6月11日(日)、函館競馬場で3歳以上馬によるGⅢ函館スプリントステークス(芝1200m)が行なわれる。

 今年の函館開幕週に開催される、函館競馬での最初の重賞レース。

昨年の勝ち馬ナムラクレアは今年に入ってGⅢシルクロードSを勝ち、GⅠ高松宮記念でも2着と飛躍。将来のスプリント戦線で主役級の活躍をする馬が出てくる可能性も高いこのレースを、血統的視点から分析していこう。

函館スプリントSは「函館・芝1200m」で連対率33.3%を...の画像はこちら >>

昨年のGⅢ函館2歳Sを勝利したブトンドール

 2013年以降の函館・芝1200mの種牡馬別成績を見ると、ダイワメジャーが26勝、ロードカナロアが21勝と続くが、今回注目したいのが5勝のビッグアーサーだ。函館競馬場で産駒が出走したのはまだ2世代で、総出走数も24と多くはないが、5勝、2着3回、3着4回で勝率20.8%、連対率33.3%と、ダイワメジャーやロードカナロアを上回る数字を残している。

 注目すべきは1勝クラス以上の成績で、この条件に限ると4戦3勝、2着1回とほぼ完璧な成績を収めている。新馬戦や未勝利戦に出てくる馬は、未勝利のままで終わる実力不足の馬が含まれるので勝率などは低くなるが、JRAで勝ち上がれるレベルの実力を持ってさえいれば、函館競馬場における信頼度は非常に高い。


 ビッグアーサー産駒の全競馬場の芝成績を見ても、函館は唯一の勝率20%超えとなっており、最も得意なコースと言っていいだろう。ちなみに、同じ北海道の洋芝と、似た条件の札幌では15戦0勝。単なる巡り合わせかもしれないが、ちょっと意外なデータだ。

 今回は2頭のビッグアーサー産駒が出走予定だが、筆者が狙いたいのはブトンドール(牝3歳、栗東・池添学厩舎)だ。

 同馬は昨年のGⅢ函館2歳S(芝1200m)の勝ち馬で、新馬戦を含め、函館では2戦2勝の成績。今年は桜花賞戦線に乗ったが、GⅡフィリーズレビュー(芝1400m)で0秒4差の6着、GⅠ桜花賞(芝1600m)で0秒8差の9着と敗れている。
それほど大きくは負けていないし、今回は距離面でも2戦2勝の芝1200mに戻るだけに期待は高まる。

 函館スプリントSは、3歳牝馬の成績が非常にいいことでも知られる。札幌開催となった2009年、2021年を除けば、これまでに16戦3勝という成績が残っているが、その3勝は2016年ソルヴェイグ、2017年ジューヌエコール、2022年ナムラクレア。2016年はもう1頭3歳牝馬が出走しているが、それ以外はこの3頭しか出走していない。つまり、函館では「3歳牝馬による出走機会3連勝」となっているのだ。

 この3頭の前走を見ると、ナムラクレアは桜花賞3着でこのレースでも1番人気に推されていたものの、ソルヴェイグは桜花賞17着から12番人気で勝利、ジューヌエコールは桜花賞9着から3番人気で勝利と、桜花賞での大敗から巻き返している。

桜花賞9着だったブトンドールにとっては明るいデータだ。

 今年から斤量のルールが変更され、50kgで出走していた3頭より2kg重い52kgの斤量となる。しかし、4歳以上馬に比べると少なくとも3kgは軽いので有利なのは変わらないため、重賞2勝目にも期待が膨らむ。

 もう1頭はロードカナロア産駒テイエムトッキュウ(牡5歳、栗東・木原一良厩舎)を狙いたい。前走は中山・ダート1200mの京葉Sを逃げ切り。芝では2勝クラスまでしか勝利がないが、母の父サクラバクシンオーの配合は今年の高松宮記念を勝ったファストフォースや、昨年の高松宮記念で17番人気3着に入ったキルロードと同じだ。


 ロードカナロア産駒は意外と人気薄の激走が多く、前述のファストフォースは12番人気だったし、昨年からの芝1200m重賞で馬券に絡んだ8頭はすべて6番人気以下、5頭が10番人気以下という注目すべきデータが残っている。「芝1200m重賞のロードカナロア産駒は人気薄こそ買い」ということ。今回出走のロードカナロア産駒でも、比較的人気にならなそうなテイエムトッキュウは絶好の狙い目だ。

 以上、今年の函館スプリントSは、ビッグアーサー産駒ブトンドール、ロードカナロア産駒テイエムトッキュウの2頭に注目したい。