2017年5月1日デビューの、JR東日本による豪華クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」。どんな特徴を持った列車なのか、その車両や客室、サービス、旅、料金、そして登場の目的などを解説します。

日本の古い国名が由来

 2017年5月1日(月)、日本に新たな豪華クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トランスイートしきしま)」が走り出します。JR東日本が送り出すもので、2013年10月15日に登場したJR九州「ななつ星in九州」に続き、日本で2列車目になる本格的クルーズトレインです。

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2017年5月1日に運行を始めるJR東日本の豪華クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」。写真は試運転中のもの(2016年12月、恵 知仁撮影)。

 列車名は、日本の古い国名「しきしま(敷島)」をもとに、美しい四季と伝統を感じながらの旅を連想させること、そして「時間と空間の移り変わりを楽しむ列車」という思いを込め、命名したそうです。シンボルマークは、「ひと」「もの」「こと」の象徴である3本の線が、四季を意味する「4つの節目」を巡り戻ってくるデザインとし、美しい四季と伝統を感じるクルーズの旅を表現したといいます。

デザインの特徴は? 予感させる「窓の形」

「四季島」のデザインプロデュース、車両デザインを担当したのは、「KEN OKUYAMA DESIGN」代表の奥山清行さん。スーパーカー「フェラーリ」(エンツォフェラーリ)や秋田新幹線E6系、北陸新幹線E7/W7系、山手線の新型車両E235系などのデザインに関わっている人物です。

JR東日本の旗艦「四季島」登場、その特徴とは? 車両、客室、旅、そして登場の目的(写真40枚)

「四季島」先頭車に掲示されているそのマーク。
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斜光線に輝く「四季島ゴールド」。
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「四季島」とそのクルー。

 エクステリア(外観)デザインは、景色をめで、人と語らい、文化に触れ、ゆったりとくつろぐ「四季島」での体験を、外観からも予感させるものにしたとのこと。

外装塗色は「シャンパンゴールド」をベースに、特別に調合した「四季島ゴールド」を基調にして上質感を体現したといいます。

豪華なだけではない? 大きく3点ある「四季島」車両の特徴

「豪華クルーズトレイン」というと、そのハイグレードな設備、サービスが注目されがちですが、この「四季島」の車両E001形はそれ以外にも、大きな特徴が3点あります。

日本初の「EDC方式」

 ひとつは「EDC方式」です。線路上空に電気の流れた架線がある区間(電化区間)では、車両屋根上に搭載するパンタグラフを用い、架線から車両へ電気を取り入れ、モーターを駆動させ走行。架線がない区間(非電化区間)では、車両に搭載するディーゼル発電機で電気を生み出し、それでモーターを駆動させ走行します。

 日本で初めてのシステムで、これにより電化区間でも非電化区間でも機関車にけん引してもらうことなく、自力で走ることが可能。自由度の高い運行ができます。パンタグラフは10両編成のうち2、3、8、9号車、発電機は1、10号車への搭載です。

JR東日本の旗艦「四季島」登場、その特徴とは? 車両、客室、旅、そして登場の目的(写真40枚)

電化区間で用いるパンタグラフ。
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先頭車両にある対応する保安装置の表記。
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揺れを抑える装置が搭載されている「四季島」の台車。

在来線旅客列車として初の「青函トンネル自走」

 北海道新幹線が走行に使う電気(交流25000V 50Hz)、保安装置(DS-ATC)、JR北海道在来線の保安装置(ATS-DN)にも対応しているため、新幹線と在来線が線路を共用する青函トンネルを通れるほか、北海道も走行できます。

 2016年に青函トンネルが在来線専用から新幹線との共用になって以来、そこを自走できる在来線の旅客車両はこのE001形「四季島」が初。電化・非電化を問わない「EDC方式」とあわせて、さまざまな路線を走れるのも「四季島」のポイントです。

揺れを打ち消す仕組みを採用

 車体へ働く力をセンサーで検知し、揺れと反対方向の力を加えることで振動を軽減させる「フルアクティブサスペンション」や、揺れに応じてダンパーの圧力を変化させ上下振動を緩和させる「可変減衰上下動セミアクティブダンパ」の採用により、優れた乗り心地を実現しているのも特徴です。静粛性も高いといいます。

 なお、音の発生源であるディーゼル発電機が搭載されている1、10号車は、客室ではなくフリースペースの展望車です。

10両編成で、なぜ入口1か所? ダイニング、展望車…車内共用エリアのポイント

 インテリアのデザインは「モダンな和」が特徴。木材や金属、漆、和紙といった日本古来からの伝統的な素材の風合いや性質を、実際の機能やニーズに生かしながら、それらの組み合わせや色彩の融合が、新たな発見や非日常感へつながるデザインにしたとのこと。ただ伝統文化を振り返るだけでなく、未来の日本文化をデザインすることが、全体のコンセプトにされています。

