5月14日(日)、東京競馬場で4歳以上の牝馬によるGⅠヴィクトリアマイル(芝1600m)が行なわれる。

 今年は、昨年の勝ち馬で2021年の桜花賞馬ソダシ、桜花賞とオークスを制した"二冠馬"スターズオンアース、秋華賞を勝ったスタニングローズ、安田記念を勝ったソングラインと、この1年以内にGⅠを勝利した4頭が揃うハイレベルなメンバーとなった。

このレースを血統的視点から分析してみよう。

 今回、筆者が本命に推したいのはメイケイエール(牝5歳、栗東・武英智厩舎)だ。(※記事公開後、メイケイエールは出走回避を発表)

豪華な顔ぶれのヴィクトリアマイルで穴を開けるのは? 期待は「...の画像はこちら >>

昨年9月にGⅡセントウルSを制したメイケイエール。それ以来の重賞勝ちを狙う

 同馬はGⅡチューリップ賞で1600mの重賞勝ちはあるものの、2021年の桜花賞で18着と敗れてからは1200m~1400mの重賞を3勝。GⅠは1200m戦しか出走しておらず、すっかり短距離馬のイメージが強いかもしれないが、血統を見ると「東京・芝1600m」に向いた血統だということがわかる。

 ひとつずつ紐解いていくと、まずは父ミッキーアイル。
現役時代は芝1200mのGⅠでも好走した快足馬だが、GⅠは今回と同じ東京・芝1600mのNHKマイルC、京都・芝1600mのマイルチャンピオンシップと2勝しているように、ベスト距離は全8勝中6勝の1600mだった。

 また、ミッキーアイルのいとこアエロリットもNHKマイルCの勝ち馬で、同条件のGⅠ安田記念では2着2回。東京・芝1600mで高いパフォーマンスを見せた馬だった。

 母シロインジャーは未勝利馬だが、「父ハービンジャー×母の父クロフネ×祖母の父サンデーサイレンス」の配合は、2019年にコースレコードでこのレースを制したノームコアと同じ。クロフネは2012年ホエールキャプチャ、2022年ソダシと、ヴィクトリアマイル勝ち馬を2頭出している。さらに、ソダシの祖母シラユキヒメは、メイケイエールの曽祖母であり、この2頭は親戚同士という関係だ。

 母の父ハービンジャーは、芝12F(約2400m)の英GⅠキングジョージ6世&クイーンエリザベスSの勝ち馬。産駒はブラストワンピース(GⅠ有馬記念)、モズカッチャン(GⅠエリザベス女王杯)、ディアドラ(GⅠ秋華賞)、ペルシアンナイト(GⅠマイルチャンピオンシップ)と、中距離タイプが多い。母系に入ってもスタミナを伝えるはずだ。

 メイケイエールが芝短距離に出走するようになったのは、気性の激しさからくる、抑えきれないくらいの行きっぷりによるもの。騎乗する騎手もずっと苦労してきたが、レースを重ねるうちにそんな面もあまり見られなくなってきており、今なら1600mでもいい走りができそうな気配がある。

 他が強力メンバーのため、人気も集まらず気楽な競馬ができそう。

オルフェーヴルやスイープトウショウなど、これまでにも同じようなタイプの馬の末脚を引き出し、GⅠを制してきた池添謙一騎手の腕の見せどころだ。

 もう1頭も、ミッキーアイル産駒のララクリスティーヌ(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)を推す。母の父タニノギムレットは2009年の勝ち馬ウオッカの父。また、祖母の父フジキセキは2007年のコイウタ、2008年のエイジアンウインズ、2015、16年の勝ち馬ストレイトガールと、3頭でヴィクトリアマイルを4勝している、ディープインパクトに並ぶこのレース最多勝種牡馬だ。

 前走、芝1400mのGⅢ京都牝馬Sで重賞初制覇を飾ったが、芝1600mは昨年11月のキャピタルS(東京)を含む2戦2勝。血統的にもこのコースがベスト条件とさえ思える。


 以上、今年のヴィクトリアマイルは、ミッキーアイル産駒の2頭、メイケイエールとララクリスティーヌに期待する。