福島県内の磐越自動車道で、部活動の遠征に向かう高校生を乗せたバスが21人死傷という重大な事故を起こしました。事故の悲惨さを思うと、本当に胸が痛みます。
特に児童、生徒らの保護者の方は、お子さんがふだん使うバスが「白ナンバー」かどうか、心配になっているはずです。しかし、自家用バス、いわゆる「白ナンバーのバス」であることと、犯罪としての「白バス行為」とは、同じではありません。バス業界の歴史を踏まえ、情報を整理します。
2000年まで、貸切バス事業は国による免許制で、おおざっぱに言うと都道府県ごとにバスの総台数を国が決めていました。当時は子供の数が多く遠足などの際は多数のバスが必要なうえ、職域(社員)旅行など団体旅行の需要も大きく、バスの取り合いになって手配できない事態が続いていました。むろん、運賃(チャーター代)も高止まりしていました。
そうなると抜け道を探る者が出てきます。一部のレンタカー会社が、運転手とセットでマイクロバスなどを貸し出すビジネスを始め、かなりの市場規模となりました。これが「白バス行為」です。当時、利用者はさほど意識せずに使っていたと思われます。
2000年、国全体で産業に関する規制を緩和するという流れの中で、道路運送法も改正されます。
この際、国の指導もあって、運転手付きでバスを貸し出していたレンタカー会社の多くが正式に貸切バスの事業許可を取得し、それ以来、「白バス行為」は影を潜めました。
今回の事故で「白バス行為」が話題となり、率直な感想として、以前の業界の課題が一周回って亡霊のように蘇ったという印象です。
「白ナンバー」のバス=違法、ではないところが、自家用(白ナンバー)バスの何が適法でどこが違法なのか、今一つ判然としない人が多いのが実情ではないでしょうか。また、バス事業などのビジネスとしてのあり方を定めた「道路運送法」と、運転免許について決めた「道路交通法」という2つの法律を混線して伝えている報道も見かけます。
自家用のバスそのものは、皆さんの身近に普通に走っています。筆者(成定竜一:高速バスマーケティング研究所代表)の見る限り、幼稚園の園児送迎バスはほとんどが白ナンバーで、事業用バス(緑ナンバー)は例外的です。学校や大学のスクールバス、駅から工場などへの従業員送迎バス、ホテルや商業施設の利用客送迎バスの中にも白ナンバーは少なくありません。
そして、部活動のほか、地域の少年野球、社会人スポーツ、プロチームまで、バスをチームで保有し、顧問の教諭もしくは専任で雇用した運転手などが運転する例を多く見ます。
幼稚園バスで言えば、「園が購入した車両で、自らの園児を、自らが雇用した運転手が運転して送迎する」のは、もっぱら自分の園のための行為であり、誰かからお金を受け取って輸送サービスを提供する「事業」には当たりません。トラックで例えれば、宅配便は顧客の品を有償で輸送する「貨物運送事業」で緑ナンバーですが、大工さんが自分のトラックに建築資材を載せて現場に出向くのは、自分の物を運んでいるのですから「運送事業」には当たらず、そのトラックも白ナンバーです。
またこの件において、自分が購入したバスか、レンタカー会社から借りたバスかの違いはありません。
今回の運転手が「大型二種を持っていなかった」ことを問題視する報道もありますが、車両は白ナンバーのレンタカーなのですから、そのこと自体は違法ではありません。事故を起こしたことに対しては、業務上過失致死傷の容疑がかかっています。
逆に大型二種免許保有者であっても、個人の立場で運送を引き受ければ、「白バス行為」です。道路運送法で、運送事業を行うことができるのは許認可を受けた事業者(企業のほか、「東京都交通局」なども含まれる)のみだとされているからです。
今回の事故は「想定外のケース」かでは、今回のケースは「白バス行為」に当たるのでしょうか。仮に、運転手が自ら「自分が購入したバス、あるいはレンタカーを用いて、〇万円で遠征をお手伝いしますよ」と提案したり引き受けたりしたならば、「貸切バス事業の経営に類似する行為」つまり「白バス行為」であることは間違いありません。
ただ、学校から運送サービスを引き受けた張本人は、報道を見る限りではバス事業者だと解釈できます。書面は交わしていないようですが、お金は「学校→バス事業者→レンタカー会社と運転手」という順で動いた(ないしはその予定だった)と推測されるからです。
ところが、学校とバス事業者との間の取引が、いったいどの法令に基づくものなのか、判然としないのです。しいて言えば、今回のバス事業者は旅行業の免許を持っているはずなので、旅行業法における「手配旅行」に当たると言えなくもありませんが、旅行業法で定められた書面のやり取りを行ったという話は聞きません。
正規のバス事業者が、貸切バスの代わりに「レンタカー+運転手」を手配するという行為をするとは……業界の常識としても、そしておそらく法令上も、想定されていないケースだと考えられます。
今回のバス事業者が「白バス行為」をしたとみなされるかどうか(あるいは運転手による白バス行為を「幇助した」とされるのか)は、行政と司法の双方にて、いくつかの法律の規程や趣旨に基づき、総合的に判断されることになりそうです。
ただ、今日のバス業界の“常識”としては、「『レンタカーと運転手』を組み合わせて手配することは違法だと考えられており、普通なら怖くてできない」ということを加えておきます。
「白ナンバーでよい」か「プロに任せる」か リスクの天秤前出したように、もっぱら白ナンバーの車両で行われる幼稚園や学校、ホテルなどの送迎業務を、貸切バス事業者に発注することもできます。いわゆる外注(アウトソース)です。遠征のような単発の仕事であれ、日々の通勤通学輸送であれ、引き受ける方は、学校や企業から運賃を受け取って運行します。
この場合は、対価を受け取ってサービスを提供する訳ですから「事業」に相当し、国から許認可を受けた貸切バス事業者でないと引き受けることができません。
白ナンバーのバス自体は違法ではありませんが、こうした業務を「プロに任せるか否か」は、運行の内容や運転手の管理体制などを考慮し、費用やリスクとの兼ね合いで決めるしかなさそうです。「近隣だけ」「毎日同じルート」「短時間」「マイクロバスなど小さめの車両」で「1~2台といった小台数」であれば、運行内容はシンプルでリスクは比較的小さめです。
しかし、今回の件のように、正規の貸切バス事業者であっても1人の運転手が1日に往復できる法令上の上限距離ギリギリといった内容であれば、費用は高くなるものの、プロに任せるべきでしょう。たとえ軽微であっても事故を起こしてしまった際の責任の取り方や、人間関係を考えても、教職員や保護者など運転を本職としない人が運転を引き受けるのはリスクが大きいと言えるでしょう。
バス乗務員の待遇アップが進む中で正規の貸切バスの運賃(チャーター代)は値上げが続いています。しかし、貸切バスを、定められた額を下回る額で運行することは法令で禁じられています。

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