【父仔3代制覇に一番近いのは?】

 6月1日(日)、東京競馬場で3歳馬によるGⅠ日本ダービー(芝2400m)が行なわれる。

"競馬の祭典"として、多くのホースマンの大目標となっているこのレース。今年のメンバーは、GⅠ皐月賞(中山・芝2000m)を勝ったミュージアムマイル、同2着でGⅠホープフルS(中山・芝2000m)を勝ったクロワデュノール、同3着でGⅢ共同通信杯(東京・芝1800m)を勝ったマスカレードボール、GⅢ毎日杯など3戦3勝のファンダム(阪神・芝1800m)などの有力馬が揃い、混戦ムードとなっている。

 では、このレースを血統的視点から占っていこう。"ダービー馬はダービー馬から"という格言があるように、日本ダービーではこれまでに15回も"父仔制覇"が達成されている。直近3年は達成されていないものの、2022年の勝ち馬ドウデュースの父ハーツクライは日本ダービー2着、2023年の勝ち馬タスティエーラの父サトノクラウンは3着、2024年の勝ち馬ダノンデサイルの父エピファネイアは2着と、いずれも日本ダービーで好走を見せている。

 上記を踏まえ、筆者が今年の日本ダービーで本命に推すのがマスカレードボール(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)だ。

【競馬予想】日本ダービーは8頭に「父仔3代制覇」のチャンス ...の画像はこちら >>

 父ドゥラメンテは2015年の日本ダービー馬で、母の父ディープインパクトは2005年の勝ち馬。今回、「父」も「母の父」も日本ダービー馬というのは同馬だけだ。さらに、父の父キングカメハメハも2004年の日本ダービー馬であり、今回は前人未踏の"父仔3代の日本ダービー制覇"という歴史的快挙がかかっている。

 今回はドゥラメンテ産駒が4頭、2013年の日本ダービー馬であるキズナ産駒(父の父ディープインパクト)が3頭、2017年の日本ダービー馬であるレイデオロ産駒(父の父キングカメハメハ)が1頭と、合計8頭にこの歴史的快挙がかかる。だが、母の父やこれまでの走りなどを加味すると、達成に最も近いのはマスカレードボールと見る。

 マスカレードボールはここまで5戦3勝。これは、父ドゥラメンテが日本ダービーに出走した時と同じ。近2走の共同通信杯(1着)、皐月賞(3着)という臨戦過程も、着順こそ異なるが父ドゥラメンテと同じだ(ドゥラメンテはそれぞれのレースで2着、1着)。

 鋭い瞬発力を武器とする脚質も似ている。前走の皐月賞は、道中で他馬と接触してポジションを下げるなどリズムよく進めなかったのが痛かった。ただ、直線では外を回り、2着とはクビ差の3着と鋭い脚を見せた。

 敗れた2戦はいずれも中山で、東京では2戦2勝。左回りは3戦3勝と、コース適性は申し分ない。父ドゥラメンテのラストクロップである同馬に、最後のチャンスであるダービー制覇を期待したい。

【もう1頭は地道に経験を重ねた馬】

 もう1頭はジョバンニ(牡3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)を推す。父エピファネイアは日本ダービー2着も、産駒ダノンデサイルが昨年に勝利。母系にストームキャットを持つ血統構成もダノンデサイルと共通している。

 ジョバンニはここまで6戦2勝。重賞勝ちはなく、オープン以上勝ちは今年2月の若葉S(阪神・芝2000m)のみ。とはいえ、ホープフルS2着、GⅢ京都2歳S(京都・芝2000m)2着と重賞でも好走を続け、前走の皐月賞は4着。

その4着は道中不利を受けており、力を出しきれたわけではなかった。

 今年のクラシック戦線は桜花賞を勝ったエンブロイダリー、皐月賞を勝ったミュージアムマイル、オークスを勝ったカムニャックと、敗戦の経験を糧に大舞台で花開いたタイプが勝利を飾っている。近年の日本ダービー馬も、2023年のタスティエーラ、2024年のダノンデサイルともに、4着以下の敗戦経験があった。重賞は勝てていないが、地道に経験を重ねた馬が、日本ダービーで初のタイトルを獲得するという結末になれば感動的だ。

 以上、今年の日本ダービーは、ドゥラメンテ産駒マスカレードボール、エピファネイア産駒ジョバンニの2頭に期待する。

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