11月13日、阪神競馬場で3歳以上の牝馬によるGⅠエリザベス女王杯(芝2200m)が行なわれる。通常は京都で行なわれるが、今年は京都競馬場改修工事の関係で、昨年に続き阪神競馬場での開催となる。



エリザベス女王杯は人気薄の逃げ馬で大穴を狙いにいく。血統やデ...の画像はこちら >>

昨年のディセンバーSを制したローザノワール

 このレースはGⅠの中でも荒れる傾向がある一戦で、3連単の100万円馬券を2回記録している。最高額は昨年の339万3960円だが、その勝ち馬アカイイトは重賞勝ちどころか重賞で馬券に絡んだこともない10番人気。2200mの勝利もなく、前走のGⅡ府中牝馬Sでは7着と、買える要素は極めて乏しかった。

 また、2009年(3連単154万5760円)の勝ち馬クィーンスプマンテも重賞未勝利で、前走のGⅡ京都大賞典で9着と敗れてからの参戦だった。時にそういった馬がくるため、大穴を狙ってもいいだろう。

 今回、筆者が気になる穴馬は、逃げ馬のローザノワール(牝6歳、栗東・西園正都厩舎)だ。


 同馬は重賞勝ちがないが、昨年のディセンバーS(中山・芝1800m)の勝ち馬で、今年はGⅠヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)で0秒3差4着、GⅢクイーンS(札幌・芝1800m)でタイム差なしの3着と重賞でも好走を続けていた。しかし、前走のGⅡ府中牝馬S(東京・芝1800m)は勝ち馬から2秒1差の最下位15着と大敗してしまい、今回は大きく人気を落としそうだ。

 前走はスタート直後につまずき、無理矢理に先手を取りにいってリズムを崩すというはっきりした敗因がある。ペースも1000m通過57秒9というハイペースになってしまい、大敗も仕方なかった。逃げ馬はいかに自分のペースでいけるか次第のため、前走の着順はあまりに気にしなくていいだろう。

 昨年暮れからの充実ぶりを考えれば、ここに入っても好走は可能なはず。
なんといっても、ヴィクトリアマイルでの0秒3差4着は評価が高い。同レースは1600mだったが、今回の2200mのほうが楽なペースで逃げられるという見方もできる。エリザベス女王杯は逃げ馬が穴をあけるケースが多く、前述のクィーンスプマンテの他に、クロコスミアが2018年は9番人気で、2019年は7番人気で2着に入っている。

 ローザノワールは芝では1800mまでしか勝利がなく、2200mも初となるが、父マンハッタンカフェはGⅠ菊花賞、GⅠ有馬記念、GⅠ天皇賞・春を勝ったステイヤー。その産駒にも天皇賞・春の「父仔制覇」を果たしたヒルノダムールなど、同じように長い距離を得意とする馬が多い。エリザベス女王杯では、2016年に3番人気クイーンズリングと12番人気シングウィズジョイでワンツーフィニッシュを果たした。



 さらに、母の父オーサムアゲインという配合は、芝2200mのGⅡオールカマーを勝ったルージュバックと同じ組み合わせだ。ルージュバックは5歳時のエリザベス女王杯(京都)では展開不向きで9着と敗れているが、今年のGⅠ大阪杯(阪神・芝2000m)ではルージュバックの半弟ポタジェ(父ディープインパクト)が8番人気(単勝58.7倍)で勝利しており、コース適性は高そう。逃げ粘りの波乱演出に期待する。

 2番手にはアカイイト(牝5歳、栗東・中竹和也厩舎)を推したい。昨年に10番人気で勝って驚かせた馬だが、振り返れば血統的に納得できる点は少なくなかった。父キズナの姉ファレノプシスが2000年の勝ち馬であり、父と同じディープインパクト×ストームキャット配合のラキシスが2014年に勝利。
母の父シンボリクリスエスは2016年2着のシングウィズジョイの母の父と、エリザベス女王杯での実績がある血統だったのだ。

 また、このレースは"リピーター"が多いことでも知られている。1998、99年のメジロドーベル、2003、04年のアドマイヤグルーヴ、2010、11年のスノーフェアリー、2019、20年のラッキーライラックと4頭が連覇。そのほか、クロコスミアが2017年から3年連続で2着に入るなど、芝2200mの3歳以上戦になった1996年以降の26回のレースで、2度以上馬券に絡んだ馬は実に16頭を数える。昨年、馬券に絡んだ馬で今年も出走するのはアカイイトだけなので、データ的にも買える存在だ。

 以上、今年のエリザベス女王杯は、マンハッタンカフェ産駒の逃げ馬ローザノワール、キズナ産駒で昨年の勝ち馬であるアカイイトに期待する。