~ 2026年「食料品メーカー」動向調査 ~


 肉・魚加工や菓子類などの「食品メーカー」4,994社の2025年の業績は、売上高24兆2,824億円(前年比3.4%増)、利益は8,806億円(同9.5%減)だった。コロナ禍以降の5年間で売上高は最高を記録した。ただ、利益はコスト上昇で減益の構図が鮮明となった。


 食品メーカーは、価格改定(値上げ)で売上高が伸びたが、物流の「2024年問題」や、人件費上昇、物価高などが利益を押し下げ、コスト上昇の吸収が難しい現状が浮き彫りとなった。
 政府が掲げる「食料安全保障」と「生産性向上」で、食品業界は省力化投資に取り組み、人手不足や収益体質の改善を進めている。2026年度も政府は、自動化によるコスト削減を支援している。大手は、DX(デジタルトランスフォーメーション)による需要予測の精度を向上させ、フードロス削減と利益率向上の両立を目指している。
 ただ、2025年度の食品メーカーの倒産は168件(前年度148件)で、2年ぶりに前年度を上回った。回復するマーケットの中で、経営の二極化が加速している。

 東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースで、全国の主な食品メーカー4,994社の2025年の業績を分析した。食品メーカーの売上高は、2023年が前年比7.6%増、2024年が同5.2%増、2025年が同3.4%増と、伸長率は鈍化している。コスト増による値上げが一巡し、消費者の値上げ離れが進んでいる可能性がある。
 一方、利益は約8割(78.0%)の企業が黒字決算だったが、半数近い(46.1%)企業が減益だった。値上げがコストアップに追い付いていないようだ。 
 利益は、売上高1,000億円以上の41社が合計4,893億円で、全体の55.5%を占めた。
一方、売上高100億円未満(4,593社)の利益合計は1,097億円で、収益格差が顕著になっている。
 物流費、人件費、原材料のコストアップでも、資金力のある大手は、DX化などの合理化で市場シェアの拡大を進めている。中小・零細企業は、値上げに伴う名目上の売上増より、収益確保が課題で、如何に稼ぐ力を取り戻せるかを問われている。

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約440万社)から、日本産業分類の食料品製造業を対象に、2025年1月-2025年12月期を最新期(2025年)とする5期連続で業績が判明した4,994社を抽出、分析した。

食品メーカー売上高 過去5年間で最高

 全国の主な食品メーカー4,994社の2025年の売上高は、24兆2,824億円(前年比3.4%増)だった。コロナ禍を経て、内需回復とインバウンド効果の寄与で3期連続で増収を維持した。
 ただ、2025年の利益は8,806億円(同9.5%減)で減益となった。前期は価格改定(値上げ)などで利益を押し上げたが、その後の物価高や人件費の上昇に値上げが追い付かず、収益は落ち込んだ。一時的な値上げより、収益強化への取り組みが課題に浮上している。

食品メーカー 売上高は値上げで24兆円に 利益は物価高に値上...の画像はこちら >>


大手41社の売上高合計が約4割

 食品メーカーの売上高分布は、最多が売上高1億円以上5億円未満の1,354社(構成比27.1%)、次いで10億円以上50億円未満が1,295社(同25.9%)、1億円未満が989社(同19.8%)、5億円以上10億円未満が658社(同13.1%)と続く。
 売上高1,000億円以上は41社(同0.8%)で、前期(38社)より3社増えた。
 トップは日本ハム(株)(大阪府)の8,489億1,600万円だった。売上高1,000億円超の41社の売上高合計は9兆6,851億円で、食品メーカー全体の売上高の約4割(39.8%)を占めた。

食品メーカー 売上高は値上げで24兆円に 利益は物価高に値上げが追い付かず二極化
食品メーカー 売上高別


損益別 黒字企業が約8割

 2025年の最終利益が黒字企業は、3,898社(構成比78.0%)で約8割を占めた。
 ただ、黒字企業数は前期の3,983社(同79.7%)を下回った。


 消費回復とインバウンド需要などで、市場は回復しているが、物価高で生産コストが上昇し人件費負担も増している。相次ぐ値上げも、こうしたコスト上昇に追い付かない状況を反映している。

食品メーカー 売上高は値上げで24兆円に 利益は物価高に値上げが追い付かず二極化
食品メーカー 損益別


倒産 過去10年で2番目の高水準、二極化による淘汰が加速

 2025年度(4月-3月)の食品メーカー倒産は168社(前年度比13.5%増)で、2年ぶりに前年度を上回った。コロナ禍の2020年度、2021年度の倒産は資金繰り支援で減少したが、支援策が終了し、過去10年間ではコロナ禍前の2019年度の169件に次ぐ水準に戻した。
 円安や原材料価格の高騰で、大手は複数回の価格改定(値上げ)を行い、好業績を維持している。だが、中小・零細企業は価格競争の波に飲まれ、値上がり分の価格転嫁をできてない。また、人材獲得のため賃上げも不可欠だが、賃上げを実施するだけの資金力が伴わない企業は、賃金の引き上げが資金繰りを直撃する。
 適正価格への理解と生産性の抜本的改革が必要だが、ブランド力が弱い企業は対応力が弱く、淘汰は今後も進むとみられる。

食品メーカー 売上高は値上げで24兆円に 利益は物価高に値上げが追い付かず二極化
食品メーカー 倒産件数 年度推移

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