11月27日、東京競馬場で3歳以上によるGⅠジャパンC(芝2400m)が行なわれる。

ジャパンCで注目の外国馬を血統で分析。ドイツの「超大物候補」...の画像はこちら >>

1996年にジャパンCを制したアイルランドのシングスピール。
今年も外国馬が勝利するか

 今回は4頭の外国馬が出走予定するが、4頭以上の外国馬が出走するのは2017年以来5年ぶり。4頭のうち3頭が3歳馬というフレッシュな顔ぶれだけに、外国馬を中心に狙ってみたくなる。

 外国馬を中心に血統的視点から分析し、筆者が外国馬で中心視するのがドイツのテュネス(牡3歳、P. シールゲン厩舎)だ。

 同馬は体調や脚部の不安で今年のダービー戦線には乗れなかったものの、昨秋の初勝利から5連勝中。2走前のGⅢ独セントレジャー(芝2800m)を8馬身差、前走の独GⅠバイエルン大賞(芝2400m)を10馬身差と、圧倒的な勝ちっぷりを続けている。

 直近の4走は重馬場と不良馬場のレースで、前走も圧勝はしたが、不良馬場で2分44秒3とJRAレコードより20秒以上も遅いタイムだった。
日本の馬場の適性は未知数だが、血統を見ると、意外にもジャパンCの適性を感じさせる。

 テュネスは半兄が昨年の仏GⅠ凱旋門賞を勝ったトルカータータッソという良血馬で、父ジュリアーニは独GⅠダルマイヤー大賞(芝2000m)の勝ち馬。その父テルチュリアンはフランス、ドイツ、イタリアの短距離GⅢを5勝した馬。さらにその父ミスワキが世界的大種牡馬で、1994年のジャパンCを制したマーベラスクラウン、仏GⅠ凱旋門賞馬のアーバンシー、米GⅠBCクラシック馬のブラックタイアフェアーなど、世界各国に名馬を送り出している。

 ミスワキは母の父としても優秀で、前述のアーバンシーの息子であるガリレオやシーザスターズ、米GⅠBCターフのデイラミ、仏ダービーのダラカニ兄弟、そして日本では宝塚記念のサイレンススズカ、菊花賞のザッツザプレンティ、NHKマイルCのタイキフォーチュンなどが出ており、日本の馬場の適性も十分だ。ジュリアーニ~テルチュチリアンがスピードタイプなのも好材料と言える。

 さらに、テュネスの祖母トゥーカナの父アカテナンゴは、1995年のジャパンC勝ち馬ランドの父。トゥーカナは父アカテナンゴ、母の父トランポリノ(その父シャープンアップ)という配合で、ランドの父アカテナンゴ、母の父シャープマン(その父シャープンアップ)と非常に似た配合となっている。テュネス自身の日本適性は未知数だが、血統的には対応しても不思議はない。近走の勝ちっぷりを見ると"超大物"になる可能性も感じるため、そのポテンシャルに賭けてみたい。

 続いてはフランスのオネスト(牡3歳、F.シャペ厩舎)を推す。同馬は今年の仏GⅠパリ大賞(芝2400m)の勝ち馬で、GⅠ愛チャンピオンS(芝10F)2着になったあと、仏GⅠ凱旋門賞(芝2400m)10着からここに臨む。



 父フランケルは、今年の凱旋門賞馬アルピニスタなど欧州を中心に活躍馬を送る。日本でもGⅠオークスのソウルスターリング、GⅠ安田記念とGⅠフェブラリーSのモズアスコット、GⅠ朝日杯フューチュリティSのグレナディアガーズなど、さまざまなカテゴリーでGⅠ馬を出している。

 オネストは配合、牝系ともに興味深い。母の父シーザスターズは、今年の欧州最強馬バーイードの父であり、フランケルの父ガリレオの半弟。つまり、ガリレオとシーザスターズの母で凱旋門賞馬であるアーバンシーの血を3×3でクロスしているということだ。

 そして牝系は、曽祖母ケラリの子孫に全欧3歳牝馬チャンピオン&米芝牝馬チャンピオンのバンクスヒル、ハービンジャーの父ダンシリなど、数々のGⅠ馬がいる世界的大牝系。
世界屈指のレベルの血統馬と言って差し支えないだろう。

 超良血の外国馬といえば、1996年のジャパンCを勝ったアイルランドのシングスピールを思い出す。同馬は母グローリアスソングが米最優秀古牝馬で、叔父に米2歳牡馬チャンピオンのデヴィルズバッグがいる血統。ジャパンC参戦時はカナダのGⅠを1勝しただけで4番人気だったが、ジャパンCの勝利からドバイワールドC、英GⅠレースを2勝と飛躍。引退後は種牡馬としても大成功した。良血馬というのは大レースでその素質を開花させることがよくあるだけに、オネストにも要注目だ。


 以上、今年のジャパンカップはドイツのテュネス、フランスのオネストの2頭に期待する。