2026年3歳牡馬クラシック
皐月賞、日本ダービーを制す馬は?(後編)
小田哲也記者(スポーツニッポン)
◆皐月賞=サノノグレーター(牡3歳/父グレーターロンドン)
◆ダービー=ノーブルサヴェージ(牡3歳/父リオンディーズ)
サノノグレーターは、皐月賞と同じ舞台の1勝クラス・葉牡丹賞(12月6日/中山・芝2000m)を1分58秒2という2歳コースレコードで勝利。後続に3馬身差をつける完勝でした。直線では内にモタれる面を見せましたが、初めての右回りで、差し馬向きとは言えない開幕週の馬場で、これだけのパフォーマンスを見せた事実は評価に値します。
父グレーターロンドンは、GI安田記念(東京・芝1600m)で4着と奮闘し、GⅢ中京記念(中京・芝1600m)で初の重賞勝ちを果たすなどマイル色が濃かったのですが、産駒からは2024年のGI菊花賞(京都・芝3000m)へ駒を進めたピースワンデュックなど、2000m以上の距離で勝ち星を挙げている馬が何頭もいます。
祖母のピエナビーナスは、GⅢクイーンS(札幌・芝1800m)の勝ち馬。母系から混戦に強い血が流れているのも強調ポイントです。
メンバー最速の上がり33秒9をマークして快勝した新馬戦(6月22日/東京・芝1600m)で見せた決め手は、間違いなくクラシック向き。左回りのほうがスムーズなので、今後のパフォーマンス次第ではダービーでも楽しみな存在になるかもしれません。
ですが、ダービーで期待したいのは、ノーブルサヴェージです。明け3歳の牡馬勢はダービーに直結しやすいGⅡ東京スポーツ杯2歳S(11月24日/東京・芝1800m)やGIホープフルS(12月27日/中山・芝2000m)で1番人気が敗れ、例年以上に混戦模様。現在1勝馬でも十分にチャンスがあるのではないか、と思っています。
本馬は昨秋の新馬戦(11月23日/東京・芝2000m)を快勝し、大物の相を見せました。548kgの超大型馬で跳びも雄大すぎるぐらいのフォームですが、ゲートも無難に決めて、上手なレース運びを披露。スパッとキレる感じはない半面、長く持続的に伸びる体力を印象づけました。
父リオンディーズは引退が早かったゆえ、その適性はベールに包まれている面がありますが、産駒からGI天皇賞・春(京都・芝3200m)の優勝馬テーオーロイヤル、GI有馬記念(中山・芝2500m)の勝ち馬ミュージアムマイルが出ていて、産駒の適性範囲が広いのは明らか。
収得賞金400万円ですから、クラシック出走には賞金加算や権利獲りが必須となりますが、新馬戦で見せた走りからは間違いなく東京・芝2400mの適性が高いと見ます。伸びしろもかなり大きく、今後の成長が楽しみです。
木村拓人記者(デイリー馬三郎)
◆皐月賞=サノノグレーター
◆ダービー=ベレシート(牡3歳/父エピファネイア)
サノノグレーターは、GⅢ新潟2歳S(8月24日/新潟・芝1600m)こそ6着に敗れましたが、前走の葉牡丹賞の内容が秀逸でした。個人的には、2歳コースレコードはそこまで重要視しておらず、特に逃げ馬によるものは評価を割り引くことさえありますが、"差し馬によるレコード"ならば、相応の評価が必要でしょう。勝負どころで他馬を置き去りにした反応からは、計り知れない素質を感じました。
父グレーターロンドンはマイルを主戦場として産駒もマイラーが多いですが、母父ジャングルポケットとの組み合わせは、現オープン馬のピースワンデュックを含めて2頭だけ。そして、そのピースワンデュックは2000m以上のレースで結果を残しています。
この配合から、距離克服への血統的裏づけは十分。
ただ、今年の牡馬路線は混戦模様。ホープフルSを終えても"クラシック確定"と言いきれるほどの存在は見当たらず、今後、まだ見ぬ大物の出現を予感させます。そうした状況にあって、現時点でダービー候補を挙げるなら、ベレシートです。
母クロノジェネシスは激しい気性と向き合いながら3歳春を過ごしましたが、本馬が見せる折り合いの難しさも母譲りと言えます。馬体も父エピファネイアより、母の影響のほうが色濃く出ていて、まだ緩さが残ります。
現状は折り合いに専念せざるを得ない面もあり、1勝クラスのエリカ賞(阪神・芝2000m)では2着惜敗。それでも、完成度の低さを考えれば"大物感"を抱かせる内容でした。
ダービーまでに完成まで導けるかどうかは未知数ですが、資質は高く、東京・芝2400mを苦にしない体型。ここからの成長曲線を加味すれば、今のところ、ダービーに最も近い馬ではないでしょうか。
土屋真光氏(フリーライター)
◆皐月賞=クレパスキュラー(牡3歳/父リオンディーズ)
◆ダービー=イベントホライゾン(牡3歳/父ハービンジャー)
今年の3歳牡馬は、とにかく"読めない"――それに尽きます。
皐月賞候補に挙げたクレパスキュラーは、昨年の皐月賞馬ミュージアムマイルと同じリオンディーズ産駒。デビュー戦(8月3日/札幌・芝1800m)で5馬身差をつけてのレコード勝ちを収めると、およそ4カ月半ぶりの出走となった前走の1勝クラス・ひいらぎ賞(12月20日/中山・芝1600m)では、2歳コースレコードにコンマ5秒差の1分32秒9の好タイムで快勝しました。
母エリスライトは、1800m~2000m戦で2勝。その全姉マリアライトは、中距離GIのエリザベス女王杯(京都・芝2200m)と宝塚記念(阪神・芝2200m)を勝っています。他にも、ダートのGI戦線で活躍してきたクリソライト、クリソベリル、さらにGⅡ神戸新聞杯(阪神・芝2400m)を勝って、菊花賞で3着になったリアファルなどが叔父(伯父)にいて、いかにも中距離が合う血統。それでいて、マイル戦で好時計勝ちしたとなると、距離が延びての楽しみは一段と増します。
そういう意味ではダービーでも期待できますが、どちらかと言えば、スピードを生かせる中山向き。きっちり賞金を加算して皐月賞に駒を進めてほしいと思います。
ダービーでは、GI秋華賞(京都・芝2000m)の覇者で、海外GIも勝っているディアドラの全弟イベントホライゾンに期待しています。
新馬戦(12月13日/中京・芝2000m)では、先団後方の外目を追走。
全兄リューベック、半兄フリームファクシも、明け3歳早々にクラシック戦線に乗れるだけの実績を挙げていて、同馬も次戦で予定しているリステッド競走の若駒S(1月24日/京都・芝2000m)の結果次第では、先行きが明るくなりそう。兄たちはクラシックで結果を残せませんでしたが、まだまだ上積みが感じられるイベントホライゾンであれば、大いにチャンスがあると見ています。



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