4月10日、阪神競馬場で3歳牝馬によるGⅠ桜花賞(芝1600m)が行なわれる。

 今年の春のクラシック第1弾となるこのレース。

昨年の2歳女王サークルオブライフ、GⅡチューリップ賞を勝ったナミュール、GⅡフィリーズレビューを勝ったサブライムアンセムなど有力馬が順調に調整してきており、ハイレベルな争いが期待できそうだ。そんなレースを血統的視点から占ってみよう。

 桜花賞は2019年のグランアレグリアなど、5勝を挙げるディープインパクト産駒の好成績が目立つが、ここ2年の勝ち馬デアリングタクト(父エピファネイア)、ソダシ(父クロフネ)に共通するのが「母の父キングカメハメハ」。昨年、GⅠ秋華賞を勝ったアカイトリノムスメ(父ディープインパクト)もその血を持っており、ここのところ立て続けに牝馬のGⅠ馬が出ている。

 今年の出走馬にも母の父にキングカメハメハを持つ馬がいる。それがライラック(牝3歳/美浦・相沢郁厩舎)だ。


桜花賞は父系・母系も「縁がある血」で本命を決める。前走で「2...の画像はこちら >>

前走のフェアリーSで重賞初勝利を飾ったライラック

 同馬は昨年10月の新馬戦(東京・芝1800m)で勝ち上がり。果敢に牡馬相手に挑戦したGⅢ京都2歳Sは8着に敗れたが、仕切り直したGⅢフェアリーS(中山・芝1600m)では、出遅れて最後方からの競馬になったものの早めにポジションを上げ、直線では9頭をゴボウ抜きする豪快な差し切りを決めている。

 それまでの3戦でコンビを組んでいたミルコ・デムーロ騎手がサークルオブライフの主戦でもあるため、今回は福永祐一騎手に乗り替わるが、同騎手は1999年プリモディーネ、2005年ラインクラフトと桜花賞を2勝。同コースの阪神ジュベナイルフィリーズでも3勝を挙げていて、牝馬の阪神マイルGⅠは得意としている条件だ。

 桜花賞は2010年11番人気3着のエーシンリターンズ、2013年14番人気3着のプリンセスジャックなど人気薄馬の好走も多い。昨年も、ライラック同様にフェアリーS勝利から福永騎手と初コンビとなった8番人気ファインルージュが3着に入っている。
ちなみに2020年のフェアリーS勝ち馬スマイルカナも、桜花賞で9番人気3着に入っており、フェアリーSと桜花賞との関連性は高い。

 父オルフェーヴルの産駒は、2018年にラッキーライラックアーモンドアイに次ぐ2着と好走。ラッキーライラックは同じ舞台のGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズも勝利しており、このコースの適性は高いと見ていい。

 さらにライラックは牝系も桜花賞に縁がある。祖母ブルーリッジリバーは2002年の2着馬で、同じファミリーの馬には2007年の優勝馬ダイワスカーレット、2001年の3着馬ダイワルージュがいる。キングカメハメハの血と併せ、母系の血は特に「桜花賞向き」と言えそうだ。



 もう1頭は、前述のように桜花賞と相性がいいディープインパクトを持つ馬から選びたい。直仔2頭はいずれも1勝馬で、出走は抽選次第となるため、父の父にディープインパクトを持つピンハイ(牝3歳/栗東・田中克典厩舎)から。

 同馬は昨年11月の新馬戦(阪神・芝1400m)で勝ち上がり。約5カ月ぶりとなったGⅡチューリップ賞では単勝229.8倍の13番人気だったが、2歳女王サークルオブライフに先着する激走を見せた。

 父ミッキーアイルは、昨年のチューリップ賞などを勝っているメイケイエールの父。母のいとこアットザシーサイドはGⅡフィリーズレビュー2着後、6番人気で出走した桜花賞で3着と好走している。

さらに、祖母のいとこルミナスハーバーも阪神ジュベナイルフィリーズで3着に入っているように、阪神芝1600m戦では実績がある血統だ。2戦連続の激走に期待する。

 以上、今年の桜花賞は母系の血統のコース適性が高いライラック、ピンハイの2頭に期待したい。