担保への考え方が大きく変わる。5月25日、不動産担保や経営者保証に頼らない、企業の将来性を担保にする「企業価値担保権」がスタートする。
譲渡担保法は、取引の安定性や資金調達の多様化などが目的で、動産や債権を担保とした資金調達を促す狙いがある。
2025年5月30日、「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」(譲渡担保法)と、関連する整備法(本稿では、合わせて「新しい譲渡担保法」と呼ぶ)が成立し、2027年12月までに施行される。与信実務では、「債権の流動化」「動産担保融資」などは定着しているが、慣習や判例に頼り、条文上では明確な規定がないとの指摘があった。法施行により、動産・債権などの譲渡担保契約の効力や実行、破産手続きの権利などが明確になると同時に、実務にも変化が生じる。
譲渡担保の変化
譲渡担保は、財産の名義をいったん相手に移して、債務の担保にする仕組み。動産では担保設定者(債務者)が目的物を利用できるのが特徴。倉庫内の在庫にまとめて譲渡担保を設定する「集合動産譲渡担保」としても活用できる。設定した範囲の動産が入れ替わっても範囲内なら効力が及ぶ。このため、メーカーなどが問屋や販売商社に設定することが多い。この場合、メーカーを担保権者と呼ぶ。だが、譲渡担保契約を結んでいるにもかかわらず、登記での公示(≒第三者に閲覧される)による担保設定者の信用低下を懸念したり、業界慣習など譲渡担保を登記しないケースも少なくない。また、担保設定者の目的動産の使用権限について、あいまいな点もあり、明確化を求める声もあった。
「新しい譲渡担保法」では、担保設定者による目的動産の使用収益を明文化するとともに、権限や担保価値維持に関する規律を明確にした。また、占有改定による対抗力を登記等に劣後することとし、サブマリンのようにいきなり発生したように見える登記されていない譲渡契約の弊害にメスを入れた。
倒産手続きへの影響
さらに、譲渡担保権の実行開始前に実行禁止を裁判所が命じることが可能となる。民事再生など倒産手続きで、裁判所は担保権実行手続取消を命令できるようになり、担保設定者が処分や取立権限を回復できるようにした。
倒産手続き開始後、設定者が取得した動産や債権には原則、譲渡担保権が及ばないことも明確化した。
新しい譲渡担保法で、これまで譲渡担保を登記していなかった企業の登記申請が大幅に増えるとみられる。だが、登記が表面化することを避けたい企業もある。しばらくは各社横にらみの対応が続くかも知れない。

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