~ 2025年度「業歴100年超え企業」倒産動向 ~
2025年度に倒産した業歴100年超の「長寿企業」は120件(前年度比21.5%減)で、4年ぶりに減少した。年度倒産(10,505件)に占める比率(発生率)は1.14%で、過去10年間では2021年度(1.15%)を下回り、最も低かった。コロナ禍では政策支援で倒産が抑制され、長寿企業の倒産も減少した。
倒産の原因別では、最多が販売不振の86件(構成比71.6%)で、7割を占めた。ただし、前年度の115件から大幅減となった結果、件数を押し下げ、発生率では1.1%と低水準にとどまった。次いで、赤字累積などの既往のシワ寄せが24件(同20.2%)だった。長年にわたる赤字累積や過剰債務で財務が毀損し、経営に行き詰まった倒産のほか、再建スキームで他社や新会社に事業を譲渡したうえで旧会社の債務整理に着手したケースなども含まれる。
戦争や恐慌、災害など多くの困難を乗り越えた長寿企業は、環境変化への高い適応力が企業価値の源泉として評価される。長年の業歴が社会的信用や地域経済への貢献を生み、その存在感も大きい。一方で、2025年度の負債額上位は、粉飾決算の発覚で倒産に至ったケースが並んだ。
長い業歴の裏で、簿外債務を抱えて決算を糊塗してきたが支えきれず、これまでに培ってきた信用を一瞬で失ったケースもある。また、最古の中華料理店で知られた横浜中華街の「聘珍樓」など、消費者に高い知名度があった老舗の倒産も相次いだ。
“老舗”としての実績やブランド力は絶対的なものではない。
※ 本調査は、2025年度の企業倒産のうち、業歴が100年を超える企業の倒産を抽出し、分析した。
※ 業歴は聞き取り調査による創業をベースとしている。
※ 発生率は、業歴100年超え倒産件数を2025年度の企業倒産全体で除した比率としている。
件数、発生率ともに製造業が突出
産業別では、最多が製造業の47件(構成比39.1%)で約4割を占めた。以下、卸売業28件(同23.3%)、サービス業他16件(同13.3%)、小売業14件(同11.6%)と続く。
発生ゼロは農・林・漁・鉱業、金融・保険業、情報通信業で、いずれも2年連続で発生がなかった。
発生率では、製造業が4.0%と突出し、次いで卸売業の2.4%、小売業の1.1%と続く。これら以外の産業は1%未満にとどまった。
2025年の倒産企業の平均寿命は、製造業36.9年が最長で、2番目の卸売業(30.2年)に大きく差をつけ、老舗メーカーの倒産が目立った。
また、業種細分類の最多は、老舗菓子店などの生菓子製造業の5件だった。次いで、旅館,ホテル、婦人服小売業、その他の水産食料品製造業が各4件で続く。
再建型1件のみ、発生率は特別清算が突出
形態別では、最多が破産の84件(構成比70.0%)で7割。次いで、特別清算の23件(同19.1%)、取引停止処分の11件、民事再生法と内整理が各1件で続く。
再建型は(株)ほんぽ(TSRコード:770007694、下関市)の民事再生法1件のみ。1894年創業で、昆布などの海藻加工を手がけていた。
発生率では、特別清算が5.8%と突出した。第二会社方式による事業再建スキームで、旧会社の債務整理のため、事業は実質的に新会社で継続することが多い。
こうした企業は長年の実績で事業基盤が確立している反面、過剰債務の解消が課題となっていた。抜本的な再建により、株主や経営陣の変更など体制を大きく変えて再スタートを切るケースも少なくない。
発生率で地域差、四国が最高の4.8%
地域別では、最多が関東の34件(構成比28.3%)で約3割を占めた。次いで、近畿の18件(同15.0%)、中部の16件(同13.3%)と続き、件数は大都市圏を中心に多く発生した。
一方、発生率は、最高が四国の4.8%が突出している。以下、北陸の2.8%、東北の1.7%と続く。件数が多い関東は0.9%、近畿は0.6%で、いずれも1%未満の低水準にとどまった。
新設や転出入などで企業の新陳代謝が活発な都市圏は相対的に発生率が低く、新設が停滞し、伝統産業など老舗企業の占める比率が高い地域ほど発生率が高い傾向となっている。
2025年度 負債上位2社は粉飾決算で倒産、最古の中華料理店「聘珍樓」も
2025年度の業歴100年超の倒産は、負債トップが製菓材料卸の(株)サクライ(東京都、破産、負債73億900万円)。
3番目の(有)東部産業(福岡県、取引停止処分、負債17億円)は、樽・桶製造として創業し、その後、製材業に事業転換した。戸建住宅用木材の加工販売が主力だったが、ウッドショック以降、資材の調達コストが上昇し経営が悪化。資金ショートを起こし、破産準備に入った。
このほか負債上位には、横浜中華街で「最古の中華料理店」として知られ、各地にも出店していた(株)聘珍樓(神奈川県、破産、負債12億1,000万円)や、富山・宇奈月温泉で老舗旅館を経営していた(株)喜泉閣(富山県、破産、負債8億7,000万円)などがある。
老舗で高い地名度や顧客基盤を持ちながらも、環境の変化に対応できず、長年の業歴に幕を閉じたケースも多かった。

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