしても、迅速かつ効果的な救援・回収方法として「吊り上げて移送する」という選択肢についての研究も、一層進むものと見られています。

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