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CyberAgent Legit インタビュー② 地獄

 世界的な人気オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』(以下、BGT)。ジャンルを問わず、さまざまなエンターティナーが登場し、そこで繰り広げる音楽やマジック、コメディ、ダンスなどに対して、イギリスの音楽プロデューサー、サイモン・コーウェルらジャッジ陣が忌憚のないコメントをする番組だ。

現在では、アメリカをはじめ各国でオリジナル版が展開され、世界70カ国以上で放映されている。

 近年では"とにかく明るい安村"が"TONIKAKU"の芸名で登場して、人気のネタ「安心してください、はいてますよ」を英語で「Don't worry ,I'm wearing」と叫んで爆笑を誘い、ワイルドカード枠ながらもBGT決勝に進出したことで大きな話題となった。そのTONIKAKUも成しえなかった"ゴールデンブザー"をDリーグで活躍するプロダンスチーム「CyberAgent Legit」(サイバーエージェントレジット、以下レジット)が獲得した。

 ゴールデンブザーとは、1シーズンに1回だけ、それぞれのジャッジが最高だと思ったショーに対して、押すことのできるブザーで、準決勝進出が確定したことを意味する。このブザーの獲得は、出演者にとって最上級の喜びであり名誉だ。その準決勝・決勝が5月27日(月)から6月上旬まで開催される。

再び渡英するレジットのメンバーのひとり「地獄」に話を聞いた。

【これは現実なのか】

――準決勝進出、おめでとうございます。まずはBGTでのゴールデンブザーの獲得について、率直な感想を教えてください。

 昔からYouTubeなどで見ていた番組なので、それに出場することの驚きはもちろんありましたが、ゴールデンブザーを、しかもサイモンさんからいただけるというのは、番組的にもすごいことだと思います。僕は番組を見て感動する立場だったので、自分がステージの上にいてブザーを押してもらえるというのは、すごくうれしかったです。

――BGTには"とにかく明るい安村"さんなど、ジャンルを問わず、さまざまなエンターティナーが参加していますが、番組についてはどのような印象を持っていましたか。

 シンガーやマジシャンの方、ダンサーの方はもちろんですけど、プロからアマチュアまでいろんなエンターティナーの方々が幅広く出ているイメージです。

とにかく明るい安村さんの映像も見ましたが、イギリスでも通用した光景を見て言葉を超えたエンターテイメントのすごさを感じましたし、海外でもウケるはずだと考えて披露されたと思うので、本当にすごいなと感じました。

――とにかく明るい安村さんもゴールデンブザーは手が届きませんでした。その上の評価を受けたというのは?

 喜びというか驚きが大きいです。ブザーを押されたときには、喜びよりも驚きがワッと込み上げてきました。「これは現実なのか?」とあとから込み上げてくるイメージでした。

【辛口サイモンから「すごくいい」の言葉】

――翻って、BGTへの出演が決まった時にはどう感じましたか。

 (ディレクターの)FISH(BOY)さんが緊張した感じで、「話があるんだけど」と切り出して、「ブリテンズ・ゴット・タレントに出ます」と言ったときに、みんなは「ウォー!」「まじで!」と叫んでいました。

チームメンバーも番組のことは知っていたので、本当に驚きとうれしさで盛り上がりました。

――作品は昨シーズンのチャンピオンシップで披露した「ROCK & FIRE」でした。これを選んだ理由は?

 番組サイドからの要望でもありましたが、自分たちとしても昨シーズンのチャンピオンシップ一戦目で披露した作品で、自信もありました。出だしの音から体を震わせるヒットの動作が、すごくインパクトがあり、キャッチーなので、よさそうだなと思いました。

『ブリテンズ・ゴット・タレント』でゴールデンブサー獲得の快挙 ダンサー地獄が語るその舞台裏と頂点への思い
BGTでの興奮を語る地獄 photo by Hirose Hisaya
――実際にステージに上がった時の光景は覚えていますか。

「YouTubeで見ていた光景だ!」と、シンプルにミーハー気分になっていました。

ステージの裏側でも、YouTubeで見ていた星型のライトがあって、「見たことある!」みたいな感覚が連続してありました。

――ショーが始まってすぐ観客から歓声があがり、途中からスタンディングする人も出てきました。その光景は見えていましたか。

 見えていました。観客の人たちも自分たちのパフォーマンスを見て、立ちたくなった、声を出したくなった、というのはうれしかったですし、その光景を見て、メンバーそれぞれがもっといいパフォーマンスをしようと思いながら踊っていたと思います。

