7月2日(日)、福島競馬場で3歳馬によるGⅢラジオNIKKEI賞(芝1800m)が行なわれる。

 ダービーから約1カ月後に行なわれるこのレース。

ダービーに出走できなかった馬たちが、秋以降の飛躍を目指して出走することが多く、このレースをきっかけに活躍しだした馬も多い。

ラジオNIKKEI賞は直近15年で14勝の「サンデーサイレン...の画像はこちら >>

前走の3歳1勝クラスを制したエルトンバローズ

 近年では、2020年2着のパンサラッサがGⅠドバイターフ、GⅠサウジCと海外の高額賞金GⅠを勝利。2018年2着のフィエールマンも次走でGⅠ菊花賞を制すと、その後もGⅠ天皇賞・春を連覇した。勝ち馬はもちろん、敗れた馬の今後も注目すべきレースだ。

 今年は20頭の馬が登録を行なっているが、すべての馬が2勝以下。GⅢ京成杯2着のオメガリッチマン、GⅢサウジアラビアロイヤルC2着のグラニット、白百合Sのバルサムノート、スイートピーSのウヴァロヴァイト、芙蓉Sを勝ったシーウィザードなど実績馬はいるが、これから重賞戦線に乗っていきたい馬が多い印象だ。


 このレースの血統的傾向で目立つのはサンデーサイレンス系の強さで、過去15年で14勝という好成績。もともと頭数の面で有利な系統ではあるが、JRA重賞の中でもこれほど偏った傾向を見せることは珍しい。また、直近2年はヴァイスメテオール、フェーングロッテンと、母の父キングヘイローの馬が2連覇している。血統的傾向が続くことも多いレースなだけに、今年もそれを踏まえて検討していきたい。

 過去の血統的傾向から、筆者が本命に推したいのはエルトンバローズ(牡3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)だ。

同馬の父ディープブリランテ、母の父ブライアンズタイムという配合は、2017年の勝ち馬セダブリランテスと同じ。
2016年の勝ち馬ゼーヴィントも、父がディープブリランテの父であるディープインパクト、母の父がブライアンズタイムという似た配合となっている。

 エルトンバローズは牝系も優秀だ。祖母ニュースヴァリューは6勝、GⅢ札幌スプリントS2着の活躍馬で、その妹はGⅠ桜花賞、GⅠオークスを勝ったベガ。その産駒や子孫からはアドマイヤベガ、アドマイヤドン、ハープスターらも出ている。

 エルトンバローズのこれまでの走りを振り返ってみよう。初勝利は5戦目と時間がかかったが、デビュー4戦までで2着が3回と安定。

その2着3回の勝ち馬を見ると、新馬戦がGⅢ毎日杯4着のドクタードリトル、2戦目がGⅡ京都新聞杯を勝ったサトノグランツ、4戦目がGⅡフローラS2着のソーダズリングと、強い相手とぶつかる不運があった。

 その後、芝1600m戦で2連勝してここに臨む。前走は2番手追走から直線半ばで余裕たっぷりに先頭に立ち、ゴール前では2着以下に2馬身差をつける完勝だった。同レース2着のシルヴァーデュークは、GⅢサウジアラビアロイヤルC3着、GⅡデイリー杯2歳S4着など、重賞でも差のない競馬を続けていた実力馬。エルトンバローズは今回が重賞レース初出走となるが、すでに重賞級の実力を証明していると言っていいだろう。

 1600m戦で2連勝中、成績を見ても距離短縮で実力を発揮するとも見えるが、前述のように強敵相手に敗れた新馬戦、未勝利戦はすべて1800mで、この距離では2着3回の連対率100%となっている。
ディープブリランテ産駒はセダブリランテスのほかに、GⅡ日経新春杯(芝2400m)のモズベッロを出していて、芝中長距離にも実績を残しているだけにこの距離は問題ないだろう。

 もう1頭はマイネルモーント(牡3歳、美浦・高木登厩舎)を推す。この馬もサンデーサイレンス系で、父はゴールドシップ(その父ステイゴールド)。このレースはディープインパクト系も好成績だが、ステイゴールド系も相性がよく、2013年には直仔のケイアイチョウサン、2020年にはナカヤマフェスタ産駒のバビットが勝利している。

 ゴールドシップ産駒は福島競馬場での成績が非常によく、これまで227戦30勝と、全競馬場の最多勝。勝率13.2%は小倉の9.3%(193戦18勝)を大幅に引き離す素晴らしい数字だ。
芝の25勝のうち、1800mは11勝と最多。この福島・芝1800mは全競馬場で最も好成績を残しているコースなのだ。

 マイネルモーントはここまで4戦2勝、2着2回と安定した成績。約5カ月ぶりだった前走の1勝クラス(東京・芝1800m)では1分45秒5の好タイムで快勝している。母ゲッカコウはGⅢフラワーC(芝1800m)で2着に入った実力馬でもあり、血統的な裏づけも十分だ。本命馬と同じく期待をかけたい。


 以上、今年のラジオNIKKEI賞は、ディープブリランテ産駒エルトンバローズ、ゴールドシップ産駒マイネルモーントの2頭に期待する。