古馬中距離のハンデ重賞、GII日経新春杯(中京・芝2200m)が1月15日に行なわれる。

 超一線級の出走が少ないハンデ戦ゆえ、人気馬が苦戦しているように思えるが、意外にも1番人気は過去10年で3勝、2着4回と、まずまずの成績を残している。

とはいえ、さすがハンデ重賞だけあって、3連単ではしばしば高配当が生まれている。特に一昨年は、7番人気のショウリュウイクゾが勝利し、2着に13番人気のミスマンマミーア、3着に4番人気のクラージュゲリエが入って、90万円超えの高額配当が飛び出した。

 そんな大荒れの一戦となった時と同じく、今年も本来の京都ではなく、中京が舞台となる。その中京競馬場だが、デイリー馬三郎の吉田順一記者によると、ちょっとした異変が見られるという。

「暮れから雨が降っておらず、(例年よりも)乾燥度が増しています。おそらく、朝方に気温が下がって凍ってしまう可能性があるのか、本来はまめに行なっている散水が1月2日以降、できていないことも影響しているのでしょう。

それゆえ、芝のクッション値は1日目が10.0で、以降、10.3、10.4、10.4と推移。やや硬めの路盤は、速い時計とトラックバイアス(枠による有利不利)を生み出します。

 それでいて、やや硬めの路盤では本来飛ばないはずの芝の塊が、初日からバンバン飛んでいた点は注意したいところ。全体的にラチから3頭分は荒れ馬場と言っていいくらいの凸凹があり、4角から直線にかけては内から5頭分くらいの馬場がよくありません。

 その結果、開催初日からジョッキーの進路も定まらず、一日通して内へ、外へと(進路探しに)大忙し。とにかく馬場状態が把握できないなか、ジョッキーの作戦も読めず、馬券を的中させるのはなかなか容易なことではありません」

 そうした状況にあって、今週末は雨予報。

一段と馬券予想は困難を極めそうだ。実際、吉田記者はこう語る。

「金曜日の夜半から土曜日にかけてまとまった雨が降ると予想されていますが、気温は先週に比べて高め。日曜日は風も強く吹くそうで、この時期にしては馬場の回復は早そうです。ただそうなると、日曜日もメインあたりではこれまでの馬場傾向とはまたガラッと変わってしまう可能性があります」

 そこで、吉田記者は「馬場状態が目まぐるしく変化するとなると、芝のレースに数多く乗っているジョッキーのほうが臨機応変に対応してくれるのではないでしょうか」と言って、出走馬の実力とともに、コース状態へのフィット力が期待できる騎手の手腕を重視。穴馬候補として2頭の馬をピックアップした。

日経新春杯は大荒れか。馬場状態が読みづらいなか、臨機応変に対...の画像はこちら >>

日経新春杯での一発が期待されるヴェローナシチー

「まずは、川田将雅騎手が騎乗するヴェローナシチー(牡4歳)が狙い目です。川田騎手は開幕4日間で7勝を挙げましたが、とりわけ芝レースでの立ち回りが際立っていました。馬場傾向もかなりつかめており、ロスの少ない競馬で騎乗馬の末脚をうまく温存できています。ポジショニングや仕掛けのタイミングを含めて、今の中京では一番信頼できるジョッキーと考えていいでしょう。

 ヴェローナシチーにはGI菊花賞(12着。10月23日/阪神・芝3000m)以来、2度目の騎乗になりますが、タフな設定となる中京・芝2200mは、同馬にとっても好相性。

過去に同じ舞台で行なわれたGII京都新聞杯で2着、GII神戸新聞杯で5着と健闘しています。さらに、荒れた馬場状態を考えれば、なおさら好戦必至です。

 3歳限定の重賞とはいえ、2着の実績がありながら3勝クラスの身でハンデは54kg。そこは、かなり恵まれたと見ていいと思いますし、楽しみです」

 吉田記者が名前を挙げたもう1頭は、キングオブドラゴン(牡6歳)だ。

「前走のGIIアルゼンチン共和国杯(11月6日/東京・芝2500m)ではいい感じで直線に向きながら、ラチにぶつかるアクシデントがあって18着と惨敗。この中間は調教再審査を受けなければいけない調整過程にありましたが、緩めることなく、しっかりと負荷をかけてきたあたりは、さすが矢作芳人厩舎です。

 最終追い切りでは、走路試験を受けたEコースで長めからビシッと追われる内容。陣営の話では、『以前にも(アルゼンチン共和国杯の時と)似たような事象があったので、左回りはよくないのかも』というコメントもありましたが、中京コースに関しては6戦、2着4回、3着1回、5着1回と好相性です。

 ハンデも55kgと手ごろ。荒れ&渋化馬場も合うと踏んでいます。しかも、鞍上の坂井瑠星騎手も年初の4日間で3勝と好発進。乗り鞍が多い点も魅力です。

ウイニングベルトを見つける可能性は大いにあり、騎乗馬もタフさが生きる舞台で十分に一発を狙えます」

 激戦必至の伝統の一戦。ここに挙げた2頭の激走に要注目である。