――ショーが終わったあとにはサイモンからは「really,really,really good」というコメントがあり、観客からは「ゴールデンブザー」のコールがありました。

その光景を見てどう感じましたか。

 自分たちは自信を持って作品を披露しましたけど、同時に海外で自分たちのダンスパフォーマンスがどう受け取られるかという不安もありました。そのなかで、パフォーマンス中から拍手や歓声があったので、終わったあとにすごく気持ちよかったです。

 でもサイモンさんは辛口のイメージがあったので、コメントも気になっていましたが、「すごくいい」と言ってくださり、驚きやうれしさとともに、自信にもなりました。

 急に「ゴールデンブザー」のコールが始まったので、観客の方々も押してほしいと思ってくれているんだと、夢みたいな感じでした。ゴールデンブザーが押された時には、紙吹雪やゴールデンの電飾などが、すごくスローに見えました。

これは現実なのかと思いましたね。

――準決勝がいよいよ近づいてきましたが、どのような意識で挑みますか。

 予選ではゴールデンブザーを押してもらえるようなパフォーマンスができたので、ジャッジの方や観客の方も、どう予選のものを超えてくるのかという期待の目があると思います。だから、通常のパフォーマンスではいけないと思っています。よりグレードアップさせたものを出そうという気持ちで練習をしています。

――BGTでの目標は?

 もちろん準決勝を突破して、決勝に進出して優勝というのが、自分たちの目標でもあります。そのためには普通の努力だけではいけないと思いますので、もっともっとという気持ちで練習できたらなと思っています。

【積み重ねたものを形に】

――そしてDリーグでは、レギュラーシーズンを優勝しました。CSP(チャンピオンシップポイント:勝ち点)36で、9勝1敗2分け、サイファーラウンド3位というすばらしい結果でした。まずは率直な感想をお聞かせください。

 前シーズンもレギュラーシーズンを優勝して、チャンピオンシップに進みましたが、決勝で負けてしまいました。本当に悔しい思いをしたので、今シーズンこそチャンピオンシップでも優勝するというのが自分たちの目標でした。まずはひとつ目の目標、シーズン優勝ができてうれしいですし、安心した部分もあります。

――今シーズンのなかで、ターニングポイントとなったラウンドや、とくに印象に残っているラウンドがあればその理由とともに教えてください。

 やっぱり、KADOKAWA DREAMSさんと戦った試合は、自分たちにとって大きかったです。昨シーズンのチャンピオンシップ決勝で負けた悔しいイメージが脳裏に焼きついているので、結果発表のときも、あの時の光景がフラッシュバックしましたし、ここでの勝利がチャンピオンシップ優勝のためには絶対に必要だと思ったので、気合も入っていました。勝ってめちゃくちゃうれしかったですが、KADOKAWA DREAMSさんは次に対戦するときにすごい作品を持ってくると思うので、より気が抜けないなと思っています。

『ブリテンズ・ゴット・タレント』でゴールデンブサー獲得の快挙 ダンサー地獄が語るその舞台裏と頂点への思い
KADOKAWA DREAMSに勝利した瞬間。メンバーたちは喜びを爆発させた ©D.LEAGUE 23-24
――6月9日(日)に開催されるチャンピオンシップへの意気込みを教えてください。

 今シーズンは必ずチャンピオンシップで優勝をするという気持ちでずっと頑張ってきました。そのなかでいろんなチャレンジを経験して、チームワークも上がってきているので、そこをどう形にするかだと思います。積み重ねたものが形になれば、優勝できると思っています。チャンピオンシップの準決勝も決勝も「やっぱりレジットはすごかったな」、「レジットが優勝でしょ」と、どんな人にも言ってもらえるような勝ち方ができればいいなと思っています。

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【Profile】
地獄(じごく)
1996年7月25日生まれ、高知県出身、大阪府育ち。4歳のころからダンスを始め、10歳のころから「地獄」というダンサーネームで活躍。ロッキン、ハウス、ヒップホップなどさまざまなダンスを経験し、13歳の頃からロサンゼルスやニューヨークに海外遠征して、数々の好成績を残す。15歳の頃には「Dance@live KIDS Final 2012」で準優勝する。大学卒業後に上京して社会人として働くも、Dリーグ発足とともにCyberAgent Legitのメンバーとして活躍。LDH史上最大規模のオーディション「iCON Z第二章」より結成されたグループ「THE JET BOY BANGERZ」にも所属し、リーダーを務めている。