特別な意味があるラウンジ

「四季島」は10両編成ですが、乗降は通常、5号車のラウンジからのみです。そこを「『四季島』のエントランス」とすることで、まるでホテルのような、なかへ入るとラウンジが広がるという演出がされています。

 このように出入口を限定し、そこに「感動体験にお客様を導くエントランス」(JR東日本)という意味を持たせることで、ラウンジをおもてなしや旅の高揚感、非日常感を醸し出す空間にしたそうです。

JR東日本の旗艦「四季島」登場、その特徴とは? 車両、客室、旅、そして登場の目的(写真40枚)

5号車にある「四季島」唯一の出入口。

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「木」が生えているラウンジ内部。
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車内にはネームプレートが。

 ラウンジは樹木を思わせる壁と窓、そして車両の高さを最大限生かしたという空間が特徴。「こもれび」というラウンジの名称の通り、まるで森にいるようにも思えます。またこのラウンジに限らず、車内の調度品には秋田木工のソファや天童木工のオブジェなど、東日本各地の工芸品が取り入れられています。

「四季島」の旅、その料理は?

 6号車のダイニングは「しきしま」という名称で、テーブルから見える車窓の風景がひときわ優雅な食事シーンを演出したこと、モダンに和のテイストを取り入れ、五感を心地よく刺激する“ハレ”の空間を演出したことが特徴といいます。

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高い部分、低い部分の二段構成になっているダイニング。
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「四季島」車内で提供される食事のイメージ。
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ダイニングにはワインセラーも。

 このダイニングで提供されるものをはじめ、「四季島」の旅における食事は昼、夜、朝とも、旅先の各地で、その地元と食材を愛し育んできた料理人たちが、その土地の風土が感じられるものを用意するそうです。

 各地の料理人の選定、監修は日本ホテルの中村勝宏・取締役統括名誉総料理長が担当。また「四季島」の総料理長には元「ホテルメトロポリタン丸の内 Dining&Bar TENQOO」料理長の岩崎 均さんが就任し、車内で料理を提供します。

「風景に包み込まれる」未来的な展望車

 編成両端の展望車は1号車が「いぶき」、10号車が「きざし」という名称で、壁から天井まで広がる大きな窓が特徴。これまでになかった「風景に包み込まれる感覚」を実現したといいます。

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「四季島」展望車の車内(画像:JR東日本)。
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展望車には天然皮革張りのソファ(画像:JR東日本)。
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「額縁」のような車内通路側の窓。

 窓が、おおよそ鉄道車両らしくない個性的な形状なのもポイントです。大きな窓からの光と、白を基調とした壁により、未来を感じさせる空間を実現したとのこと。

 この展望車のように、「四季島」は窓の形状がひとつのポイント。各車両の通路には比較的小さな四角い窓が多く並びますが、これには「額縁を思わせる車窓が美しい風景を絵画のように演出する」という意図があるそうです。先述した森のようなラウンジなど、窓の形状を、各車両の機能性などに即しそれぞれの車両で異なるものにすることで、「四季島の旅」におけるさまざまな体験を予感させるデザインにしたといいます。

大きく3タイプある客室 最上級客室はもはや列車ではない?

大きく3タイプある客室 最上級客室はもはや列車ではない?

スイート各部屋にシャワーとトイレ

 もっとも多く用意されている「スイート」は合計15室で、2、3、4、8、9号車に3室ずつ存在。ポイントは「フラットなフロア構成による穏やかな空間で、安らぎと開放感を演出」したことで、和の伝統であるきめ細かな意匠や素材感をモダンに展開。

深みのある心地よさと同時に、新しい時代の上質感を表現したといいます。

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ソファ状態の「スイート」。
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「スイート」のシャワーとトイレ。
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バリアフリータイプの「スイート」。出入口が広くなっている。

 各個室にはシャワーとトイレが設置されているほか、うち1室はバリアフリーにも対応しています。

デラックススイートにはひのき風呂

「デラックススイート」は、7号車に1室のみの用意。ポイントは「段差を抑えつつ、車両の高さを最大限に生かした空間」であること、そして「ひのき風呂」です。木曽ひのきを使った浴槽が備えられています。

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「暖炉」がある「デラックススイート」。本物の火ではない。
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ベッドにもなる「デラックススイート」のソファ。

