2歳牝馬の頂点を決めるGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)が12月10日に行なわれる。

 昨年はここを勝ったリバティアイランドが今年の3歳牝馬三冠レースすべてを制覇。

GIジャパンCでも2着と好走した。今年もここをステップにして、来春の牝馬クラシックで躍動する馬が出てくるのか、注目である。デイリースポーツの大西修平記者も、今後のこの世代の牝馬戦線を占ううえで重要な一戦であるとして、こう語る。

「牝馬クラシック第1弾のGI桜花賞と同じ阪神・芝1600mという条件で行なわれる2歳女王決定戦。過去10年の勝ち馬には、メジャーエンブレム、ソウルスターリングラッキーライラック、ソダシ、リバティアイランドなど、その後にGIを勝った実力馬が名を連ねます。2、3着馬にもハープスター、レッツゴードンキ、リスグラシュー、クロノジェネシス、レーヌミノル、ユーバーレーベンら、のちのGI馬が多数。

素質馬がしっかりと力を発揮するレースと言えます」

 事実、1番人気は過去10年で5勝。比較的堅い印象のあるレースだ。しかし実際のところは、伏兵の台頭も頻繁に見られ、何度となく波乱が起こっている。大西記者もそれには頷いて、こんな見解を示す。

「過去10年で、3連単では万馬券が7回。昨年と一昨年はそれぞれ10万円超えの高配当となり、荒れる要素も大いにあります。

そういう意味では、確かな能力を兼ね備えているにもかかわらず、人気の盲点となっている馬を狙うのがポイントでしょう」

 では、今年は人気の盲点となる馬のなかでも、どういったタイプが狙い目となるのか。大西記者は展開と位置取りがカギになると見て、こう分析する。

「直近3年は京都競馬場の改修工事の影響もあって、阪神競馬場は(11月からの)連続開催で行なわれていました。そのため、比較的差し馬の活躍が目立っていましたが、今年は開幕2週目での開催。とすれば、先行馬や中団の前目の位置からしっかりとした末脚が使えるタイプが"波乱の使者"になると見ています」

 そうした点を踏まえて、大西記者は2頭の穴馬候補をピックアップした。

「1頭目は、シカゴスティング(牝2歳)です。

4戦目となる前走のGIIIファンタジーS(11月4日/京都・芝1400m)が収穫の大きい一戦でした。

 デビューからの3戦は番手につけてのレースでしたが、同レースでは中団やや前目でじっくりと脚をタメる競馬。初のフルゲート18頭立てのレースでしたが、馬群でも変にエキサイトすることなく、直線でも狭いところを突いてしっかり伸びてきました。

 走破時計1分20秒5も優秀。上がりも33秒9をマークし、力強い末脚を披露した点も力をつけている証拠です。3着に敗れはしましたが、上位2頭よりも外枠から発走し、展開的にも難しかったことを思えば、評価できる内容です」

阪神JFは荒れる予感...穴党記者は過去3年で躍動した馬とは...の画像はこちら >>
 2走前には、オープン特別のフェニックス賞(8月13日/小倉・芝1200m)を完勝。
初の阪神コースも経験値の高さでクリアできると、大西記者は踏んでいる。

「デビューから4戦、すべて違う競馬場で好走してきていますから、コース替わりも問題ないと思います。距離1600mも初陣で経験済み。直線の長い外回りコースも、前走のレースぶりからして歓迎でしょう。

 手綱を取る鮫島克駿騎手も、初コンビだった前走で持ち味をつかんだはず。今回は前走以上に、この馬のよさを引き出してくれるのではないでしょうか。

フルゲートでのレース経験が少ない2歳馬同士の混戦なら、十分勝負になると見込んでいます」

 大西記者が推奨するもう1頭も、実戦経験豊富な馬だ。

「もう1頭は、ナナオ(牝2歳)です。前走のオープン特別・もみじS(10月15日/京都・芝1400m)は、キャリアで初めて逃げる形になりましたが、リズムを崩すことなく、ゆったりとしたペースに持ち込んで、上がり33秒8の末脚で押しきりました。

 後続が来れば来るほど伸びる感じでしたし、ゴール前は無理に追わなかったように、まだまだ余力十分でした。初の1400m戦にもしっかり対応し、次につながる好内容だったと思います。

 中間はさらに1ハロンの距離延長に対応すべく、栗東CW(ウッドチップ)やDP(ポリトラック)なども併用しながら、じっくりと長い距離を乗って調整するなど対策は万全。

母バイザディンプルが現役時代にダートの中距離を主戦場としていたように、血統的にもマイルは十分にこなせると思います。

 これまで力の要る馬場でのレースが多かったですが、本質的には良馬場でスピードを生かす競馬が合いそうなタイプ。デビューからの3戦が示すとおり、逃げなくても競馬はできますし、センスも高いです。

 今年、キャリアハイとなる勝ち星を積み重ねている西村淳也騎手の継続騎乗というのも魅力的。好位で流れに乗ってリズムよく運べれば、一発の可能性もあると思います」

 昨年は、オープン、重賞での実績がありながら10番人気と低評価だったドゥアイズが3着に入って、高配当を演出した。今年もそうしたタイプが波乱を起こすのか。ならば、ここに挙げた2頭に要注意である。