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障子をあけて車窓も楽しめる「デラックススイート」のひのき風呂。

 空間のぜいたくさと上質さがテーマで、日本古来の柄や木を用いながら、さまざまな素材を組み合わせて、モダンで洗練された空間を演出したとのこと。もちろん、トイレも用意されています。

最上級客室は「モーターなし」活用 メゾネットで畳敷き、掘りごたつ

 最上級客室である「四季島スイート」も、7号車に1室のみの用意。ポイントは「ひのき風呂」と「メゾネット構造」です。1階は寝室、2階は畳敷きに掘りごたつという、高級温泉旅館のような、列車内であることを忘れてしまいそうな空間になっています。

JR東日本の旗艦「四季島」登場、その特徴とは? 車両、客室、旅、そして登場の目的(写真40枚)

2階建て構造の「四季島スイート」。
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2階に畳と掘りごたつがある「四季島スイート」。
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「四季島スイート」1階のベッドルーム。

 JR東日本によると、見晴らしのいい2階と落ち着いた雰囲気の1階という2フロア構成で、満ち足りた和の空間で刻々と移ろう風景を眺める非日常を体験できるそうです。

 この「四季島スイート」と「デラックススイート」がある7号車はモーターがなく、床下に搭載する機器類が少ないことから、車内のスペースを高く取ることが可能。特に「四季島スイート」のメゾネット構造は、「モーターなし車両」であることを生かしたものといえます。

「四季島」の旅程、料金は? 青函トンネルを越えて北の大地へも

「『TRAIN SUITE 四季島』では、日本の豊かで美しい自然を、また地域に根ざした産業や日々の暮らしに息づく文化を、列車ならではの『豊かな時間と空間の移ろい』のなかで、さまざまに楽しむ旅を提案してまいります」(JR東日本)

 2017年4月末日現在、決定している「四季島」の旅程と料金は以下のとおりです(JR東日本グループのびゅうトラベルサービス販売分)。料金は2名1室利用時の1名分。2017年5月1日(月)の運行開始は「3泊4日コース」です。

3泊4日コース(春~秋)

1日目:上野~日光(観光)~《車中泊》~
2日目:~函館(観光)~伊達紋別・登別《ニセコや登別の温泉で宿泊》
3日目:東室蘭・洞爺~新函館北斗…(「縄文コース」「五能線コース」のどちらかを選択)…弘前~《車中泊》~
4日目:~鶴岡・あつみ温泉(観光)~新津…(観光)…東三条~上野
【料金】「四季島スイート」95万円、「デラックススイート」90万円、「スイート」75万円から77万円

1泊2日コース(春~秋)

1日目:上野~塩山(観光)~姨捨(観光)~《車中泊》~
2日目:~会津若松(観光)~上野
【料金】「四季島スイート」45万円、「デラックススイート」40万円、「スイート」32万円

2泊3日コース(冬)

1日目:上野~白石…(観光)…松島~《車中泊》~
2日目:~青森・弘前…(「五所川原コース」「弘前コース」のどちらかを選択)…青森~一ノ関(観光)~《車中泊》~
3日目:~鳴子温泉(観光)~上野
【料金】「四季島スイート」70万円、「デラックススイート」65万円、「スイート」50万円

「東日本の旬コース」夏の2泊3日コース

1日目:上野~湯沢(西馬音内盆踊り)~《車中泊》~
2日目:~八戸…(レストラン列車「TOHOKU EMOTION」貸し切り)…八戸~鳴子温泉(観光)~《車中泊》~
3日目:~一ノ関(観光)~上野
【料金】「四季島スイート」90万円、「デラックススイート」85万円、「スイート」70万円

「東日本の旬コース」年末年始コース

1日目:上野~熱海(観光)~横須賀(カウントダウン)
2日目:横須賀~《車中泊》~和田浦(初日の出)~鹿島神宮(観光)~上野
【料金】「四季島スイート」65万円、「デラックススイート」60万円、「スイート」45万円

「東日本の旬コース」春の2泊3日コース

1日目:上野~酒田(ひな祭り)~《車中泊》~
2日目:~花巻…(「SL銀河」乗車)…花巻~《車中泊》~
3日目:~那須塩原(観光)~結城(観光)~上野
【料金】「四季島スイート」90万円、「デラックススイート」85万円、「スイート」70万円

参加は中学生からOK ドレスコードあり

 ツアー参加には「出発時に中学生以上」という条件があります。コースによっては、1室1名での参加も可能です。また車内の共用スペース、各地での食事の際は、男性が襟付きのシャツにスラックスなど、女性がブラウスにスカート、スラックスまたはワンピースなどといったドレスコードがあります。

 なお、“第1期”となる2017年5・6月出発分は募集件数187に対し、応募件数は1234。平均倍率は6.6倍でした。最も倍率が高かったコース、客室は運行初日、5月1日(月)出発の「3泊4日コース(春~秋)」における最上級客室「四季島スイート」の76倍です。

「四季島」登場で駅も変化 「13.5番線」「日本三大車窓の夜景バー」

「四季島」の登場にあわせて、駅にも変化が訪れています。

上野駅にはラウンジと「13.5番線ホーム」

 旅の始発駅、そして終着駅になる上野駅には、「四季島」が入線する13番線ホームへ新たに専用のラウンジ「プロローグ四季島」を設置。出発前の語らいの場所として、また帰着後に「この旅がまだ続く旅」であることを感じてもらいながらフェアウェルパーティを行う場所として使用されます。

JR東日本の旗艦「四季島」登場、その特徴とは? 車両、客室、旅、そして登場の目的(写真40枚)

13番線ホームに設けられた「プロローグ四季島」。
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「プロローグ四季島」の内部。
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「13.5番線」の入口。

 上野駅では、「四季島」専用のホームも登場します。13番線と14番線のあいだにある、かつて荷物の積み降ろしなどに使っていたホームを活用。「四季島」乗降用として、「新たな旅立ちの13.5番線ホーム」に一新されました。乗客は「プロローグ四季島」からこの「13.5番線ホーム」を通って、5号車のラウンジにあるエントランスから、列車へ乗り込みます。

 また出発前、帰着後に専用のハイヤーが指定箇所まで送迎するサービス、上野駅での自家用車駐車場回送サービスも用意。「スイート」利用者は有料ですが、「四季島スイート」「デラックススイート」利用者は無料です。

「日本三大車窓」の駅ではホームに「夜景バー」が登場

「1泊2日コース(春~秋)」で立ち寄る篠ノ井線の姨捨駅(長野県千曲市)では、ホームに夜景バーラウンジ「更級の月」が用意されました。

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地元・信州の木材を多く用いて造られた姨捨駅「更級の月」。
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姨捨駅「更級の月」で提供される地酒、ワインなど。
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「日本三大車窓」姨捨駅の夜景。

 篠ノ井線の姨捨駅付近は眼下に長野盆地(善光寺平)を眺望でき、古くから「日本三大車窓」に数えられていた場所。多くの街灯りが望めるため、夜景を楽しむ観光列車「ナイトビュー姨捨」が運転されているほどです。

 姨捨駅ホームからもその夜景を眺めることが可能で、それを信州の食材を使った料理、地酒を味わいながら楽しもうというのが、この「更級の月」です。観光案内や、信州の名産品販売も行われます。

JR東日本はなぜ「四季島」を登場させたのか?

 JR東日本が「四季島」を導入する目的について、「観光立国の推進」が挙げられます。

 社会インフラを担う企業としての「変わらぬ使命」に「地域との連携強化」を掲げるJR東日本は、東日本エリア、そして日本が“元気”であることが「存続基盤」としており、地域を活性化していくにあたって、同社が特に強みを発揮できる「観光立国の推進」を目指すとしています。この具体的な取り組みのひとつが、「四季島」です。

 上質でハイグレードな設備、サービスを備え、JR東日本の「フラッグシップトレイン」、すなわち同社の、そして「日本の鉄道」におけるひとつのシンボルになるこの「四季島」。JR東日本は、その運行を通じて東日本エリアの魅力を掘り起こし、情報を発信することで地域の活性化に貢献していくとのこと。

「四季島」の旅では途中、各地の名所などに立ち寄るほか、その土地ならではの食材を、地域ごとの料理人が調理するなど、「地域の魅力」を提供することに注力。その旅で立ち寄る場所、触れる味覚が「あの『四季島』の観光地、味」となり、地域のブランド力、ステータスの向上につながることが期待されています。ちなみにJR東日本によると、車両や駅の関連施設を含めた「四季島」の事業費は約100億円だそうです。

クルーズトレインが日本の未来を変える?

 2017年6月17日(土)には、JR西日本の豪華クルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレスみずかぜ)」も運行を開始する予定。こちらも地域活性化が目的のひとつです。

「ななつ星」「四季島」「瑞風」の登場で、いよいよ盛り上がる日本のクルーズトレイン。その車両やサービスとあわせ、それが少子高齢化、過疎化、人口減少社会を迎えた日本における「地域活性化」という課題にどのような影響を与えるのかにも注目です。

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